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会期は大幅延長せよ、労働法制の為に!


働き方法案審議入り 日程ぎりぎり 与党避けたい「延長」~毎日新聞 2018年4月27日
https://mainichi.jp/articles/20180428/k00/00m/010/159000c

(記事引用)

  • >働き方改革関連法案は、労使協定(36協定)で定める残業時間を最長でも「月100時間未満、年720時間」とする罰則付きの上限規制や、正規・非正規労働者の不合理な待遇差を解消する「同一労働同一賃金」の導入などが柱だ。このうち、専門知識を持つ高所得の働き手を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」が与野党の対立軸になっている。

 確かに野党は高プロと残業規制の区別も付かない情けない人間も混じっている程だから、野党の焦点は高プロということになるのだろうが、残業規制の方も大問題。ただでさえ厚労省基準を大幅に越える100時間残業容認な上に、中小企業は全面免除。問題だらけ。
 まず残業規制と高プロを切り離すことは最低限の必須条件な上に、それぞれ衆参50時間以上の審議が必要。(※高プロはもちろん廃案にするべきだが。)

(記事引用)

  • >与党は「全ての委員会でぎりぎりの日程になる」(森山氏)と危機感を募らせる。しかし不祥事続きで内閣支持率が下落する中での会期延長は、野党の政権追及の時間も長くする。政府関係者は「国会は早く閉じた方がいい」との立場だ

 それなのに、会期延長をしたくないとは。しかも理由が、「これ以上不祥事が出るのが怖いから」。労働者をバカにするにも程がある。ていうかまだ不祥事の心当たりがあるのか。

 労働者の命がかかった法案なのだから徹底審議は当然だし、その為の会期の大幅延長は当然。ザコ審議で済ませていい話ではない。統治能力を失った今の自民党には、理解できない話なのかもしれませんが。


俺らが死ぬか、日本が死ぬか。二者択一だ


 あまりに急展開且つ情報量が多いので、自分でもどう文章を整理したらいいかわからず悶々としていた。6日に安倍自民党政権によって閣議決定され7日に衆議院に提出された、「過労死合法化法案」(安倍政権の言うところの”働き方改革法案”)の話である。

 とりあえず、事実関係として、昨年からここまでの経緯をおさらいしておく。

2015年12月から2017年3月までの経緯はこちら
http://bunsyo.kouyaxatosi.info/blog/%E3%80%8C%E6%AE%8B%E6%A5%AD%E8%A6%8F%E5%88%B6%E6%B3%95%E3%80%8D%E3%81%AE%E7%B5%8C%E7%B7%AF/
に記載してあるが、改めて転記しておく。

・2015年12月 電通女性社員過労自殺。東大の同級生がネットで告発、炎上
・2016年10月 野党4党(民進共産社民自由)が長時間労働規制法案を提出
・2017年1月 政府が残業規制の方向に転換

 そして、2017年3月。

「裏切りの連合」

 2017年3月。
 御用労組連合との合意を盾に、自民党と公明党による連立政権は過労死基準80時間を大幅に超える100時間残業を正当化した。(参照
http://bunsyo.kouyaxatosi.info/blog/%E8%A6%8F%E5%88%B6%E3%81%AA%E3%81%8D%E6%AE%8B%E6%A5%AD%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%AE%E7%94%9F%E9%82%84%E8%80%85%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%A6/

 しかし、既成労組の制約を受けない若手労働者の自主連帯組織”AEQUITAS(エキタス)”が連合本部にデモを仕掛けたことで、事態は急転する。国内最大の労働組合の本部が労働者集団にデモを仕掛けられるという異常事態は海外メディアでも報じられ、連合並びに連合の指示通り自民党政権との妥協に傾きかけていた民主党(当時)は激しく狼狽した。機能不全に陥った民主党は再起を図るべく旧みんなの党や維新系と合流し、民進党を新たに結成した。
 一方、当時法案提出権のある21議席を保有していた共産党も、野党共闘を優先して身動きが取れず、結局対案もだせなかった。(参照 
http://bunsyo.kouyaxatosi.info/blog/残業規制で野党は対案を/

 

「モリカケの罠、共謀罪の刃」

 2017年4月。
 安倍自民党政権は、国会に提出した東京五輪対策を口実に創作を含む未遂の行為を犯罪とする「共謀罪」(参照
http://bunsyo.kouyaxatosi.info/blog/共謀罪(準備罪)の事例をもう一つ/
http://bunsyo.kouyaxatosi.info/blog/%E3%82%81%E3%82%82%EF%BC%9A%E8%87%AA%E6%B0%91%E5%85%9A%E3%81%8C%E5%BC%B7%E5%A7%A6%E7%BD%AA%E3%83%BB%E6%AE%8B%E6%A5%AD%E8%A6%8F%E5%88%B6%E3%82%88%E3%82%8A%E6%BA%96%E5%82%99%E7%BD%AA%E3%82%92%E5%84%AA/
)を審議入りした。残業規制は連合との骨抜きの合意内容ですら、当時存在した強姦罪の泣き寝入り規定撤廃と共に放置する選択をした。
 野党はこの共謀罪対策にかかりきりになり、残業規制の対案を出す間もなく、結局共謀罪は強行採決による成立した。愚かな日本国民は自民党のこの暴挙を拍手喝采した。
 
