北へ-4日目、知床


 4日目は知床。今回道東に行った最大の目的地でもある。
 2日目でも書いたように、知床へはレンタカーで行くことにした。斜里から定期観光バスを乗り継げばオシンコシンの滝までは行けたのだが、今回はどうしても羅臼側まで行きたかったので、車を借りることにしたのだ。
 摩周駅から釧網本線を北上して、知床斜里駅へ。世界遺産指定地への入口ということもあってか、駅舎が真新しく綺麗だ。駅前にあるバスセンターの事務所がレンタカーの営業所も兼ねていて、そこで手続きを済ませる。
 借りた車はプリウス。軽自動車よりもちろん若干高いが、ガソリン代を考えれば殆ど代わらないはずだし、それならばガソリン消費量の少ない車に乗った方が環境にも優しいというものだ。それに、プリウスなら乗り慣れているから運転しやすい(=事故の危険が少ない)というのもある。
 自分で運転する以上、途中で眠くなっては困る。ので、まずは近くのセイコーマートでペットボトルのコーヒーを2本調達。そして、知床国道へ。ひたすら北上し、まずはオシンコシンの滝を目指す。
 40分ほどでオシンコシンの滝に到着。
オシンコシンの滝
 次に、知床観光の拠点地であるウトロ地区へ。10時前にウトロ地区に着き、道の駅とかいろいろ観光客用の施設に入ってみる。
 知床観光船に乗ろうかと思っていたが、知床岬まで行く便が朝の8時台1便しか無いようで、もちろん既に出てしまっている。車を返す時間が17時であまり時間の余裕もないし、知床岬まで行かないなら無理に乗る必要もないかと思い、そのまま北上することに。
 20分ほどで知床自然センターに到着。ここから先はバスに乗り換えになる。途中の知床五湖までは一応マイカーでも行けるのだが、そこから先はマイカー乗り入れ禁止になっている。そして、知床五湖ではバスへの乗り換えが出来ないからだ。
 自然センター内の切符売り場でカムイワッカ湯の滝までの往復乗車券を買う。知床五湖で途中下車も出来るらしい。一緒に貰った時刻表によると、10:20のバスがすぐ出るようだ。なのでセンターを出てバス停の方へ向かうと、目の前でバスが行ってしまった。次のバスは10:40。20分のロス。時間の余裕がないのに、ちょっと痛い。
 10:40、バス乗車。車内放送で注意事項や案内などが流れるが、その中で「カムイワッカ湯の滝は落石の危険があるため、現在1の滝までしか行けない」という内容が。秘湯として有名な4の滝には行けないらしい。
 ・・・なんか、あまり行く意味がない気もしてきたが、もう乗ってしまったので仕方がない。せっかくだから車窓から見える知床の絶景を楽しむことにする。バスが走り続けているので写真がうまい具合に取れなかったのが残念。
 11:20、カムイワッカ湯の滝到着。
カムイワッカ湯の滝入口
 この滝を流れる水は、上流の硫黄山からわき出る温泉を源流としているため硫黄分が高く、酸性値が非常に高い。その為岩肌に苔などが生息していない為、水が流れていない所よりもむしろ滑りにくいとのこと。
 その案内通りに滝の中をひたすら突き進んでいくと、5分もかからずに1の滝に到着。あまりにもあっけない。
カムイワッカ湯の滝1の滝
 正直拍子抜けして、こんなことならすぐ帰ろうと思い、先ほど乗ってきたバスが11:33発なのでそれに乗車しようと滝を降りる。
 入口まで戻ったところで、バスが発車してしまった。またしても、目の前で。
 次に出るバスは、12:13。入口で突っ立っていてもしょうがないので、とりあえず1の滝に戻ってみる。と、ガイドの人に「もう少し先まで行けますよ」と言われ、行ってみることに。
 5分もかからずに、立ち入り限界点に到着。
カムイワッカ湯の滝限界
 近くの岩場に座って、滝の流れる様子を観察。岩が窪んで少し深くなったところで、子供が泳いでいた。
 ふと思いつき、その子供が立ち去った後でそのくぼみの脇に移動。靴と靴下を脱いで、足を浸けてみる。足湯でもしてみようという事だ。まあ、実際水温は30度くらいで決して熱くはないので、足「湯」と言うにはかなり無理があったが。しかし、暇つぶしには丁度いい。しばらくそうして時間を潰す。
 バスの時間が近づいてきたので、足を上げて靴下と靴を履く。と、その時誤って、胸ポケットに入れていたwillcom03を水の中に落としてしまう。カメラ専用にしていたのですぐに取り出せる胸ポケットに入れていたのだが、それが災いした。
 すぐに引き上げて操作すると、一応画面が出たので壊れていないのだろうとその場では思い、一安心。だが、結局壊れていたことが後に判明する。防水ではないので、酸性の水が中に入り込んで、時間差で中の回路が腐食したとか、そういうことなのかもしれない。とにかく、PHSとしては使っていなかったとは言え買ったばかりの機械が壊れてしまい、結構凹んだ。
 バスに乗り、今度は知床五湖へ。なんかもう見るかどうかどうしようか迷ったのだが、せっかく来たのでバス1本分の待ち時間で見れるだけ見ることに。
 案内によると、5つ全部見ると1時間半かかるとあったので、そのコースはパス。20分で回れるという2湖までのコースにした。
知床五湖1湖
1湖
知床五湖2湖
2湖
 戻ったら10分ほどまだ時間があったので、知床名物ハマナス何とかソフトというのを買って食べてみる。本当にハマナスが入っていたのかどうかはわからないが、普通のソフトクリームだった。
 13:15、バス乗車。知床自然センターに戻る。途中、沿道にキタキツネとエゾシカがいるのを発見。保護されているため人を恐れなくなっているとのことらしいが、こんな簡単に見られるとは思わなかった。今回は遭遇しなかったが、この分だとヒグマにも結構簡単に出くわしたりするのだろう。
 ところで。狐といったら沢渡真琴と藤林杏、鹿は久弥直樹で熊は坂上智代なので、知床は鍵っ子にとっても特別な場所とも言える。・・・というようなことを、バスの車内で考えていた。すぐにこんな発想に至るあたり、つくづく自分はバ鍵だと思う。
 知床自然センターに戻り、再びプリウス乗車。知床峠を越えて羅臼に向かうことにする。カーナビが知床横断道路をいつもの案内色と違う色で表示するものだから進むべき方向を間違えてしまい、途中で折り返す羽目に。これでまた15分ほどロスした。
 14時過ぎに、羅臼ビジターセンターに到着。環境省が運営する知床国立公園の羅臼側の拠点である。そして、ここのすぐ近くに間欠泉が吹き出す場所があるらしい。
 行ってみたら、間欠泉が吹き出す間隔は50~70分ほどとある。今ここでそれだけの時間を待つのは厳しいので、帰りに時間があったらまた寄ることにして、いったんそこを発つ。
羅臼の間欠泉
 14時半頃、道の駅らうすに到着。車を降りて海の方を見ると、佳奈多にはっきりと見える島影が。北方領土・国後島である。
 道の駅の中にある展望所に行って、写真を撮る。
国後島・1
国後島・2
 200Mpxのカメラで撮ったため写真だとあまりはっきり映っていないが、実際にはもっとはっきりと島影が見えた。それこそ、人が手を振っていたら解るのではないかと思うくらいに。
 北方領土は二島返還が現実的だと自分は思うが、こんなにはっきりと島が見えると、感情的にはやはり国後島は日本固有の領土なのだと思う。
 ただ、国後島をよく見ると、周りは断崖絶壁だらけ地形は山地だらけで、島自体の土地の利用効率はあまり高そうには見えない。返還されても開発には巨額の費用がかかるだろうし、今の日本にはそこまでのカネはない。島自体よりもむしろその周りの経済水域に返還の利益があるのだろうなと思う。つまりは竹島や尖閣諸島と同じ話であるが、しかし国後島には現在ロシア人が住み着いているし、いざ返還されたら彼らの存在を全く考慮しないわけにも行くまい。そこまで考えた上で返還のメリットが差し引き後プラスになるのか、正直どうなのだろう。
 というようなことをつい考えてしまう。ふと脇に目をやると、カモメが1羽、すぐ近くの欄干にとまっていた。

