東京都議会の良識ある判断を求む~二次元規制条例の提出に絡んで


漫画・アニメの「非実在青少年」も対象に 東京都の青少年育成条例改正案(ITmedia news)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1003/09/news103.html
 こういう問題に関心のある方にとっては周知の事実だと思うが、まだまだ知られていない方も多いと思うので、敢えて弱小ブロガーの自分も声をあげさせて頂く。
 東京都が、「非実在青少年」なる造語を作り上げて、その「非実在青少年」を保護する為に出版物その他表現創作物を規制する為の条例を都議会に提出したというのだ。
 荒野草途伸は基本的に「よその自治体のことはその自治体が決めるべき事。よその住人が口を挟む筋合いはない」というスタンスなので、これまでも石原東京都知事や橋本大阪府知事、東国原宮崎県知事が何を言おうと、大概のことには目をつむってきた。
 が、今回の問題は東京都に出版社が一極集中しコミケの開催会場でもあることから、全国的な影響があまりにも大きすぎるという判断から、敢えて声をあげさせて貰うことにした。
 で、都議会の議事録を見ると、
〇十二番(西沢けいた君)
(中略)
 最後に、青少年健全育成条例の改正案について伺います。
 青少年が被害者となる悲惨な児童買春や虐待などの行為を野放しにしていいわけがありません。また、青少年の健全な育成に向け、有害な情報のはんらんも防がなければなりません。
 こうした中で、今回の改正案には、規制の対象となる図書類等について、青少年をみだりに性的対象とする悪質な漫画が追加されており、その定義の中で、非実在青少年という新たな概念が盛り込まれております。年齢または服装、所持品、学年、背景その他の人の年齢を想起させる事項の表示または音声による描写から十八歳未満として表現されていると認識されるもの、これを非実在青少年というようでありますが、青少年を描写した漫画やアニメのことを指すものと思われます。
 過激な表現が描写されているものは当然規制すべきかと思いますが、こうした新たな概念が具体的にどのようなものか明確ではなく、あいまいです。解釈のしようによっては、青少年を描写した漫画やアニメのほとんどが適用されてしまうのではないかという懸念を持つ方もいます。その他含め、出版物が有害かどうかを行政が判断することになることには慎重な意見もあります。国での議論がこれから進めている問題でもありますが、見解を伺います。
〇青少年・治安対策本部長(倉田潤君) 青少年に係る漫画等の規制についてでありますが、今回の青少年健全育成条例改正案におきましては、漫画等において明らかに青少年として表現されているものを非実在青少年と定義した上で、その性交または性交類似行為に係る姿態を、正当な理由なく性的対象として肯定的に描写した漫画等について、青少年に対する販売等の自主規制及び不健全図書指定の対象に追加しようとするものであります。
 これは、このような漫画等を青少年が閲覧することにより、青少年の健全な性的判断能力の形成を阻害するおそれがあることによるものであります。したがいまして、単に子どもや、その裸の描写が含まれる漫画やアニメを規制するものではなく、また広く成人に対する流通一般を規制するものでもありません。
 なお、本条例には、昭和三十九年の制定当時から、青少年が閲覧することで、その性的感情を刺激するなど、青少年の健全育成を阻害するおそれがある漫画などの図書類について、青少年の目に触れないようにするための規定が設けられております。
 具体的には、出版関係者による青少年への販売等の自主的な規制を基本としつつ、著しく悪質なものに限り、青少年健全育成審議会に諮問の上、都が不健全図書として個別に指定し、青少年への販売等を制限するものであり、こうした仕組みにより、青少年の健全育成を図ってきたところでございます。
 今回の改正案につきましても、慎重な手続を経て運用されることに何ら変更はございません。
 とあり、「漫画やアニメを規制するものではない」とは答弁している。しかし、そんなものはあくまで解釈論であり、時の為政者によって自信の都合良く解釈されて規制の根拠にされる可能性は十分にある。
 否、そもそも「非実在青少年」が「性交または性交類似行為に係る姿態を、正当な理由なく性的対象として肯定的に描写した漫画等」が、何で青少年の健全育成に害を及ぼすのか。まずこの辺から、議論がおかしい。
 そもそも、彼らの言う「健全な性的判断能力の形成」とは何なのだろうか。東京都当局は、「性交または性交類似行為」をそこまでして悪な行為だと定義づけたいのであろうか。
 それならばそれとして、東京都の教育条例なり何なりを作って、小中高生に「未成年のセックスはいけない事ですよ」と教える施策を採るべきであって、表現物に対する不当な取り締まりで問題を解決しようとしているのは、本末転倒と言わざるを得ない。
 また、児童ポルノ絡みの話であるならば、「非実在」なのだから被害者など存在するはずもなく、よって処罰取り締まりの対象とするべきではない。
 東京都は一体何をしたいのだろうか? というのが正直な感想である。
 現状だと、都政与党の自民・公明の他民主の一部も賛成に回って、このトンデモ条例は可決されてしまいそうな勢いなのだそうである。都議会の会期末は3月末だそうで、それまでに何らかのアクションを起こさねば、創作大国日本の表現の自由が損なわれる危機が訪れることになってしまいます。
 そういうわけで、この問題に関して条例制定に反対する署名サイトがあるとのことなので、紹介しておきます。
http://www.shomei.tv/project-1025.html
 それにしても、今回の問題に関してマスコミは一切だんまりを決め込んでいるそうですが、いったいどういうつもりなんでしょうねえ。東京都に青少年健全育成条例が制定されたときは、TVが入って議会の模様を報じていた記憶があるのですが。
 賛否にかかわらず、この問題を取り上げないことはゆくゆくは自分達の首を絞めることにも繋がりかねないというのに。これでは、「マスゴミ」何て揶揄されても致し方ないですね。
(もし、この問題について「うちは報じてるよ」というマスコミがありましたら、すぐにご連絡下さい。即訂正いたしますので。)
 ふう。今日は長くなったな。最後まで読んでくれた人がどれだけいるか、心配だ。
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東京都議会の良識ある判断を求む~二次元規制条例の提出に絡んで」への1件のフィードバック