 その直後、安倍晋三首相と安倍昭恵首相夫人のシンパが運営する2つの学園に国有地が格安で払い下げられていた事実が明るみに出、野党・マスコミともこのスキャンダルに食いついた。国有財産の不当売却という問題があるとはいえ、人命に関わるわけでもないただのスキャンダルに野党は狂奔し、自民党もまたこれを好機と捉え、残業規制先延ばしの絶好の口実として利用した。

 その後、会期切れ直前になり、性犯罪被害に遭った女性達を中心に国会への猛批判の声が高まり、強姦罪泣き寝入り規定撤廃(強制性交罪への変更)は会議切れ1日前に辛うじて成立した。
 だが結局、この年の通常国会は延長されることもなく会期切れとなり、残業規制は秋の臨時国会に先送りとされた

「幻の臨時国会」

 2017年7月。
 前年の2016年に自民党を飛び出し、創価学会・一部連合系・一部共産系の支援を受けて東京都知事に当選した小池百合子が、東京都議会選で自身の与党となる「都民ファーストの会」を結成。自民党や民進党の一部がこれに合流し、創価学会との選挙協力もあって圧勝する。
 一方、自民党は2013年以来続く共産党の勢いに押されて、3人区を中心に次々と”討ち取られる”結果となり、歴史的大惨敗を喫する結果となった。

 2017年8月。
 東京都議選での惨敗を受けて慌てた自民党政権は、”秋の臨時国会”に向けて残業規制の法案化作業を進める。しかし、それは第一次安倍内閣以来一貫して猛批判を浴び続けている「高度プロフェッショナル制度」「裁量労働制拡大」と抱き合わせの内容であった。そして残業規制は、過労死基準を超える100時間残業を合法とする内容のままであった。
(参照
http://bunsyo.kouyaxatosi.info/blog/残業規制の適用除外など許してはならない/
 しかし、民間のみならず教員・公務員での過労実態が次々に明るみに出、挙げ句10年以上前から批判を浴びている「高プロ」をまたしても国会に出そうとする安倍自民党政権に批判の声が高まり、政権支持率は急落する。
(参考
http://bunsyo.kouyaxatosi.info/blog/%E9%87%8E%E5%85%9A%E3%81%8C%E5%85%AC%E7%B4%84%E3%81%A8%E3%81%97%E3%81%A6%E6%8E%B2%E3%81%92%E3%82%8B%E3%81%B9%E3%81%8D%E4%BA%8B%E3%83%BB%E5%AE%89%E5%80%8D%E6%94%BF%E6%A8%A9%E3%81%8C%E3%82%84%E3%82%8B/

 支持率が危険水域に達し、更に目前に迫った衆院4補選での劣勢が伝えられ、政権崩壊の危機に直面した安倍晋三は、9月23日、突如衆議院の解散を表明。愚かな日本国民は安倍晋三のこの決断に拍手喝采した。

「暗躍と狂想の逆転劇」

 しかし、この事態に、御用労組連合はまたしても愚挙に出る。
 前年7月に自民党を飛び出し東京都知事となった小池百合子は、都民ファーストの会を母体に希望の党を結党し国政進出を表明した。これを受け、連合は、エキタスによって損なわれた名誉と主導権を回復せんとばかりに、小沢一郎と共謀し、支配下にある民進党に希望の党との合流を指示。野党第1党が事実上の自主解散をするという異常事態を引き起こした。
 残業規制が争点になるはずだった総選挙は、連合のこの暴挙により一転ただの政局選挙へと様変わりした。一方で、労働問題で躍進を続けてきたはずの共産党も、「モリカケ」を公約筆頭に掲げる愚行を犯す、悲惨な選挙となってしまった。
 そんな中でも僅かに希望はあった。希望の党の国家主義路線に反発する左派議員が合流を拒否、元官房長官・枝野幸男を中心に立憲民主党を結成する。
 「3.11」の対応で右派からも評判の良かった枝野の新党結成に、いわゆる氷河期世代を中心に「立民ブーム」が起き、無党派層に飽き足らず共産や公明の支持層までをも食って、比例東海ブロックでは名簿登載候補者が足りなくなるほどの票を集めて地滑り的大勝を収め、一挙に衆院野党第1党に躍り出た。
 安倍自民党がパートナーとみなしていた維新、ポスト安倍を自称する石破茂の足場となるはずだった希望の党は、共に惨敗した。
 それまで自分達を支持していた労働者を裏切った共産党は、比例で議席を半減以下にまで減らした。一方で小選挙区の議席は守り切り、また左派連合(立憲野党連合)の立民・社民・自由各党の立てる選挙区の多くで候補者を降ろし、立民の小選挙区での議席確保をアシストした。

 しかし、残業規制は最後まで争点とならなかった。(参考
http://bunsyo.kouyaxatosi.info/blog/twitter%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%83%88%E3%80%8C%E3%83%86%E3%83%AC%E3%83%93%E3%81%98%E3%82%83%E3%82%84%E3%82%89%E3%81%AA%E3%81%84%E5%8A%B4%E5%83%8D%E4%BA%89%E7%82%B9%E3%80%8D/
 選挙告示直前に、NHKの女性記者が過労死していた事実(朝日)が明るみに出るも、気に留めるものは少なかった。愚かな日本国民は自民党が微減に留まったことに拍手喝采を送った。

