消費税減税が低所得者には恩恵になり得ない理由


 住民税非課税レベルの低所得者として言わせてもらう。
 消費税減税が低所得者に恩恵がありなどという詭弁を弄するのはもういい加減にしろ!!
 消費税減税したって物価が自動的に下がるわけじゃない。家賃も交通費もそのままだ。影響がありのは月2万円の食費光熱費くらい。0にしたって月2千円にしかならん。全く意味無い!!!!!

 この期に及んでまだ消費税減税を景気対策にとか現実から目を背けたアホなこと言うんだったら、今後もう一切共産党含めて野党には協力せん!!!!!


 こういうことを以前Twitterに書いた。コロナ禍の中、消費税減税をれいわ新選組だけでなく共産党や国民民主党、さらには立憲民主党の一部から自民党に至るまで検討していた時期である。

 この時の減税論者の論調は、「消費税は逆進性が高く低所得者への打撃が大きいので、減税すれば低所得者の負担増になり消費支出増に繋がる」というものだった。
 
 これは、21世紀令和の現代日本の低所得者の実態を全く把握も理解してもいない無知から来る迷信である。後ほど詳しく説明するが、大まかな内容としては上記のTwitterで書いたものになる。

 これを書いて、そこそこ反響があってRTもされたにも関わらず。各党には全然伝わっていなかったのか或いは見ても無視したのかは知らないが、当時私が所属していた日本共産党は以前からの消費税は逆進性が高いという理論に基づいて「低所得者の為に消費税減税をせよ」等といいだしたので、私はキレて共産党を離党するに至ったのである。
 商工業者の為とか、他の理由を持ち出すならまだしも。消費税減税なんかこれっぽっちのメリットも無い低所得者を引き合いに出して低所得者の為に消費税減税をしろなどという妄言を吐かれてはさすがにたまったものでは無い。
 それまでの諸々の細かい不満と合わせて、離党の意向をメールで伝えた。という次第である。(※紙に書く正式の離党届は出していないので、今まだ党籍が残っているのかはよくわからない。コロナ禍を理由に面談自粛にしたので。

 まあ、私の離党理由はともかくとして。

 低所得者には、消費税減税の恩恵は無い
 これは私自身が、昨年の収入が年額111万の障害年金だけ(マジで)という低所得者として暮らしているから、断言できる。ちなみに東京に講師出張したりして所得のあった一昨年でも、控除や経費をさっ引いたら住民税非課税世帯になった、そういうレベルの収入でしか無かった。

 別に不幸自慢をしたいわけでは無い。ただ、低所得者の生活実態と、消費税と低所得者を絡めることの無意味さ、これらを理解して貰いたいだけである。

 さて。昨年は収入が無く、今年の年初に勤めていたバイト先が3月でクビになったので、今も月収は無い。収入は2ヶ月に一度振り込まれる障害年金と、株為替用の基金(要するに貯金)を取り崩したお金で凌いでいる。
 振り込まれる金額は、年金生活者支援給付金(※民主党政権時に法案が国会を通過・成立したが、直後に自民党に政権が変わった為に実際に施行されるまでに7年もかかった、第二次安倍政権の失政を裏付ける案件の一つ)なるものも含めて、196,324円が沖縄海邦銀行の口座に振り込まれる。琉大生の頃からずっと使っている口座でクレジットカード等の引き落としも全部この口座にしているので、この口座を指定したまでだ。ちなみに先日の「10万円定額給付」もこの口座を指定した。どうでもいい話だが。

 年金は2ヶ月に一度、2ヶ月分がまとめて振り込まれるので、1月分は半分の98,162円になる。現在これで基本出費をまかなっている。

 では、実際の出費を見てみよう。月によって臨時出費があることもあるし、光熱費は季節変動があるが、概ねこんな感じである。

 生活費が7万4千円余。これだけなら年金1ヶ月分でまかなえるが、リボ払いの返済等があるので、実際には臨時収入や貯金の取り崩しで対応している。
 念押ししておきたいが、高額な買い物をする時に低所得者は現金ニコニコ払い何か出来んのである。そんなことしたら餓死してしまう。リボなり分割なりローンなり、とにかく支払いを先延ばさなければ、エアコンも冷蔵庫もパソコンも買えやしない。全て必需品である。パソコンは人から借りるものなどでは無い。ちなみに車は今は持っていないので、車のローンは当然入っていない。

 さて。このうち、消費税として払っている金額はいくらになるだろうか??? それを示したのが、fig2になる。

 家賃は、県営住宅なので非課税である。まあ、民間住宅でも消費税を意識する必要はあまりないだろう。消費税が上がったからといって家賃が上がったとは限らない

 自治会費も医療保険料も、消費税は無い。自治会費は非営利任意団体の会費扱いであるし、掛け捨てタイプの保険料には消費税は課されない。
 そして当然のことであるが、借金の返済にも消費税はかからない

 よって、現在荒野草途伸が毎月払っている消費税は、6,316円という事になる。年金給付のわずか6.4%だ。
 なお、食費に医薬品費を含んでいる為税率は10%で計算したが、実際には半分以上は8%で払っている。理由は軽減税率である。にしたって、軽減されているのは月500円にも満たない。

