反多数自立の風邪


 春日歩が大統領に選出される夢を見た。
 さすがにやばいと思った。
 夢の件はともかく。ずっとだるいのが続いている上に下痢の様相まで呈してきたので、無理をおして内科医に行った。
 そもそも、病気しても内科医にかかろうとしない性分である。しょっちゅう病気ばっかしてるから、いちいち行ってたら医療費がかさんで仕方ないというのもある。また、どのみち内科医にかかったところで、ただの風邪なら症状を抑えるための薬か体力回復のための栄養剤が出るだけである。なかなか行く気にはなれない。
 加えて、医院が遠いというのもある。
 福岡で働いてた頃は家から歩いて4分の所に内科医があったので、まー1割負担だし会社行くついでに寄ってくかーという気にもなったが。今はバスに10分乗った上にさらに15分くらい歩かねば、最寄りの医院までたどり着けない。
 自家用車で行こうにも、ただでさえ7,8年車の運転などしていない上に風邪ひいて熱のある状態で車の運転などしたら、事故を起こして外科医の方に運び込まれてしまうだろう。
 親に頼もうにも「ママーン、ぼきゅ、熱があってお腹が痛いのー、病院連れってってーん」などという頼み方をしようものなら、それこそ大病院に連れて行かれて強制入院措置になりかねない。
 そういうわけで、簡単に医者に行くわけにはいかないのである。
 しかし、今流行のインフルエンザなら寝て治るものでもないし、前述のように症状悪化の様子が出てきたので、めんどくさいが一度かかっておくかという気になったのである。ちなみに車の運転は親に頼んだが、「ママーン云々」という頼み方をしたわけではないので安心召されよ。
 医院に行ったら、案の定ただの風邪と診断された。他にも人が大勢来ていたが、それはみんなインフルエンザ患者だったらしい。薬局で「タミフルどうにかならないか、せめて10個」とか電話で言っていたので、結構緊急事態だったのかも知れない。
 そんな最中に、敢えて普通の風邪をひく。世間の流行から一歩離れたところに身を置く、倒れても尚、荒野草途伸流の粋は貫かれたのである。
 ・・・あー、まだ熱があるなこりゃ。寝るか。
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