  1. 今日起きたニュースはこれだ!

    青少年育成条例改正案 署名

    東京都青少年育成条例改正案について
    東京都青少年育成条例改正案についてですが、みなさんは、この改正案について、どのようにお考えでしょうか。意見をお聞かせください。 http://d.hatena.ne.jp/nakakzs/20100228/1267311270 http://www.webdice.jp/topics/detail/2317/尚、賛成の方は、賛成と書き、理由を、また、反対の方も、その旨をお書きください。私の意見ですが、反対です。その改正案の中に、「年齢又は服装、所持品、学年、背景その他の人の年齢を想起させる事項の表示又は《音声》による描写から《十八歳未満》として表現されていると認識されるもの」とあるのですが、音声というのは、基本的には十八歳以上の声優などが担当するものですよね。すると、その声優の方に「十八歳未満のように聞こえる声だな」と言っているようにも考えることができます。私が思うに、それはその声優の方の人権侵害だと思うのです。個人の尊重という点において、そのかたの声を侮辱しているように思えました。だからです。では、よろしくお願いします。(続きを読む)
    東京都青少年健全育成条例は改正されてしまうのでしょうか?
    東京都青少年健全育成条例は改正されてしまうのでしょうか?第28期東京都青少年問題協議会第2回総会が1月14日に開催されるそうです。内容はインターネット、創作物の有害性についてですが、メンバーが以前に「性同一性障害と同じく持って生まれた嗜好だという事で、子供に対する性暴力漫画を好む人達を放免とするのであれば、彼らは認知障害を起しているという見方を主流化する必要があるのではないか。認知障害があり、暴力的だという事が分かっていれば、証拠が無いのに法規制出来るのかという議論で論破出来る。そうした対策を考えていきたい。」と、人権無視、差別発言をした委員…

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