 総選挙後に開かれる「特別国会」で残業規制の法制化も審議も行われることはなく、「秋の臨時国会」は解散総選挙によって幻と消えた。

「さらなる悪夢と絶望と」

 2018年3月。
 悪夢の総選挙から半年。ようやく、政府が「働き方改革」の名の下に、残業規制の法制化に再着手した。しかしそれは、秋に提出しようとした「高プロ」「裁量労働制拡大」との抱き合わせと全く同じ内容であった。
 だが度重なる労働者の要求に恐れをなしたのか、霞ヶ関側からは共産党の高橋議員に「残業規制と同一労働同一賃金のみ先行でどうか」という妥協案の打診があった
(参考
http://bunsyo.kouyaxatosi.info/blog/20180316%e3%80%8c%e6%97%a5%e6%9c%ac%e5%8a%b4%e5%83%8d%e5%bc%81%e8%ad%b7%e5%9b%a3%e5%83%8d%e3%81%8d%e6%96%b9%e6%94%b9%e9%9d%a9%e6%b3%95%e6%a1%88%e5%95%8f%e9%a1%8c%e7%82%b9%e3%82%92%e8%80%83%e3%81%88/

 ところが、公明党の要求により、残業規制には「中小企業への配慮(=中小企業は残業規制免除)」という規定が盛り込まれることとなった
労働時間把握を義務化 厚労省、修正へ(毎日)

 4月になってこれに自民党も同調し、残業規制は
・中小企業の社員
・高度でプロフェッショナルな職業(諸手当込みで年収1075万円以上)
・個人事業主扱いの人
・管理職扱いの人
以外の労働者のみが、対象となることになった。

 ちなみに中小企業の定義とは、

製造業従業員300人以下 OR 資本金3億円以下
卸売業従業員100人以下 OR 資本金1億円以下
サービス業 従業員100人以下 OR 資本金5千万円以下
小売業 従業員50人以下 OR 資本金5千万円以下

※中小企業庁「中小企業の定義について」より引用
http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/g_book/h21/teigi.html

 売上とか利益とか大企業の子会社とか、そんなのは中小企業の定義とは関係ない。やろうと思えば、残業規制逃れの”中小”子会社を作ることだって可能なのだ。
 そして、あらゆる中小企業は100時間残業合法化、が自民党と公明党の施策。これが4/7、確定した。人命よりも企業経営が大事。会社の為に死ねという昭和の発想そのまんま。これが自民党という政党だ。
 中小企業に配慮するというのなら、人を確保する為の支援とか、無理な納期を拒否できる下請法の改正とか、やるべきはそっちな筈だ。過労死を合法化することが中小企業への配慮とは、一体どういう感覚か。

 人命に配慮しない相撲協会の如き自民党がキチガイ論法で残業規制法制化を骨抜きにしようとしてきても、野党が議員立法で法案提出すれば、たとえ通らずとも自民公明両党に対し資本主義か人命主義かの二者択一を迫れることになり、次の選挙の最大の争点に出来る。その次の選挙は意外と早いという話も出てきている。
 しかし、野党もいつまでもモリカケに拘泥し、この問題となかなか向き合おうとしなかった。
 立憲民主党も対案をまとめたが、後手後手に回っており、残業時間80時間規制などの内容に留まっている。共産党は、上が一体どうなっているのか末端党員には全くわからないが、高橋議員1人が奮闘していて対案作りに手が回っていないように見える。

 安倍自民党政権は、残業規制を1年以上先延ばしした挙げ句、中小企業保護の名目で全ての中小企業を残業規制の対象外とし、過労死を合法化した。憤怒し残業反対を掲げ奮闘しバスを封鎖してでも過労死を防ごうという者が、この日本に一体何人いるのだろうか。

もはや「知らない」では済まされない。これは、10年以上にわたる、我々労働者の命をかけた闘いだ。

何故私は自民党を殺人政党と指弾するか
 
 幸いにも、さすがの愚かな日本国民といえど、この過労死合法化法案に拍手喝采を送るものは少ない。
 それでもまだこう言う人間はいる、「俺は働けるから大丈夫」。そう言って自民党を支持し続ける連中こそ、我々が倒すべき敵だ。
 お前らの話などしていない。我々は月80時間オーバーワークしたら死ぬ人間の話をしているのだ。


taskkill /IM 日本社会 /FI “IMAGENAME ne 人名” /T /U 俺ら


「残業規制法」の経緯


・2015年12月 電通女性社員過労自殺。東大の同級生がネットで告発、炎上
・2016年10月 野党4党(民進共産社民自由)が長時間労働規制法案を提出
・2017年1月 政府が残業規制の方向に転換
・2017年3月 政府、残業規制案公表
・2017年4月 自民公明両党、共謀罪法案成立を優先。通常国会での残業規制成立見送り
・2017年8月 政府、残業規制を残業代ゼロ法案などと合併審議を決定
・2017年9月 安倍晋三、衆議院を解散。残業規制法廃案


野党が公約として掲げるべき事・安倍政権がやるべき事


「安倍政権がやるべき事」とタイトルに入れてはいるが、あのアホ総理が人の忠告に耳を貸すとは思えないので、基本的には野党向けの発信になる。ただ、勘違いしないで欲しい。野党だろうが安倍政権だろうが、「やらなければいけないこと」は同じだ、という話だ。

 では具体的に何か。眼前に迫った喫緊の課題としては、労働問題と教育問題だ。この2つは絶対にやらねばならないし、これを公約に入れられないようでは共産党だろうが民進党だろうが、政党としての存在意義を問われる。
 
 労働問題については、まずは先日述べた残業規制、これは問答無用でやらねばならない。人の命がかかった話だ。泣き叫ぶ者がいても無理矢理泥沼から引きずり出さねばならない。カルト宗教への対応と基本同じだ。
 
