科学」カテゴリーアーカイブ

しんかい6500


 今日は、那覇港で行われた「しんかい6500」の一般公開に行ってきた。
 「しんかい6500」とは、日本政府(独立行政法人海洋研究開発機構)が所有する有人の調査研究用潜水艇で、約6,500mの深度まで潜ることが出来る。
 ちなみに、世界には6,000m級の潜水艇は4カ国5隻(アメリカ、フランス、日本、ロシア。ロシアは2隻保有)あるが、この中でも6,500mまで潜れるのはしんかい6500ただ1隻である。
 そして今回、沖縄近海での調査のついでに、那覇市並びに国際環境情報センターの共同イベントということで、一般公開が行われたのだ。
 まあ、これ以上文章で書くこともあんまりないので、以降は写真での説明とさせていただく。

那覇港に停泊するよこすか
那覇港停泊中の、支援母船よこすか。
ちなみに後ろに見えるのは那覇港の向かいにある米軍那覇軍港。
よこすか側面
よこすかの側面。ピンボケでスマン。
よこすかクレーン
よこすかの後部についているクレーン。これを使って、しんかい6500を分離・収容する。
しんかい6500前景
しんかい6500前景。
しんかい6500前部機器類
前部についている機器や覗き窓など。
しんかい6500側面
しんかい6500の側面。木で出来た箱のようなものが浮力材。直径数ミクロンの中空ガラス球を樹脂で固めて作ってある、らしい。
しんかい6500後部
しんかい6500後部。
登場通路
この通路を使って、しんかい6500に乗り込む。ちなみに定員は3人(操縦2名+調査員1名)。
自販機
しんかい6500のすぐ脇に、コカコーラの自販機が置かれていた。調査が終わった後、しんかい6500を見ながらコーラでくつろぐのだろうか(笑)。

 
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僕も電波で処理してます


無線で超高速LSI 処理速度10倍 広島大開発(asahi.com)
http://www.asahi.com/business/update/0616/178.html
 ADSLとかでも、電磁波の干渉は結構な速度低下に繋がる。その電磁波を逆に処理の高速化に利用してしまおうってんだから、まさに逆転の発想。すばらしい。
 でもこれが実用化されると、また電磁波がどーのとか言い出す人が出てくるんだろうなあ。
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オレの肺が真っ赤に吠える


「2010年に宇宙ロボット格闘技大会 地球から無線操縦」(asahi.com)
http://www.asahi.com/national/update/0422/OSK200604220014.html
頭が酷く痛いので、とりあえずリンクだけ。
そういえばドモンも北川も、関智一だっけね。
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つくづくハネとは縁がある


 iAcnとこの「アシナガバチは飛ぶ」って記事をみて、7年前の研究室時代を思い出した。
 荒野草途伸は物理学科卒ではあるが、専門科目の成績はボロボロであった事は、5/7付け文書でも書いた。
 加えて卒業研究も、「セミの羽根のスジ」に関するものであり、ちょっと純粋に物理とは言えない内容であった。ただこれは成績が悪かったからではなく、たまたま所属した研究室がそういう事をやっていたためである。
 その時同じ研究室だったのが、iAcnなのである。
 その時の私の卒論のタイトルが、「有翅昆虫の翅脈パターンに於けるフラクタル性並びにボロノイ多角形の適用」。長い。世間の常識と比べても、普通の物理学関連の論文と比べても、長い。当時は、こんな無駄に長いタイトルを付けるのが自分達の間でウケる時代だったのだ。指導教官も含めて。
 内容をざっと説明すると。翅脈パターン(=翅のスジの描く模様)は、昆虫の種類によってほぼ同じようなものを描いているのだが、これになにか数理的意味があるのではなかろうか、というのが出発点。
 そこで、形状科学の理論の中から

  • フラクタル性~自己同一性=同じ形の図形が集まってより大きなしかし同じ形の図形が構成されている。雪の結晶が有名。
  • ボロノイ多角形~2以上の基準点の、中線の集合体。ある線の内側にある任意の位置から、最も近い基準点は、かならず同じ内側にある基準点である、という性質を持つ。学校や郵便局の配置計画に用いられる。

フラクタル図形とボロノイ図
の二つを用いて、翅脈パターンを数理的に解析してみよう、という目的だったのである。
 そして、我々の前にいた人は蜻蛉の羽根を、我々はセミと蝶の翅の解析を行ったのである。
 その後私は大学院入試に落ちたので、この研究の完成を見ることなく研究室を去ってしまい、後は院に進んだiAcnに引き継がれた。そして院に進んでからiAcnがやったのが、蜂の翅の解析だった、ということだ。
 結局iAcnのいる間には、結論と言えるようなものまでは出せなかったようなのだが。あれからあの研究はどうなったのであろうか。しばらく大学に寄り付いてないから、わからんなあ。自分はあの後、セミの羽根じゃなくて月宮あゆの羽根にはまりこんじゃったし(苦笑)
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夢のケーキは食べられない


