フジライブドア対決に見る、経営戦争とブランド社会


 ここでもさんざ書いてきた、ニッポン放送問題。とりあえず今日、フジテレビがTOB(公開株式買付)によって36.47%の株式を確保した事で、一つの転換点を迎えたと言える(参照:Sankei Web「フジが36.47%を確保、TOB成立」)。
 堀江貴文氏率いるライブドアにとっては、いよいよ厳しい状況に追い込まれた、というのが世間一般の味方だろう。
 だが、果たしてそうだろうか。と、このニュースを見てからふと思ったのである。
 確かに、「ライブドアによるニッポン放送の買収」という目標は、非常に厳しい状況になっただろう。だが、例え子会社化できなかったとしても、以前現時点でライブドアはニッポン放送の筆頭株主であり、フジテレビへの新株予約権発行・増資が行われたとしても、なお20%以上を有する大株主であり続ける事に変わりはない。
 日本の会社ではあまりなじみのない事かも知れないが、株式会社の株主というのは本来、常に経営状態を監視し、随時経営トップと会談する事によって経営参画を行っていくものである。ニッポン放送とて、決して例外ではない。
 また、同じ大株主として、ニッポン放送の経営に関してフジテレビ、更にはフジサンケイグループのトップ陣と会談する可能性も、当然出てくるだろう。
 一介のベンチャー企業の社長が、国内トップレベルの巨大メディア集団であるフジサンケイグループトップと対等に話をする。
 これこそが、堀江氏の真の狙いではないのか。そう思えてきたのだ。
 だったらこんな、強引な金に任せた方法を使わなくても、と言われるかもしれない。会いたいならちゃんとその旨話をつけてきなさいと。フジテレビ側や、世の経営に携わる人間はそう言うかもしれない。
 だが、実際どうだろうか。名前も知らない、共通の知人がいるわけでもない、政治家の紹介というわけでもない、若造。そんな人間がいきなり会って話をしたいと言って、会ってくれる経営者が、一体どれだけいるというのだろう。
 今は、こんな状況だから、「ライブドアの堀江社長なら、とにかくまず会う」という人も多いかも知れない。しかし、一年、半年でもいい、そんな前にそういう話があったら、果たしてどうだろう。
 そう、例えば今現在の荒野草途伸だったらどうだろうか。何か新しい事業をしたい、とにかく話を聞いて欲しいと大企業トップのアポを取ろうとした時。一体どれだけのOKが得られるだろうか。
 知名度、若しくは実績。そういったブランド的要素がなければ、真っ当な手段で成功を得る事は出来ず、目指す事すら出来ない。それが今の日本の企業社会と言えるのではないだろうか。
 否、それは企業に限らない、日本人の社会全体に潜む一種の偏見のようなものなのかもしれない。
 堀江氏が本当のところ何を目的としているのか、それはわからない。ただ自分としては、彼の行動がこういう社会の暗部をさらけだし、修正する方向に向かう原動力となるのではないか、そういう期待を抱かずにはいられない。


フジライブドア対決に見る、経営戦争とブランド社会」への1件のフィードバック

  1. 星を見る人

    フジテレビ ニッポン放送株に対する公開買い付けで36.47%に

    フジテレビが、ニッポン放送株の36.47%を取得。
    保有数が3分の1になると、株主総会で取締役の任期途中の解任や
    定款変更、合併などの重要案件に対して拒否する権利を持つため
    単純に考えると、これからライブドアが…

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