 (安倍晋三は責任放棄せず、政権を担う者の責として臨時国会冒頭で残業規制法案を成立させなければならないのだ。)
 
 それに加え、最低賃金の全国均一化、それに伴う中小企業への支援(公金バラマキでは無く、むしろ人的支援を中心に)。労働局並びに労働基準監督署の人員増強。失業・無業者支援、特に産業構造変化に対応できるよう職業訓練大学校の増強。
 これらに財源が必要ならば法人税率の引き上げ、海外への所得移転への課税。
 
 これらは決して、「実現不可能な公約」ではない。
 
 
 そして、教育問題。残念ながら自分は教育関係はそこまで詳しくは無い。だが、こちらも命のかかった問題だ。いじめ自殺や不登校自殺は、何年経っても消えていない。教育政策の失敗が原因である。
 原因の一端として、大人数学級がある。全国で少人数学級を実現しなければならない。
 40人の中の1人がいじめられているのと、25人のうちの1人がいじめられているの、どちらが見つけやすいか。それこそ小学生でもわかる話だ。
 
 そして、教員の過重勤務の一因となっている教員免許更新制度を撤廃し、元の終身免許に戻すべきだ。教員免許更新制度の欠陥については、第一次安倍政権の時に自分が書いた記事でも述べている。
 
 
 これらも決して、「実現不可能な公約」ではない。
 
 
 「憲法を生活に活かす」とは、こういうことだ。ただお題目を叫んだだけでついてくるほど国民は愚かでは無い。
 
 
 もちろん、安倍政権がこれら全部やるというのなら、それでいい。それをやる為には冒頭どころか臨時国会での解散など論外、という話になるが。
 
 


残業規制の適用除外など許してはならない


働き方改革 残業規制・高プロが一本化 法案の要綱諮問(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20170909/k00/00m/040/144000c

 ”高プロ”・裁量労働制拡大も問題だが、今回はひとまず”残業規制”に話の的を絞る。
 
 つい先日労使協定が問題になった医師、東京五輪関連事業で自殺者が出た建築、宅配が社会問題になりつつある運輸、22時が定時と言われて久しいSE。全て、この残業規制の「適用除外職種」である。
 ”残業規制”政府案では研究開発職は適用対象外である。労働法制に於いてはSEは研究開発職扱いにされている。現行労働基準法でも36協定特別条項で残業させられるのは月80時間が本則だが、SEは実質青天井である。研究開発職扱いで適用除外扱いになっているからだ。
 
 野党側が出す対案には、現在「規制基準を過労死推定基準の80時間未満に」という内容で検討されているようだが、この”適用除外”無しもいれるべきだろう。
 
 3月の原案策定時には残業規制は喫緊の課題であるから緊急で成立させる必要性があり財界同意を取り付ける為にとりあえず適用除外もやむなし、という理屈も成り立ったかもしれない。
 が、結局自民党は”共謀罪”を成立させたいが為に残業規制成立を妨害した。残業規制は先送りされ国会提出すらされず、今月末招集予定の臨時国会でようやく提出・審議入りという話になった。高プロ・裁量労働制拡大と一緒くたというおまけ付きで。
 3月からもう半年も経った。もうとりあえずが許される状況では無い。残業規制の適用除外など許してはならない。


めも:自民党が強姦罪・残業規制より準備罪を優先させた経緯


3月7日
刑法改正案(強姦罪泣き寝入り規定の廃止等)閣議決定

https://mainichi.jp/articles/20170307/k00/00e/040/151000c

3月13日
連合と経団連、尻抜け残業規制で合意
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDC13H0R_T10C17A3EA2000/

3月21日
”残業規制”、閣議決定
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/265732.html
同日、共謀罪閣議決定
http://www.sankei.com/affairs/news/170321/afr1703210004-n1.html
(強姦罪改正案閣議決定の14日後)

3月24日
準備罪(共謀罪)国会提出
http://jijico.mbp-japan.com/2017/03/24/articles22817.html
(閣議決定から3日後)

4月4日
民進・共産・社民・自由の4野党が、強姦罪改正案を準備罪より先に審議するよう要求

https://mainichi.jp/articles/20170405/k00/00m/010/131000c

4月6日
共謀罪、衆院で審議入り
http://mainichi.jp/movie/video/?id=118959831
野党が要求した強姦罪改正案審議入りは実現せず

4月19日
政府、残業規制の提出先送り


(共謀罪国会提出から27日後)

5月8日
政府の規制改革推進会議が労働基準監督署の一部民営化を提言
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017050801201&g=eco

5月19日
企業法務弁護士集団から共謀罪反対の声明
https://this.kiji.is/238226366315200514?c=39550187727945729

5月23日
共謀罪衆院通過
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2017052402000125.html

5月29日
安倍政権の関係者に強姦された被害者が検察審査会に不起訴不当の申し立て、記者会見
自民党信者による壮絶なセカンドレイプが始まる。

 3月7日に閣議決定されたはずの刑法改正案(強姦罪泣き寝入り規定の廃止等)は、5月30日現在を以て、未だに審議入りしていない。
 残業規制についても同様である。


ME: The process LDP made give priority to a crime of preparations over a rape charge and overtime work regulation

March 7
Criminal law proposed amendment (abolition of a rape charge putting regulation) cabinet decision
https://mainichi.jp/articles/20170307/k00/00e/040/151000c

