出会いは確かにあったのだが


 今日、お見合いパーティに行ってきたのですよ、お見合いパーティ。正直楽しみで浮かれてて、そのために昨日はわざわざ新しく服を買ってきたりもしてたのですよ。サンエーで半額の奴だったけど。
 で。結果として。うまくいきませんでした。
 時間は2時間。女性側で来てたのは殆どが30代(と思われる、女性は歳明かそうとしないから)で、そういう意味で自分にとってはよりどりみどりだったはずなのですが。
 最初に狙い定めた意中の人が、ずっと他の男性としゃべりっぱなしで。空きを待つかのように近くのテーブルでたたずんでいたら、気がつくと別の男性と話し始めていたり。
 要領悪いことこの上なし。
 とかやってるうちに、もう1時間半弱経過。ラスト40分。ここで、スタッフがなんか紙配り出す。「いいと思った人の番号を紙に書いて、提出してください」いいも何も、俺まだ話すらしてないんだけど!
 その紙が配られたことで、会場はもう一気にお開きモードに。決まってる人はさっさと書いて提出してくつろぎ出しちゃうし。ターゲットも、一緒に来てた友達と一緒に隅っこの方行っちゃうし。しかも、何故かそのまわりに女性ばっか集まり出すし。
 話がしたけりゃ、その群れの中に単身突っ込んでいくしかない。女性ばかりの集団のまっただ中に。
 小学校の頃、女子トイレや女子更衣室に自分の筆箱や帽子を投げ入れられるといういじめを受けたことがある。
 そんな過去は関係ないのだが。女性しかいないところに一人で行くというのは、正直大変勇気の要ることだ。て言うか、恐怖だ。別に何されるわけでもないことはわかっているのだが。
 そんな自分の心境はさておき、あまりの盛り下がりぶりに司会スタッフが、「まだ話は続けていて結構ですので・・・」とフォロー。じゃあこんな早く紙くばんなよ。て言うかフォロー遅えーよ。10分も経ってから言うなよ。
 残り30分。ターゲットはいつの間にか別の位置、壁際の椅子に。さあ、いよいよ行動開始か、と思いきや、その視界をふさぐかのようにまた別の男性が。て言うかこの人、そういえば開始直後にも移動しようとしている自分を引き留めて仕事の話とかし出すし。まさか、政府自民党の指示で俺の行動を妨害するために送り込まれた、特殊工作員・・・?!
 それでも15分間目を離さず粘ったかいあって、ようやくチャンス到来。男性が違う席に座った隙に、速攻で駆け寄って、話しかける。
「あの。まだ、お話ししてませんでしたよね・・・?」
「え、ええ。」
「あ、ほら。この人、さっき話してた金融系の」
「?!」
 突然横から入ってくる言葉。ああそうだった、この人は二人連れだった。でも、さっき話してたって?
「――ってとこに勤めてるって、さっきの男性と。」
 ああ。あの人、僕のことをわざわざ話してくれていたのか。最初に仕事の話とかしてたから、それで。なんだ。いい人じゃないか。すみませんでした、疑ったりして。
「じゃあ、私隣に移るから、間に入って。」
「え?」
 いや、それはちょっと。実は、初めの頃に椅子に座って飯食ってた別の二人組に半ば強引に間に座らされて両手に花で周りの視線がちょっと痛かったから再びそういうのは
「あれっ。また両手に花ですか?」
 って、その当人が隣にいるし!
「あqwsえdfrgtyふじこlp;」
「いいから座りなさい」
 これで、2,3分ロス。
 何はともあれ、ようやく意中の人と話せる。さあ、何を話すか。正直相手に係わらず口頭での会話は苦手なので、多少ウォーミングアップをしてから、本題に・・・。
「そろそろ時間になりましたので」
 司会の声。あれ?馬鹿な、まだ時間は10分近くあるはず。時計を見ると、確かに15時53分。まだ7分あるはずだ。おい待てふざけんな、こっちはようやく本命にたどり着いたばっかりだって言うのに。
