ご通行中のみなさま、荒野草途伸と申します。
どうかお聞き下さい。労働法制と残業規制、”働き方改革法案”の話です。
まずはじめに、政府の働き方改革法案には、残業規制のような労働者を保護する内容と、高プロのような労働者保護に反する内容が同時に含まれていることを、知ってください。
その上で、残業規制を中心にお話ししたいと思います。
残業規制、とは、過労死を防ぐ為に、時間外労働、いわゆる残業に上限を設ける規定です。
現在の労働基準法には無く、厚生労働省の政令でガイドラインが定められているだけです。
IT系や商社などではずいぶん前から、過労による、死亡、病気、業務の滞り、といった問題が言われていますが、今や民間だけでは無く教員や公務員でも過労の実態が次々に明るみに出ています。
しかし長い間、政治は過労死問題に対して、無策でした。
ですが2015年12月 電通女性社員が過労自殺するという事件が起きました。ここから、過労死防止の法制化の動きが、ようやく始まりました。
2016年10月には、野党のうち、民進・共産・社民・自由の4党が、長時間労働規制法案を提出しました。
これを受けて、翌年2017年には政府も残業を規制する方向に政策を転換しました。
ですが、自民党と公明党による連立政権が出した内容は、現在厚生労働省が政令で示している過労死基準を、大幅に超える100時間残業を、してもよいとするものでした。
これはつまり、100時間残業したら死ぬ人間は、とっとと死ねば良い、と言っているのと同じです。この内容では不十分なのです。
その上、2017年4月になって、2つの事件が残業規制の法制化の邪魔をしました。
「共謀罪」と「モリカケ」です。
人の命がかかった残業規制よりも、未遂の犯罪を取り締まることを、自民
党政権は優先し、 人の命がかかった残業規制よりも、国家財産の不当な払い下げの追求を、野党は重視したのです。
この2つの事件の為に、2つの重要な法案が葬り去られようとしました。
一つは、先程から述べている残業規制。
そしてもう一つ、当時存在した、強姦罪の泣き寝入り規定の撤廃です。
その後、強姦罪泣き寝入り規定の撤廃は、強制性交罪の創設という形で、辛うじて成立しました。
しかし、代わりに残業規制は、秋の臨時国会に先送り、という扱いにされました。
ただ、この時は、先送りとは言え、2017年秋に残業規制をやる、そう自民党は国民に約束をしたのです。
ところが。その約束は破られました。
2017年9月に安倍晋三が衆議院を解散したことで、残業規制は審議も提出もされる事無く、葬られたのです。
このような経緯がありました。
臨時国会直前の8月。
自民党政権は、残業規制を、「高度プロフェッショナル制度」と「裁量労働制拡大」を、抱き合わせるという方針を出してきました。
あの、第一次安倍内閣 以来一貫して猛批判を浴び続けている、高プロです。
残業規制は、過労死基準を超える100時間残業を合法とし、挙げ句、10年以上前から批判を浴びている「高プロ」をまたしても国会に出そうとする安倍自民党政権に批判の声が高まり、政権支持率は急落しました。
間違ってもモリカケではありません。
労働法制が原因で、内閣支持率は落ちたのです!
支持率が危険水域に達した安倍晋三はどうしたか。
突如衆議院を解散したのです。
衆議院が解散されると、それまで継続審議になっていた法案も含めて、選挙が終わるまであらゆる法案が審議できなくなります。
つまり、自民党は、秋に残業規制をやるという国民との約束を、この瞬間破ったのです!
総選挙後に開かれる「特別国会」で残業規制をやることも、可能でした。 もちろん、野党はそれを求めました。
しかし、審議は行われることはなく、残業規制は有耶無耶にされたまま、2017年は終わってしまったのです。
そして、悪夢の総選挙から約半年経った2018年2月。
ようやく、ようやく、政府が「働き方改革」の名の下に、残業規制の法制化に再着手しました。
ですが、「働き方改革」とは名ばかりで、実際には秋に話の出た欠陥抱き合わせ法案そのものでした。
しかし、実はこんな話もあったのです。
度重なる労働者の要求に恐れをなしたのか、霞ヶ関側から、共産党の高橋千鶴子議員に、働き方改革一括法案のうち、「残業規制と同一労働同一賃金のみ先行でどうか」という妥協案の打診があったのです。
その後、裏でどのようなやりとりがあったかは、議員でない私にはわかりません。
ですが実際、その後裁量労働制については秋に審議見送りという事になりました。
ところが、です。
3月になって、公明党の要求により、中小企業は残業規制を免除する、という規定が入れられてしまいました。これに自民党も同調しました。
つまり、中小企業で働く人は、正社員も派遣社員も、100時間の残業規制の恩恵すら受けることはできない、という内容にされてしまったのです。
その結果、次に挙げる人は残業規制の対象外にされてしまうことになりました。
1つ、・中小企業の従業員
2つ、・高度でプロフェッショナルな職業、
これは諸手当込みで年収1075万円以上の人が対象です
3つ、・個人事業主扱いの人
4つ、・管理職扱いの人
以上の人は、たとえ政府の働き方改革法案が通っても、残業規制の恩恵を受けることは、ありません!