March 13
A confederacy and Japan Federation of Economic Organizations reach agreement on the bottom coming overtime work regulation.
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDC13H0R_T10C17A3EA2000/

March 21
” Overtime work regulation”, cabinet decision
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/265732.html
The same day and conspiracy crime cabinet decision
http://www.sankei.com/affairs/news/170321/afr1703210004-n1.html
(14 days later of rape charge proposed amendment cabinet decision)

March 24
Crime (conspiracy crime) Diet submission of preparations
http://jijico.mbp-japan.com/2017/03/24/articles22817.html
(From cabinet decision, 3 days later)

April 4
Nation Susumu, community of goods, a company nation and free 4 opposition parties request to deliberate a rape charge proposed amendment first than a crime of preparations.
https://mainichi.jp/articles/20170405/k00/00m/010/131000c

April 6
It’s begun to debate by a conspiracy crime and the House of Representatives.
http://mainichi.jp/movie/video/? id=118959831
(Rape charge proposed amendment beginning to debate an opposition party requested isn’t achieved.)

April 19
Submission postponement of a government and overtime work regulation


(From conspiracy crime Diet submission, 27 days later)

May 8
A regulation reform promotion meeting of a government proposes part privatization of the Labor Standards Inspection Office.
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017050801201&g=eco

May 19
The statement which is conspiracy crime opposition from a business law Tsutomu lawyer group
https://this.kiji.is/238226366315200514?c=39550187727945729

May 23
Conspiracy crime House of Representatives passage
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2017052402000125.html

May 29
The victim raped by the person concerned of Abe political power, non-prosecution is unfair in the Committees for the Inquest of Prosecution, I allege and hold a press conference.
A heroic second rape by LDP believer starts.

The criminal law proposed amendment which should be endorsed by the Cabinet on March 7 (abolition of a rape charge putting regulation), one current as of May 30, i, please, it has not been begun to debate yet.


残業規制で野党は対案を


残業上限「月100時間」 政労使合意 これは「過労死の合法化」だ(毎日 有料記事)

 この記事を読むまでもなく、既に多くの人が知っているであろう「残業規制」の件である。当ブログでも今月頭に記事にしている

 「100時間」という(わかりやすい)数字ばかりが注目されているが、もっと深刻なのは、運輸業や研究開発職(システム開発、いわゆるSEを含む)が政府案では「適用除外」(=100時間規制すらない、現状と何も変わらない)となっていることである。

 そしてどの業種でも当てはまる「サービス残業」という奴は勝手に死んだだけですシステムは、罰則が付くとはいっても企業名の公表程度の軽いものに留まり、実質そのまま放置である。営業停止処分にまで踏み込む強さがなければ根絶などできない。

 「今より良くなるからいいじゃないか」等と寝言を言っている人間もいるようだが、今より良くなどならないのである。茶番ですらない。

  1.  適用除外の例外は無し
  2. 営業停止処分も含む強い罰則
  3. それを担保する為の労基・労働局人員の強化。

 野党はこれらの内容を軸に、対案を出すべきである。アベ政権与党の現状把握能力の無さ=政権担当能力の無さはもう多くのまともな国民は理解し、十分に知らしめられている。
 次は、野党の実力を示すときだ。


2017浦添市議選を評す


2017年2月12日に行われた浦添市議会選の結果を、改選前会派と比較して分析してみた。

改選前の会派構成は、以下のページを参照した。
http://www.city.urasoe.lg.jp/gikai/kosei.html

「てだこ」というのは、これは確か子供会を母体に当選した議員の集まりで、前回は思いがけず4議席も取って議会第1党になりそうだったので(公明党に配慮して)わざわざ会派を分けた、というように記憶している。
また、(よその市でもよくあるように)政党公認の議員が無所属議員と組んでいる会派があり、これは実質その政党の会派とみなしてよい。

これらを加味すると前回選挙の結果は以下のようであった。

公明
てだこ
仁の会
自民
共産
民主(※当時)
社民
社大
そうぞう
イノベーション21
市民の会

会派としては「てだこ」が第1と第2に会派を分けていたこともあって、2人会派が異常に多い構成になっていた。

これが、昨年6月の沖縄県議選に当山勝利氏が社大党公認で、また又吉健太郎氏が民主党公認で立候補した為、市議職から外れた。
(当山氏は県議に当選。)

その為、改選前は以下のような構成だったことになる。

公明
てだこ
仁の会
自民
共産
社民
そうぞう
イノベーション21
市民の会
民進
社大

それが今回、このような結果になった。(増減比較は、前回選挙比)

公明
共産(+1)
仁の会(-1)
自民
社民
イノベーション21
市民の会
民進(-1)
社大(-1)
維新(=そうぞう)(-1)
てだこ(-3)
{無所属新人}(+5)

(無所属新人は現時点で所属会派不明)

 今回2017年の市議選で、「てだこ」のうち2名が不出馬となったため、選挙前から-2が確定した。また、出馬した2名のうち1名も落選したため、結局「てだこ」は3減の1議席に留まる結果となった。

 公明党は公認4名全員当選で、現有4議席を維持している。浦添市には創価学会と対立する顕正会の沖縄支部がある関係で、創価学会が糸満市と並んで勢力拡大に力を注いできた場所であり、その為公明党の力が非常に強い。が、近年共産党が浦添で勢力を急拡大させている為か、今回は手堅く現状維持の選択を取ったようだ。