 「夢のエネルギー」とも言われた(最近聞かないけど)「核融合」。その核融合の実験設備建設に関してのニュース。核融合炉誘致、政府が今月中にも断念決断へ(asahi.com)とのこと。
 核融合実用化研究の為に国際協力で建設しようとしている「ITER-国際熱核融合実験炉」の建設地を、日本(青森県六ヶ所村)とEU(南仏カダラッシュ)で争っていたのだが、結局日本が折れた、という話だ。
 この両勢力が争っていたのには、
  • 日本・EUともに核融合研究には歴史と実績があり、研究の主導権を握る上でも譲れない
  • 地元に作れば建設費その他の金が大量に落ちるので、経済が潤う
という二つの理由であったようだが。結局日本が、EUから建設発注の大半を日本企業に出すという確約を得て、候補から降りたという事らしい。言うなれば、前者よりも後者を優先したという事か。まあ所詮日本という国は、そういうとこさね・・・と、ちょっとやさぐれてみる。つーか20年前ならいざ知らず今の日本には金無いんだから、しょうがないわな。
 それはさておき。ちょっと核融合について調べてみた。「物理学科卒なんだからわざわざ調べなくてもだいたい知ってるだろう」とか言われそうだが、物理学科だからといって現代物理の全範囲やるわけじゃないし、そもそも自分専門科目で可と不可しか取った事のない劣等生だったから。
 「核融合」の身近なところでは、太陽がある。他には、身近ではないけど水爆。身近だけど現実には存在しないのが、ガンダムの動力炉。ところで「ガンダムSEED」で出てくる機体は、あれは核融合エンジン搭載型ではないのかね。すぐエネルギー切れ起こすし、母艦から中性子ビームでエネルギー補給受けてるし。
 まあそんなことはどうでもいい。で。核融合という現象は、簡単に言えば原子と原子を組み合わせて違う原子にしようという話である。
 原子というのは、それを構成する3要素として陽子・中性子・電子というのがあって、陽子・電子は必ず1対になっている。この対の数が原子の種類を決める。例えば、水素は陽子・電子の対が1であり、酸素は8である。この辺の数は、中学の理科でやっているはずの「元素の周期表」を見ればよい。
 さらに中性子の数によって「同位体」と呼ばれる、種類は同じだが微妙に性質の違う原子が生まれる。前述の水素は、普通は陽子電子1対のみで構成されるが、これに中性子が1個加わった「重水素」と呼ばれるものが存在する。中性子が二個になると「三重水素」になる。ちなみにヘリウムは、陽電子の対が2つに中性子が2つというのが標準型である。
 では、例えば上記のうち重水素を二つ組み合わせたらどうなるか。数としては、陽子電子の対が2つに中性子が2つと、ヘリウムの構成要素と同じになる。だからといって通常は簡単にはいそうですかと水素がヘリウムになったりする事はないのだが、これをいったん原子を分解させた状態にしてやれば、再結合する時にヘリウムになる事もあり得る。
 これが核融合とよばれるものである。実際の核融合研究では、より条件が緩やかな重水素と三重水素を使う方向で進んでいる。
重水素と三重水素の核融合モデル図
 この陽子・中性子が結合する時の力が「核力」と呼ばれるもので、この理論はノーベル物理学賞を受賞した京大の湯川秀樹教授の論文が大台になっている。核力の実態はグルーオンという種類の素粒子を交換する事らしいのだが、この辺の事は素粒子物理の細かい事に入る上に自分自身理解していない事柄になるので、説明は省く。
 で、この核力が働く事によって陽子・中性子が自分自身を維持する力の負担が減るため、その分の質量がいらなって、捨ててしまうらしい(質量欠損というようだ)。ところで、かの有名な相対性理論に依れば、質量とエネルギーは等価である。なので、捨てられた質量は、原子の外にはエネルギーとして放出される事になる。
 このエネルギーを取り出して有効活用しようというのが、核融合炉の建設目的である。
 核融合を起こすためには原子を分解された状態にする(これをプラズマという)必要があるが、これを実現するためには普通はサイヤ人もびっくりの高温・高圧(具体的には温度換算で1億℃ぐらい)を必要とするとされている。(パラジウムなどの触媒を使った常温核融合という方法も研究されているが、そういう現象もあり得るといわれるだけで、未だに理論も確立されていない状態である。)
 水爆ではその高温高圧を原子爆弾を使って実現させているが、発電用核融合炉にそんなものはつかえないので、原子を加速して磁気で封じ込め、高い内圧を得るという方法が採られる。
 この為の装置が「加速炉」と呼ばれるものであり、直線型とリング型の2種類に大別される。リング型はさらに、加速方法の違いからトカマク型とヘリカル型に分かれる。国内では、筑波にある加速器が直線型(ミラー型)で、岐阜県土岐市にあるのがヘリカル型である。ちなみに、件のITERはトカマク型である。
 また、加速炉方式とは全く別に「レーザー爆縮型」という方式があって大阪大学で研究がされているが、現在の主流からははずれてしまっている。
 加速炉を使った核融合の研究はかなり進んでおり、実際に炉内で核融合を起こす事は可能になっている。が、これまでの実験で、得られるエネルギーの量が投入したエネルギーの量(核融合を起こすのに必要な高温高圧を実現するためのエネルギー)を上回った事が無く、実際に発電等のエネルギー源として利用できるのはかなり先の事といわれている。

