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「TPPと著作権の非親告罪化」勉強会報告書


 3/9(月)に、東京・永田町の衆議院議院会館で行われた「TPPと著作権の非親告罪化」勉強会に行ってきました。
 国際日本文化研究センターの山田奨冶教授の講演の他、参院議員の山田太郎(日本を元気にする会)・徳永エリ(民主党)両議員より、現在の情勢についての報告がありました。

 以下、報告並びに講演の内容を、ざっと列挙していきます。
(※注釈以外は、発言の内容を要約したものであり、荒野草途伸の個人的見解とは異なる倍があることをあらかじめお断りしておきます。)

 まずは冒頭、山田議員からの挨拶を兼ねた報告。

山田議員:
 過去の大臣答弁について言及。下村文科相は過去に「TPPは慎重派のはず」という質問に対し、親告罪化は適切でないとの答弁があったことを確認。
 条約には留保という手段があることを紹介。
※注 国連人権A規約など。後ほど出てくるように、憲法上必ずしも適切な方法では無い)。
 一部条項について留保を適用すべきではないかとの質問趣意書を提出しているが、政府は一向に回答してこない、無視状態。
 一部の与党議員からは「山田さんはあきらめろ」とまで言われている,とのこと。

 また、警察庁に確認したところによると、「同人マーク」(※注 漫画科の赤松健氏らが提唱した、著作権利用の黙認の意思表示の為の統一標章)は、全くの無意味。あろうがなかろうが、捜査対象になるとのこと。

 この後、山田教授による講演会。これも要約した形で列挙する。

 TPP交渉が秘密会議で行われている事に対して大きな違和感を感じている。
 現状を鑑みて、やむを得ず変更しなければいけないならば、という視点で講演。

 

そもそも、非親告罪化とは?

 権利者の意志に関わらず検察が起訴に持ち込める。現状は起訴に持ち込めないが故に警察・検察が動かない(捜査が無駄になりかねない為。現在でも動くことはできる

 アメリカにとっては日本のアニメ・マンガ文化はライバル(穿った見方)なので、日本に制約をかけたい意図もあるのではないか?

現在の流れと影響

 今回の「非親告罪化」の話は、ウィキリークスによって公表された文書に記載されているもの。ウィキリークス日本語訳アカウント @fr_toen はフォロー必須。
 ウィキリークスの内容としては
・非親告罪化は、ベトナムが反対している
商業化限定云々は、日本の提案
・権利者が著作物を利用する権利に限定
 この内容ならば、現状通りの親告罪でいいのでは? という矛盾をはらんだ内容。

 これが通ってしまうと、創作文化に多大な悪影響が及ぶことが懸念される。例えば、孤児作品(著作権者不明の古い作品)のアーカイビングは誰もやらなくなると思われる

 日本国内での動きとして、2009年1月の分科会では、非親告罪化は慎重に検討、という結論になった。
 2012年に違法ダウンロードの刑罰化が規定されたが、これも現在はまだ親告罪である。親告罪は捜査の障害になっていない。告訴しない人は、そもそも捜査に協力しない。
※注 逆に、非親告罪化された場合、警察が勝手に動いた案件で著作権保持者が警察の取り調べを受けるケースもあり得る。さらに言えば、それを別件捜査に利用される懸念も

他にも。。。
・著作権保護期間の70年化
・法定賠償金制度(示談で済まない)
 といった、懸念される改定協議が行われている模様。
 現行法と非親告罪化+上2つで、著作物の利用と保護のバランスが崩れる

 

対処法として

 フェアユース制度は有効なのではないか。これはそもそもアメリカの制度。ただし、今回アメリカはフェアユース制度導入を要求していない。また、商業的規模の二次創作は、フェアユースとはいえない(保護できない)。
 映り込みの規制緩和等(※注 一昨年秋施行の改正著作権法から、「映り込み」に関しては著作権侵害では無いとの明確な規定が入った)は、日本に於けるフェアユース導入議論のなれの果て。このレベルではフェアユースとは到底いえない。

日本政府の姿勢

 徳永参院議員による質問趣意書への回答:
「守るべきものは守り攻めるべきは攻める」(意味不明)

 アメリカ国内ではTPP交渉の秘密主義に対する批判もでている。

 方向性として、「登録著作物のみの非親告罪化(70年化も同様)」という話も出ている。
※注 著作権そのものは自然発生権である為特許のような登録は不要だが、訴訟等に供える為の制度として、文化庁に著作権保持の登録を行うことが出来る。登録された著作物はほぼ企業によるものだから、産業財産権並みの扱いをしてもいいのでは? という話らしいのだが。。。

 政治が文化に悪影響を与えることはあってはならない

 山田教授の講演は、ここまで。
 この後、徳永・山田両参院議員より、改めて報告が行われる。

徳永エリ参院議員:

 アメリカのTPP交渉担当省庁であるUSTRの情報は、一部大企業はアクセスできる。日本政府の秘密主義の深刻さ。(※注 日本は、TPP交渉は一切が秘密交渉であるという建前の元、一般国民には一切の情報開示がなされていない。
 農協改革も、TPPに反対する農協への制裁なのではないか? という声も上がっている。

山田太郎参院議員:

 「国会批准の時に議論すればいいんじゃないの」と言う人がいる事への懸念。条約はほぼ自動成立という憲法上の規定がある。(アメリカとは違う)
 通されたときのための備えが必要。運動を盛り上げすぎると途中で息切れしてしまう。

 これに、山田教授が質問
「条約と関連法は政治手動?」
→山田議員
「政府は秘密でやりかたがっている。批准と関連法を突然一気に出してくることが想定される。逆に先に議員立法で著作権法改正案を出してしまう手もある。」