 赤嶺昇県議(無所属-県民の会)系列の「仁の会」は1名が落選し、2議席となった。赤嶺昇県議は民主党在籍時代に、又吉健太郎氏が市長選に出ようとした際に強硬に反対して取りやめさせた経緯があり、以来両者の間には相当な確執があったようだ。(2016年の県議選に又吉氏が民進党公認で出馬したのも、赤嶺県議との確執があってのものと聞いている。)この余波があったのかもしれない。
 一方又吉氏は今回当時に行われた市長選に、維新国会議員となった儀間光男元市長の支援を受けて出馬したが、落選している。
 
 共産党は1増で、3議席。現職2名は前回に引き続いて1,2位独占の結果になった。浦添共産党は元々西銘純恵県議(元市議)の個人的人気が非常に高く(その為市議時代にはもう一人の共産党市議との票の乖離が凄かった)、現市議のうち1名も西銘県議の息子で初当選時はトップ当選だった。(前回と今回は2位。)しかし、1,2位維持した上での1増を果たした今回は「西銘党」依存からの脱却を果たせたと言えよう。ちなみに当選した新人も含めて、共産党浦添市議は3人全員30代である。
 
 自民党は現職2名がそのまま当選。当選した無所属新人5名のうち、少なくとも3名は自民系と見られる。これを加味すると3増という事になるが、議席を維持した「イノベーション21」(若手企業経営者の会派)も実質自民系であることを考えると、同じ会派になるかはわからない。
 また、翁長県政との関係を考えて、那覇の新風会と手を組む者も現れるかもしれない。

 社民系は30代の新人が3位当選したものの、系列の無所属現職が1名落選してしまったため、±0の2議席止まりとなっている。(ちなみに社民党は、前回浦添市議選でも新人が通って現職が落ちるという結果になっている。)社会党時代は市長と県議を出していた土地柄であったが、そこまでの勢いはもはや無いということなのか、淘汰的に世代交代が推し進められているということなのか。
 
 民進系は前述のように又吉健太郎氏が県議選に出馬して市議を離職したため、改選前議席からは1のまま変わらずだが、前回選挙と比べると1議席減になる。また、当選したのも無所属現職で、公認は候補者すら立てられなかった有様である。前進の民主党時代から既に沖縄民主党は議員どころか党員すら確保出来ない壊滅状態にあり、今後も沖縄での復権は全く望めないだろう。
 
 社大系は公認だった当山勝利氏が宿願の県議当選を果たし、今回は市長選に出た又吉健太郎氏の支援に注力して、公認候補を立てなかった。系列無所属の現職が当選し、改選前議席は維持しているが、候補者を立てなかった分前回選挙よりは1減らしている。党自体が解散寸前からの立て直しの過程にあり、当分は現状維持の時代が続くのかもしれない。
 
 そうぞうは自民党を離党した下地幹郎衆院議員が作った保守系地域政党であったが、下地議員が最終的に(大阪)維新と合流し、また元浦添市長の儀間光男氏が維新比例から参院議員になったこともあって、維新に合流した。が、現職議員1人が維新公認ではなく無所属で出馬して落選しており、また公認候補も現職以外は落選し、結果としては1議席に留まる惨敗となった。2015年県議選でも、現職県議だった儀間氏の息子が維新公認で出馬して落選しており、浦添でのそうぞう-維新系の退潮ぶりが著しい。
 
 
 今回当選した新人7名のうち、実に6名が20~30代の若手である。これが今回の浦添市議選の最大の特徴と言えるだろう。党派は(おそらく)真っ二つに割れるとは言え、有権者の選択が「若手」であったことは間違いない。浦添市は子育て世代が多く平均年齢の低い土地という事情はあるが、それ故に逆に、老人世代の「若い者に希望を託す」などというノスタルジアに乗った若手進出などでは無く、現役世代の意向としての若手進出である、ということが言えよう。
 
 
 
 前回2013年の浦添市議選では、前述のように共産党の30代候補者が1,2位独占を成し遂げ、これが同年6月の東京都議選を経て7月の参院選で30代2名を含む8名当選という結果につながり、その後の共産党躍進の鏑矢となった。
 
 今回の浦添市議選は、今後の日本の進路にどのような影響を及ぼすのであろうか。
 


10月30日に益川先生とお目にかかりました


 もう1ヶ月も前の話になってしまいますが、周りには言ったつもりで実は全然言ってなかった事が、iAcnからのメールで判明したので、遅延記事を書かせて貰います。

 去る10月30日(日)に、「憲法9条をまもる瀬戸の会」11周年記念イベントとして、ノーベル物理学賞受賞者で学者9条の会世話人の益川敏英先生の講演会が、瀬戸市の瀬戸蔵で行われました。

 講演会と銘打ってはいましたが、益川先生のたっての希望という事で、対談者数名とトークをしながら益川先生がお話をされていく、というスタイルになりました。
(※後で、対談形式そのものに聴衆から不満が出ているという話を聞いたので、益川先生の希望でそうなったのだという事をこの場で強調させて頂きます。今回に限らず、益川先生の『講演会』はだいたいそういうスタイルのようです。)
 
 その対談者の一人に、不詳私、荒野草途伸も列席させて頂きました。

 びっくりですね。

 ウチの親は、なんか私が物理学科卒だからそっち関係で回ってきた話だと勘違いして親戚にも触れ回った(丁度同じ日に、例の雪風乗務員だった祖父の法事だった)みたいですが。そんな、琉大の物理学科出ただけで大学院すら行ってないような人間が、物理繋がりで益川先生のような人との対談者の話が来るわけがありません。
 ぶっちゃけ言うと、共産党経由の9条の会繋がりです。
(9条の会自体は共産党員が多数参加しているというだけで、共産党系の組織というわけでは無いらしいのですが。正直、あまりよくわかってないです。)