 カモメにすれば、人間同士の国境問題などまるで関係ないのだろう。きっと好き勝手に知床半島と国後島を往復したりしているのだ。否、案外カモメにはカモメの問題があって、知床のカモメと国後のカモメで縄張り争いをしたりしているのかもしれないが。
 この後、ひかりごけの自生地に行こうとしたが、なんか場所がよくわからず通り過ぎてしまい、折り返そうにもそうするための場所が見あたらず、結局20分ぐらい走ったトンネルの手前で折り返して、羅臼市外に戻った。明らかに時間が無いので、ひかりごけは諦めた。
 知床峠に向かう途中、再び羅臼ビジターセンターに寄る。さっきよりもやたら車が多い。間欠泉に向かうと、大量の人がぞろぞろと戻ってくるところだった。かなりイヤな予感がしつつも間欠泉の前まで来ると、調査員とおぼしき人二人が撤収作業をしているところだった。吹き出し口からは湯気が立ち上っている。どうやら、つい今し方、間欠泉の吹き出しが終わったところだったようだ。
 バス2回に続き、またしても、僅かな時間差で機を逃してしまった。
吹き出した後と思われる間欠泉
 もと来た道である知床横断道路をひた走り、知床峠へ。写真を撮る時間ぐらいはありそうだったので、駐車場に車を止めて、撮影。
羅臼岳
 写真は羅臼岳。山あいから国後島も見えたのだが、写真にはうまく写らなかったので割愛。
 あとは、ひたすら斜里に向かって車を走らせるだけ。正直時間ぎりぎりだったが、何とか17時に間に合った。ガソリン価格は188円/l。与那国島よりはずっと安い。
 この後は、17時半の列車に乗って摩周駅に戻り、宿へ。宿に戻ったらどっと疲れが出た。食事をして、書いていなかった前日の記録を書き終えたらもうそれ以上何もする気力が無く、風呂にも入らず寝てしまった。
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北へ-4日目、知床」への2件のフィードバック

  1. 荒野草途伸

    私旅行終盤にふと思ったのですが、これだけ釧網本線を頻繁に往復するのなら、青春18きっぷ買った方がお得だったのでは? とも思いました。まあ、せいぜい数百円の得だったと思いますけど。

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