 この後、質疑応答。誰も手を上げようとしないので、先に荒野が質問した。

「著作権というのはそもそも文化財産権で、特許や商標等の産業財産権とは違う。著作権を産業財産権として扱ってしまっていることに、そもそも無理があるのではないか?」

→山田教授:
 著作権は1970年代とはだいぶ性質が違う。産業財産権の性質も多分に持っている。が、現在の著作権法は複雑すぎる。正直理解出来ない。
 整理し直す為にもドラスティックな改正が必要。

→山田議員:
 著作権は適用が主観依存。適用の線引きが難しい。司法サイドの拡大解釈に依存している。登録著作物であれば、わかりやすいが、そうでないものは線引きが難しい。
 警察はどのみち捜査権は持っているというスタンス。一罰百戒という形になるだろう。懸念されるのは自主規制とお互いの刺し合い。
 また、それってそもそも著作権なのか? という議論は残っている。

 この後、他にも幾つか質問が出た。

質問:
 韓国では米韓FTAに伴いフェアユース制度が導入されているが、韓国でどういう問題が起きているか。日本で適用した場合の懸念点

→山田教授:
 韓国の専門家に訊いたが要領を得なかった。そもそも韓国でもあまり認知されていない? むしろ情報がほしい。

質問:
 フェアユース実施時の権利者の反応について。また、パロディ利用に水を差すのではないかという懸念は?

→山田議員:
 現行法でも権利者は守られている。めんどくさいから権力任せにしたいのではないか。
 今回の次第の懸念は、「なんだかよくわからないけど怖いね」という不安感。

 この件に関して、勉強会主催の「うぐいすリボン」の荻野氏より、報告。

荻野:
 権利者からすればフェアユースは権利の切り下げですらある。権利者からすればフェアユースは本当にイヤ。

質問:
 フェアユースで同人誌は守られないとはどういうこと?

→山田教授:
 そもそもフェアユースがあるから許されると言うものではない。あくまで裁判の時の武器。どっちみち二次創作は裁判上等でやらないといけない。
 また、アメリカから見れば、日本の同人誌文化はフェアユースと同等。むしろアメリカの方が規制は厳しい。アメリカは訴訟大国なので、裁判用の環境整備が必要で、その為のフェアユース制度。日本は訴訟にいく前のことを考えないといけない。
※注 注釈というわけでは無いが、ならば「フェアユース」という言葉は使わない方がいいのでは? という疑問を持ちました。

 ここまでで、予定時間が来てしまったので、会議終了。本日21時までの「緊急声明」への賛同の呼びかけを以て、閉会しました。

 「緊急声明」への呼びかけはTwitter並びにGoogle+で既に行ったので、そちらに任せるとして。
 著作権制度の抜本的改正の必要性と、それを議員立法で行うことによるに日本政府へのカウンターという話には、大変興味を引かれました。
 以前、もうかなり昔になるが、一太郎訴訟の際に関して書いた文書で、ソフトウェアに関して特許や著作権という枠組みでは到底収まりきらない部分が有り、新しい権利制度を創設するべきでは無いか? という事を触れています。
 これを、ソフトウェアに限らず、商業著作物や映像コンテンツ等といった「新しいメディア」を包括する形で権利と利用のバランスの取れた制度を作れないか。という事を感じたというか以前から考えていたのですが、改めて感じた次第です。
 TPP交渉自体が今後どうなるか、全く先が見えませんが。


特許庁は落ちた


 特許庁の任期付審査官採用試験は、二次試験(面接)で落ちてしまった。まあ、面接とか事前面談の段階で、「お呼びでない」ということはうすうす感づいてはいたのだが・・・。
 先々週に行った事前面談では、自分が如何に知財(特許)業界のことを知らないかということを思い知らされた。「知財関係が伸びるなんて保証はどこにもない」「ビジネスモデル特許はただのバブル」らしい。そもそも自分がやってきた業務アプリケーションというものは、特許と絡むには非常に難しいものらしい。
 さらに、他にどんな人が受けているのかちょっと聞いてみたら、「30でリーダーになって今はマネージャをやっている人」「JAVA関係の雑誌に記事を書いている人」「元々特許関係志望だったけど新卒で特許関係に入るより一度開発現場を知った方が言われてメーカーに就職していた20代の人」と。
 ここに来るのは、自分とまるでレベルが違う人たちの集団なんだということがわかった。
 それだけで相当ヘコたれてしまったのだが。それでも、なんとか自分の手持ちの技術で戦うしかないと言い聞かせ、面接に臨むも。あがっちまって何言ってるか解らない状態。ただでさえ面接は大の苦手なのに、内にコンプレックス抱えた状態で、うまくいくはずがない。
 気落ちしながら控え室に戻る。同室の人が何か話をしている。どうやら、みんな特許事務所に勤めている人達らしい。
 ・・・既に業界経験のある方まで、受けてらっしゃるのですか?
 というかその人達の話によると、特許事務所というのは相当厳しい業界らしい。顧客と特許庁の板挟みのような仕事だし。顧客から「発明をしてくれ」なんてようなことを言われることすらあるとか。
 自分、特許なんて実は関わった事無いから。そういうの全然知らなかった。
 しかしそんなんじゃ、面接でも言われたけど、「なんでこっち志望したの?」だよなあ。・・・根本的に進路選択を誤ったんじゃないか、とすら思えてきた。
 かといって、システム業界は先が見えてるし。
 ど う す れ ば い い ん だ

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