 対談者は他に、元NHK記者の沖野さんをメインに、神田すみれさんという育児をしながら翻訳業をされている方、そして瀬戸市にある聖霊高校の高校生・加藤美羽さんと鈴木ま弥さん(※控え室で本人に確認とって名前は出してOKとのことだったので)、そして荒野草途伸の、合計5人で益川先生に挑む形になりました。

 で、肝心の対談講演会の内容ですが、ただでさえ緊張していて対談を乗り切る事で頭がいっぱいだった上に、途中でマナーのなってない聴衆が何人かいて、正直内容を全部は覚えていません。質問は挙手をして指名されてから答えると、学校で習いませんでしたか?
 まあ、冒頭からいきなり、予定に無い割り込みをしてきた某国会議員の挨拶で時間を取られた時点で、もうなんだかなんだかなんですが。というか、それ以前に、始まる前の益川先生との打ち合わせの最中なのに、その国会議員の秘書やらウィル愛知の事務局やらが入り込んできて、まともな打ち合わせが全然出来なかったんですね。だから実質ぶっつけ本番だったんです。
 なので、講演会の内容は殆ど覚えていないんです。

 そういうわけで、Twitterに自分が記録していた内容と、対談予備候補者だった高校生ミュージシャンのルセール君のツイートから

 あと、「二足のわらじ」という事をしきりに勧めておられて、要するに本業バカになってはいけない、という話をされていました。

 荒野がほぼ唯一覚えてる事として、益川先生の蓄電の確立を抜きにして自然エネルギーの普及を唱える事は無責任、という話をされた上で、「LC回路を使った蓄電法の研究」という提言をされた事が、荒野としては印象に残っておりました。
 ちなみにこの件について、最後の質問という形で「その研究は民間企業でも出来るレベルの事か、国家プロジェクトとしてやるレベルのものか」と尋ねたところ、「国家レベルで取り組まないといけない」と力説されておられました。『「二足のわらじ」ではダメなんでしょうか?』と蓮舫風に食い下がったら、国を挙げて取り組まねば駄目だ、と怒られました。

 ほんとはこの話をもっと聞きたかったんですけど、時間が無かったし、そもそもの趣旨が違ったので。
 聴衆の方にもこの話聞きたかったという人は何人かいたようなので、いずれどこかの機会でお話を伺えると良いですね。

 本来の趣旨であった、憲法9条と軍需産業の話が全然出来なかった本末転倒の講演会でしたが。
 私にとっては大変有意義な時間でした。

 最後に、講演会が終わった後、折角なので控え室で益川先生と二人の写真を撮って貰いました。
dsc_0470
 撮った人に、「二人、似てますね」と言われました。益川先生はなんか不満そうでした。

 この後、本当は懇親会があったのですが、疲労が極度に達していたので欠席して家に帰り、そのまま約1ヶ月寝込んでしまいました。
 まあ、これが原因というよりは、講演会前にあったあり得ないようなトラブルで心労が積もっていて、講演会の対談者自体辛うじてこなした、という状態だったのですけど。

 友達よこれが私の、益川先生と写真に写っていた経緯です。


アベノミクスの欺瞞と共産党の代替政策


世論調査によると、「安倍政権下での改憲反対」という人は、7割にも達するそうです。にも関わらず、参院選では(野党がだいぶ巻き返してきたとは言え)未だに自民党優位が続いています。
何故でしょうか。
結局の所、”アベノミクス”がうまくいっている、と多くの日本人が騙されてしまっている為です。
参考:

結論から言うと、”アベノミクス”で成功したのは、第1の矢「金融緩和」と、番外編の「官製春闘」のみです。第2の矢(財政出動)は東北復興の遅れに象徴されるように大失敗、第3の矢に至っては実行以前にそもそも中身がありません

では”アベノミクス”とはそもそも何だったのか。整理しましょう。

アベノミクスとは、そもそもは2012年総選挙でアベ晋三がブチあげたリフレ政策(金融緩和)の事でした。この時点でリフレ政策の意味を理解していなかったアベ晋三は街頭宣伝で「私のこの演説だけで、何人の雇用が救われたと思っているんですか!」と叫んでいましたが、いくらなんでもアベ晋三の演説が経済政策になるはずがありません。金融緩和とそれに伴う市場マインドの向上が目的でした。

しかし、金融緩和だけではどうもダメだということが早々に判明しました。
金融緩和というのは、これまでも散々詳しい方から説明がなされていますが、ざっくり簡単に言ってしまうと「モンエナ飲んで仕事する」のと一緒です。
飲んだ瞬間は効果があります。何回かは効果があります。しかし、だんだん通用しなくなってきます。乱用すると、体に深刻な負荷がかかるようになって来ます。

ですので、金融緩和ばかりに頼っているわけには行きません。これは、リフレ派筆頭の黒田日銀総裁ですら、早々に認めていることです。

しかし、自民党内からはまともな経済対策が出てきません。そこで官邸は、野党に救いを求めました。これに積極的に応じたのは、当時「第3極」ともてはやされていた日本維新の会やみんなの党(※どちらも今は存在しません)でした。が、結局自民党内から出てくる案と大差ないものでした。
結局、官邸は自民党から出てきた案をベースに、「3本の矢」なる経済対策を打ち出しました。金融緩和を1本目と位置づけた上で、第2の矢として財政出動(要するに土建公共事業)を行い、3本目の矢は「今から考える」という内容でした。

