日本国政府による株式市場介入を


 10日、東証株価指数が暴落した。どっかにリンクを張るまでもないだろう。世界的、というか欧米の金融不安の煽りを受けたもので、日本にとってはとばっちりという他ない。
 対策としては、欧米に於いて公的資金を金融市場に注入するしかないと言われている。そして欧州では、既にその方向に向かっているらしい。G7諸国で、現時点で金融市場への公的資金注入の方向に向かっていないのは、米国と日本だけなのだそうだ。
 とにかく米国が何かしないことにはこの事態は収まらない。これはまあ、揺るぎない事実だろう。だからといって、日本は今回関係ないから何もしませんよ、ということでよいのだろうか。
 否、そんな事は決してない。むしろ、「今回特に何もする必要がない」と市場から思われている日本政府が積極的に動いてこそ、事態の打開には大きく寄与する。
 では、具体的にどこに介入すべきかと言ったら、そこは足下の国内株式市場であろう。
 外国の市場に日本国民の税金を使って介入することは、いくらなんでも税金の使い道として理屈に合わなさすぎる。が、日本の株式市場であれば「日本の金融市場の安定化の為」と言う大義名分は成り立つ。
 ここで、二つの問題が出てくるだろう。1つは、10年前の住専問題の時のように、国民の税金をどぶに捨てる結果につながらないかという懸念。そしてもう一つは、国内株式市場に日本政府が介入したところで世界的な金融不安に対応できるのか? という懸念だ。
 答えとしては、どちらも問題ない、と言う回答になる。
 1番目の問題について。
 住専問題の時は、買い取る対象が明らかに回収不能な不良債権であった。だから、税金をどぶに捨てるな、という議論がわき起こった。
 だが。今回国内株式市場に介入したとしても、それは税金をどぶに捨てることにはならない。何故なら、今の日本の株式の大半は、不良債権でも何でもないからだ。むしろ、優良企業の株価が異常なまでに下がりすぎていて、資金さえあれば買いたいと思っている人間がいっぱいいるくらいなのだから。
 むしろ、時期が来て株価が上がればそれは利益になるし、そのまま持ち続けても配当収入が入ってくる。日本国の財政にとってプラスになりこそすれ、マイナスになる懸念はほとんど無い。
 だから、少なくとも税金をどぶに捨てるということにはならないだろう。
 次に、2番目の問題について。
 今起こっている問題は、欧米の金融機関が資金不足に陥ってそれ故に欧米の金融市場がパニック状態に陥っているということである、だから日本政府が日本の国内市場に介入したところで問題は収まらないのでは? という疑問を持つ人もいるかもしれない。
 だが、そうではない。それについて、日本政府が国内株式市場に介入するメリットとして以下の2点を述べよう。
 まず1つは、日本国内金融市場の絶対的な安定化の保証である。今の金融パニックは、とにかく安定化のよりどころが無くて市場が右往左往しているような状態である。
 そこで「どんなに世界金融市場が混乱しても、日本だけは絶対に大丈夫」という強力なメッセージを発することが出来れば、市場はそこを拠り所に落ち着きを得ることが出来るだろう。結果として円高が急速に進行する懸念があるが、それについては次の項目で述べよう。
 2つめに、現在の日本の株式市場の暴落の一因に、外国金融機関による日本株売りというのがある。とにかく資金が欲しい外国金融機関が、日本株を投げ売りしているのだ。
 それを、日本政府が買い取りをする。そうすれば、外国金融機関は円資金を得ることが出来る。外国金融機関が手持ちの日本株を全部売れば、かなりの円資産が出来ることだろう。
 だが外国金融機関が実際に必要としているのはドルやユーロである。その為、彼らは円売りドル買い・円売りユーロ買いを一斉に実施することになる。当然、この行動は円安を招くことになる。
 つまりは、日本政府が日本株の買い取り保証をすることで、円高の進行を招くことなく世界金融市場の安定化に寄与することが出来るのだ。ただしこれは、日銀や政府出資の財団法人であってはいけない。日本国政府自身が、これを行う必要がある。
 そして。日本政府がこれを実施することで、「日本はこれだけのことをやった」と世界に向けて主張することが出来る。公的資金注入に消極的な米国に対して、欧州とともにかなり強い態度で対策を要求することが出来るのだ。
 そして同時に、世界同時金融不安を解決した立役者として、日本は世界から尊敬の目を向けられるだろう。中長期的に見れば、これは今後の世界の金融経済の主導権を、日本が握るチャンスを得るということになる。
 もちろん、リスクは当然ある。その最たるものは、財源だ。だが、どのみち政府は赤字国債を発行してまで補正予算を組んで景気対策をしようと言っているのだ。その財源を使えばいい。
 自民党の支持基盤にお金をばらまく、そんな麻生内閣型の景気対策よりは、こっちの方がよっぽど効果があるだろう。
 私の主張がいったいどこまで通るのかわからないが、もし政府政党関係者がこのブログを読んでいるのだったら、是非真剣に検討していただきたい。
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