 上記のことも考えて、毎月払っている消費税額は6,000円としておこうか。

 これが消費税減税で、5%になったらいくらになるか。
 単純に考えれば3,000円となるが、実際にはそうはならない。

 まず、携帯電話の機種分割代は、「既に支払い済みの消費税分を含んだ、ローンの支払い」だからである。だから、消費税分は含んでいるが、減税の対象にはならない。ローンだからである。
 これを勘案すると、差額は2,464円になる。

 また、交通費というものがある。電車代、バス代。特に路線バスは、基本赤字経営である。消費税が下がったからといって、値下げする余裕なんて無い。そもそも消費税増税に伴う値上げ時には、上がる消費税額とは関係ない額が値上げされてきている。いわゆる便乗値上げなので、当然である。これを責めることは出来ない、赤字経営なのだから。

 だから、消費税が下がったところで、交通費は下がらない。上記の表は払う消費税額(事業者が税務署に納める消費税額)ということで計算しているので、減っているとして記載しているが、個人の実負担は何ら変わらない。
 そう考えると、交通費に関してはむしろ変動無しの「-」表記と同じ扱いにすべきだろう。
 つまり、差額のうち交通費の消費税減分290円は、実利から除かねばならない。

 実際に恩恵を受ける実利は、2,174円と言う事になる。

 2,174円
 21万7千円じゃ無い。2千円と少しである。
 ソシャゲでガチャ1回ひいたら終わりの額である。
 店に焼肉食べに行ったら、ほぼ無くなる額である。
 通院帰りにちょっと足を伸ばして知多半島なり三重県なり行ったら、2,000円では収まらない。犬山当たりなら何とか…というレベルである。

 そんなんで一体、どれだけの消費喚起になるというのか??
 いや、消費喚起の話は今はいい。たった2千円減税されて、それが生活が良くなると本気で思っているのか?

 これが消費税全廃で負担減が5千円あまりになったとしても、50歩百歩である。
 5,000円で何が出来る? 毎食の1袋30円の焼きそばを、メーカーものの名産品つけ麺に変えられる、そんな程度では無いか。

 というかその前に、全額借金返済に回って終わりである。

 「それでも全くの0では無く、一応プラスなのだから良いでは無いか、贅沢を言うな」こんな事を言い出す人間がいるかもしれない。

 では訊こう。5%減税にしても消費税全廃にしても、その財源はどこから持ってくるつもりだ?

 福祉切り捨てしかないでは無いか。

 私が現在受けている福祉サービス、障害年金、自立支援医療費助成、国保税減免、家賃減免、バス代半額、その他障害者向け行政サービス。これらに全く手を付けずに消費税を減税するなど、出来るはずがない。
 消費税のうち2.2%は地方消費税、つまり自治体財源なのである。消費税減税をやられたら、自治体財政はあっという間に火の車である。今ある福祉を維持するなど到底不可能だ。そういう時に真っ先に切られるのは、障害者福祉だ。

 所得税や法人税を増やしたところでこれは国税なので自治体には関係ない。無論、国債発行で補填するなど不可能だ。れいわ信者はMMTよりもまず自治体財政について勉強するべきだった。そういえばあそこ、地方議員が1人もいないんだったっけね。

 上記を一言で言うと。消費税減税とは福祉切り捨て政策と裏腹なのである。

 ふざけるな、という言葉しか出てこない

 自立支援医療費助成が無くなるだけで、月5~6千円の負担増だ。消費税減税分なんてこれだけで飛ぶ。障害年金削減なんて事になったら、もう首をつるか刑務所行きを目指すしか無い。

 消費税減税を主張している人間は、ここまでのことを考えてモノを言っているか?

 いや、よしんば個別の事情があって言っているだけで低所得者や障害者のことは頭になかった、という話でもだ。
 低所得者の為、なんてのがとんでもない詭弁でしか無い、というのは一目瞭然だろう。
 こんなの、電卓で計算すればすぐわかることだ。

 それとも、低所得者でも月15万程度の収入があるとでも思っているのか? だとしたらなんという無知蒙昧だ。というか、そんなに収入あったら低所得者では無い、今時。

 私自身の生計に照らして、低所得者を基準にここまで語ってきたが。
 中高所得者だって、同じ事が言える部分がある。そう、借金と交通費だ。

 地方在住者なら交通費はそんなに重くないかもしれない、車に乗るから。他に選択肢が無い。
 だが、その車はどうやって買う? 現金一括で買う人はあまり多くない、自動車ローンなんて年利2%程度だから。そして払う額はずっと一緒だ。消費税率は関係ない。
 これは家でも教育ローンでも全く同じだ。

 それらをさっぴいたうえで、消費税減税とやらがどれだけ家計の余裕をもたらすか、ちゃんと計算したのか?
 していたら、「消費税減税で景気回復」なんて恥ずかしい台詞、言えるはずが無いのだが。

 低所得者からしたら百害あって一利無し、中高所得者からしても大した恩恵は無い。そんな、消費税減税なる政策に、私は命を賭して断固反対する。実際、生活がかかっているのだから、こんな政策やられたら命に関わる。

 敢えて言えば、私は消費税増税派である。理由はベーシックインカム導入論者だからなのだが、それについては論点がまた違うので、別の機会にまた話すとしよう。

 それにしても、消費税減税なんて非現実的な弱者虐待政策を唱えるアホがこんなに大勢いるなんて思わなかった。
 低所得者として実態を知らせるべく、もっと早くこの文章を書かなかったのは、明らかに私の落ち度である。その点については猛反省である。


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