第2の矢(財政出動)は、ただでさえ旧態依然な土建公共事業へのバラマキ政策の域を出なかった上に、当の土建業界は業界の衰退を見越して業態転換・人員整理を進めていた為、自民党からの突然の大量発注に対応できませんでした。
しかもこの当時、東北地方は東日本大震災の復興事業がようやく緒についたばかりで、土建業界はそちらにリソースを全面的に振り向ける予定でしたが、自民党の要らぬ横槍で東北向けのリソースが割かれてしまいます。さらに自民党政権は2020年に東京五輪を実施して東京大改造を行うという天下の大愚行を決めてしまい、人手不足の中東北復興と東京五輪という2つの巨大事業がぶつかり合うという大惨事になってしまいます。結果、東北の復興は遅れに遅れました。

これが第2の矢の実態です。

さらに酷いのが、第3の矢です。

この第3の矢の内容は「有識者」による諮問会議などに委ねたのですが、思惑や利権がぶつかり合って大紛糾し、結局なにも決められませんでした。

これ以上書くことはありません。そのレベルの酷さです。

敢えて書くならば、議論の過程で出てきた「労働規制の緩和」を口実に、労働者派遣法の改悪・特許発明者からの特許権利剥奪・残業代ゼロ法・解雇の金銭解決といった”労働者虐殺政策”を次々と打ち出してきたことでしょうか。
このうち、労働者派遣法の改悪は、派遣労働者を守る為の「みなし雇用義務規定」を撤廃する、という内容でしたが、そのみなし雇用義務規定が施行(実際に法律が有効になる)直前の2015年9月10日に、強行採決によって国会を通過してしまいました。
(殆どのTVメディアはこの法案のことを無視したので、未だに知らない人も多いです。)

番外編:官製春闘

安倍政権がまだ始まって間もない頃、官邸が野党も含めた各党と懇談する機会を設けました。共産党もその中に含まれていました。共産党は従前から「大企業は内部留保溜め込みすぎだから、賃金として還元しろ」という主張を行っており、経済同友会に志井委員長が申し入れるということも行ってきました。共産党はこれを念頭に、政府としてこれをやってみてはどうかと提言しました。
これに飛びついたのが、麻生副総理兼財務相です。直後のぶら下がり会見で、共産党からこんな提案があったと公表しています。
さらに、衆議院予算委員会で共産党の笠井亮議員がこの件を取り上げ、先の麻生副総理は「内部留保を賃金に回すべきだ」と、笠井議員の主張を全面的に認める答弁をしています。

参考:◎共産党と自民党が一緒に賃上げ “歴史始まって以来”と麻生副総理~トヨタで生きる http://toyotaroudousya.blog135.fc2.com/blog-entry-960.html

この後、菅官房長官や甘利経産相らが実際に財界に「春闘で賃上げ要求に応じるように」経団連に要求。この年の春闘は大手メーカーほぼ全てが満額回答に近い賃上げを行い、夏のボーナスの大幅アップに繋がりました。
これがいわゆる、「官製春闘」と呼ばれるものです。

この件を以て、大手企業の社員の中には「安倍さんのおかげでボーナスが上がった」と思い、自民党支持に走ってしまっている人も多いと聞きます。
しかし、そうではありません。少なくとも、「安倍さんのおかげ」ではありません。よしんば実行したのが自民党政権だとしても、地ならしをし提言をしたのは、共産党なのです。

共産党の経済対策

では、その共産党の経済対策とは、どういったものでしょうか。
今回、主要野党4党(民進・共産・社民・生活)が共通政策を発表しているので、それと被る部分も多々ありますが。
ざっくり言うと、「経済の基礎体力を付ける政策」です。

”アベノミクス”がモンエナなら、共産党の経済政策は漢方薬です。

労基法すら守られない(※法律が守られてない時点で法治国家の体をなしていないのですが)社会を正し、不公正な労働・下請け慣行を是正する。
とりあえず大企業や既成資産を持っている人に収益が集中してしまっている現実を直視し、収益を上げているところから必要な財源(税金)を頂く。
税金の使い方も、ただ胴元にバラ撒くだけの自民党式のやり方はやめて、ベースになる人(人材)を育てる政策に転換する。特に、高等教育。高度人材育成の為に、金持ちしか大学に行けないような社会をヤメる。才能のある人は親の所得に関係なく誰でも高等教育を受けられるようにする。その為にまずは月額3万円の給付型奨学金を創設し、財源が確保出来次第順次引き上げていく。

はっきり言って、即効性はありません。しかし、必要なことです。
バクチみたいな”景気対策”で急激なV字回復を狙うよりも、社会経済の基礎体力を付けていく。政治の力で、それを後押しする。それが共産党の経済対策です。そしてこの基本趣旨は、民進党始め共闘派野党との共通政策にも概ね取り入れられていることも申し添えておきます。

785707665

Twitterで140文字にまとめるつもりが、随分と長文になってしまいました。最後までご精読ありがとうございます。
そして、何卒、”アベノミクス”の欺瞞と、代替政策の存在に、気づいて頂きたいと存じます。

あと、自民党か公明党の広告が出てきたら、クリックしてやって下さい。笑い話のネタと僅かばかりの荒野草途伸の収益になりますので。

20160705すやま