 ひたすらしゃべり続ける司会。無視して話を続行しようと試みるも、司会の言うことを無視し続けるのは誰であれ難しい。彼女が司会の話を聞き出してしまったので、こっちとしてももうどうしようもない。
 こういう場だから、他の男性参加者からの妨害は、仮にあったとしてもそれは致し方ない。それくらいの覚悟はあった。だが、まさか、運営スタッフからの妨害を受けるなんて・・・。
 結局、歳も名前も職業も、何もかも聞き出せなかった。番号札も確認できなかった。番号・・・?
 そういえば、さっき配られた紙に番号書いておけばお互いの指名が一致したときに連絡を取ってくれるというラブラブアタック的システムになってるとか何とか言ってなかったか?じゃあ、これに番号書いておけばまだチャンスは
 番号わかんねーよ!!!
 頭抱え込んでいる間に会場からはぞろぞろと人が出ていき、残るは自分ただ一人に。司会をやっていたスタッフが声をかけてくる。
「紙、提出していただけますか?」
「・・・番号、わかんないんですけど。」
「えっ。じゃあ、名前とか年代で探しますので。どの方ですか?」
 訊けなかったよ!てめーが7分も早く終わらせる所為でな!!
 と言うに言えず、どうしたもんかと口をもごもごさせていたら、「じゃあ上でゆっくり考えてください」とかいって、別の部屋に連れて行かれる。連れて行かれたらそこは、主催の結婚紹介会社の本会員の勧誘場。番号のことなんか綺麗さっぱりほったらかしで、分厚い見たくもないプロフィール集を机に置かれ、「気に入った人に付箋を貼ってください」とか訳のわかんないことを言われる。とりあえずパラパラめくっていたら、鹿児島の人ばっかり。いや、遠距離はちょっと・・・。いくら「隣りの県」だからって。
 て言うかそれ以前に、結婚紹介会社系はクリスマスの一件(参考文書)でもうこりごり、少なくとも一年は係わりたくないんだけど。
 沸々と怒りが沸いてくる。そんな心の奥も知らず、ひたすら弾丸セールストーク撃ちまくりのスタッフ。「今なら3割引と大変お得に」金の問題じゃねえんだよ、心情的な問題なんだよ!
「ぶっちゃけ、疲れたんですけど」いろんな意味を込めて本音を吐くも、なおもひるまぬ司会スタッフ転じて弾丸トークスタッフ。埒があかない。
「じゃあ、検討させてください。考えさせてください。」
 それでも、今日で鹿児島に引き上げるから今日で済ませておきたいとかごちゃごちゃ言うも、何とかこっちに少なくとも今契約する意志はないという事は伝わったようで、一週間後に連絡するといってようやく引き下がってくれた。
 もう、終わってから1時間以上も経っていた。外に出ると、小雨が降っていた。空が流す涙。泣きたいのはこっちだった。
-----


出会いは確かにあったのだが」への2件のフィードバック

  1. 仮面ライダーHT

    メールを見て気になったのでブログを覗きに来ました
    お見合いパーティーって、まずは全員と挨拶&自己紹介してからフリートークってな流れだとばっかり思ってました。
    最初っからどうぞご自由にって事だったんでしょうか
    何というか、お疲れ様です
    飯作る気力がないときは、
    電話でもしてください。飯なら付き合えますので、愚痴ぐらいなら聞きますよ

  2. 荒野草途伸

     一応の挨拶はありましたよ。一応はね。でも何十人もいるわけだし、ほんとに「挨拶」でしかないんですよ。名前なんか覚えられっこない。
     あと、去年も同じパーティに参加してた人がいたんですけど、去年とは形式がだいぶ違ったらしい。普通はプロフィールカードとか最初に書いて、それを交換しながら話していくから、それで名前はわかるし、話も入りやすい、って事みたいなんだけど、そういうのもなかった。
     まあ、もう今はそんな心配していただくほど深刻な状況にはなってないですよ。つか、こんなんで2週間も引きずってたらさすがにやばいよね。もっときついのだって経験してるわけだし。

コメントを残す