政治資金規正法の現実


 政治資金は面倒である。
 政治資金規正法に従って処理しなければ、実刑に加えて公民権停止も有り得る。刑務所の服役囚ですら選挙権はあることを考えると重罰である。
 政治資金規正法では寄付は原則政治団体を通して受け取ることになっている。
 ところが、この政治団体は最低3人の役員を集めないと設立すら出来ない。
 自分を除いてあと2人集めないといけない。
 政治団体の役員名も政治資金規正法に基づいて公表される。
 なんでも匿名で物事を進めたがる現代日本社会で、実名が公表される役員に就いてくれる人間を2人も見つけてくるなど、実質不可能である。
 つまり、我々底辺の日本人に政治団体を設立することは出来ない。
 個人間の寄付であれば政治団体を通さなくても可能とはなっている。
 しかしそちらはそちらで、今度は税法上の問題が発生してくる。贈与と区別が付かないからだ。
 もちろん、一時所得して応分の所得税を支払った上で、政治資金に回すという方法もある。
 しかしそうすると、今度は政治資金の会計処理が不透明ということにされかねない。
 ただの記載ミスを鬼の首を取ったように政治スキャンダルに仕立て上げてくる暇空某のような当たり屋は日本中にいくらでもいるのだ。
 選挙期間中であれば候補者は税務処理などしなくても寄付を受け取れる。
 だが、それまで資金を何ら使わず活動してきた宣伝不足の無名の候補者に、一体誰が寄付をするというのか。
 そもそも、立候補するための莫大な供託金を寄付で募るという方法は最初から排除されてしまう。選挙で一番金がかかるの は供託金なのだ。買収でもしない限りは。
 残る選択肢は、全ての政治活動費と供託金を全額自前で用意するという方法のみだ。
 そんな金を持っている人間が、この日本でどういう立場にいるか。
 利己的で上から目線なくせにまるで世の中を知らない、右寄りの人間ばかりでは無いか。

 つまりこの日本では、そういう右寄りの人間で無いと選挙に立候補することすら出来ない仕組みになっているのだ。


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