ちなみに、中小企業の定義は中小企業庁のWebサイトに書いてあります。
従業員数か資本金のどちらかが一定の数以下であれば、中小企業として扱われるのです。
売上とか利益とか大企業の子会社とか、そんなのは中小企業の定義とは関係ないのです。
つまり、やろうと思えば、残業規制逃れの”中小企業”子会社を作ることだって可能なのです!
ブラック企業なら必ずやるでしょう。ちなみに、あのワタミの元社長は今、自民党の参院議員です。覚えていますか?
そして、中小企業は100時間を超える残業も合法、が自民党と公明党の施策。これが4/7、確定したのです。
人命よりも企業経営が大事。
会社の為に死ねという昭和の発想そのまんま。
これが自民党と公明党という政党なのです。
中小企業に配慮するというのなら、人を確保する為の支援とか、無理な納期を拒否できる下請法の改正とか、やるべきはそっちな筈です。
それが、過労死を合法化することが中小企業への配慮とは、一体どういう感覚ですか!?
先頃、人命に配慮しない相撲協会が問題になりました。
自民党も同じです。人権感覚が全く無いのです。
ですから、残業規制は、野党が議員立法で法案提出すべきなのです。
実際、立憲民主党も共産党も、対案の内容は既にまとめています。
立民案では最大80時間規制、共産案では原則通りの45時間規制で、国民党も45時間尊重で検討中とのことです。社民党も、自由党も、沖縄社会大衆党も、基本的には同じ路線です。
野党は過半数を持っていないから出すだけムダ、野党支持者の中にすら、こんな事をほざく輩がいます。
いいえ、無意味ではありません。
たとえ今は数の力で通らなくても、自民公明両党に対し、人命尊重の是非を問えます。これは、次の選挙の最大の争点になります。
幸いにも、この過労死合法化法案に拍手喝采を送る人は少ないです。
それでもまだ、こういう事を言う人間がいるのです。
「俺は働けるから大丈夫」。
ふざけるな! お前らの話などしていない。
我々は月80時間オーバーワークしたら死ぬ人間の話をしているのだ!
私、荒野草途伸がTwitterで行ったアンケートで、こんな結果が出ました。
今の安倍政権を支持するかどうか、というアンケートで、「日本死ね」、という選択肢を選んだ人が、13%に上りました。
13%です。
支持するしない以前に、日本死ねと思っている人が、13%もいるのです。
それほどまでに、この日本の社会と政治は、病んでいるのです。
もはや「知らない」では済まされません。
これは、10年以上にわたる、我々労働者の命をかけた闘いなのです!
先日、報道各社のニュースで、自民党がまたしても解散を検討している、との報道がありました。
自民党は、1度ならず2度までも、解散で残業規制を潰すつもりなのでしょうか!?
そんな事が許されるはずがありません!
解散はしなくても、会期延長はしない等と言っているそうです。先週末、働き方改革法案は衆院で3日しか審議しないという情報も飛び込んできました。
何故ですか!? 重要法案なのでしょう? 何ヶ月でも会期延長して、徹底審議すべきではないですか!?
今日はまず、皆さんに事実を知って欲しくて、この演説をしました。
次に何をするにしても、誰もなにもわかっていないのでは、話にならないからです。
今はまず、この労働問題に関わる事実を知ってもらいたい。
そして、野党がこの後提出する はず の残業規制の対案に、皆さんも賛同して欲しい。
8時間働けばまともに暮らせる社会を。
それが今の私の願いです。
ご清聴ありがとうございました。
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※5/2(水)、愛環中水野駅前、JR高蔵寺駅北口で行った街宣内容になります。
4/24(火)高蔵寺駅北口、4/26(木)犬山駅前、4/28(土)勝川駅南口、YouTube公開版 で行った街宣演説から、若干内容を修正しています。