参考文献:
自然科学研究機構:未来をつくるエネルギー 核融合発電への挑戦
http://safety-info.nifs.ac.jp/mirai-ene/mirai-index.html#plasma-doc
原子力教育を考える会:用語解説
http://www.nuketext.org/yougo.html#Anchor-49575
大阪大学大学院電子情報エネルギーコースレーザー工学講座:核融合とプラズマ
http://www.ile.osaka-u.ac.jp/tanakaken/laser_fusion/plasma.html

 と、以上が核融合と核融合炉のおおまかな内容である。
 このように、核融合は非常に高度で難しい技術である。アメリカなど、一度は開発を放棄してしまったくらいだ。(日本とEUが随分研究を進めたので、また乗り気になってきたようだが。)まあなんにしろ、簡単に実現できるシロモノではない。「シムシティ」だと核融合発電所は2030年頃に設置できることになっているが、現実には核融合発電が実現するのは、50年とか70年先とかいう話もある。宇宙開発並みに気の長い話だ。て言うか、そんな頃には俺ら死んどるがな。

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今日の科学欄~4/21


 執筆意欲減退+ネタ詰まり気味なので、新聞社各サイトの科学欄からニュースを転載してお茶を濁すことにする。
朝日(asahi.com)
深い眠りで五感もお休み 東大教授ら「嗅覚もオフ」実証
 深い眠りについている時に、脳は嗅覚を感知しない事を確認。森憲作・東京大教授(細胞分子生理学)らの研究グループが、ネズミが深く眠っている時に嗅覚の情報が大脳のどこまで伝わっているかを調べた。
読売(YOMIURI ONLINE
超巨大氷山が南極大陸の氷河に…地球最大の衝突を確認
 「世界最大の浮遊物」とされる南極海の超巨大氷山「B15A」が、南極大陸から突き出た氷河の岬に衝突したことが、衛星観測で確認された。
毎日(msn毎日)
太陽系:微粒子の浮遊空間に約2000度の高熱部 北大
 北海道大学、米ハワイ大などの研究グループが69年にメキシコに落下した「アエンデ隕石」を分析した結果、 地球などの惑星が誕生する以前の太陽系には、大きさ数ミリ以下の微粒子が200万年以上浮遊し、その空間には約2000度の高熱の部分があったことを突き止めた。
共同通信(http://www.kyodo.co.jp/)
組み換えマウスを研究使用 国立感染研が無承認で
 厚生労働省は21日、国立感染症研究所(感染研)が財団法人実験動物中央研究所から購入したマウスを無承認のまま研究目的に使っていたと発表した。
 日経・産経は科学欄無いんだなあ。
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センター試験


 大学入試センター試験二日目、らしい。新聞には、昨日一日目に実施された試験の問題が載っている。
 その中から、物理IBの問題をやってみた。ところ。
 52点という、大変ショッキングな結果が出てしまった。
 (注:荒野草途伸は物理学科卒)
 特に、「力学」「波動」の問題が、ほぼ全滅。お前は一体大学で何をやっていたのかと小一時間問いつめられかねないレベルである。
 まあ実際大学では教養科目やら他学科の科目やらにばっかり力入れてて専門科目の成績はボロボロだったし、卒業したあとは物理とはあまり関係のない仕事していたので。この成績も道理といえば道理ではあるのだが。
 しかし。「私は物理卒です」と威張って言える立場にないということは、明確になってしまった。
 あとで英語もやってみるつもりだったが、なんかもうやる気無くしてしまった。
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スペースノイドと会う日を目指して


 今日の科学欄に、宇宙航空研究開発機構の中間報告のことが乗っている。日本の宇宙進出計画が新たな段階を迎えたようだ。
 「20年後には月面無人基地も…日本の宇宙開発中間案」(YOMIURI-ONLINE)
 「月の向こうに「深宇宙」港を 宇宙機構が構想」(asahi.com)
 月面都市とかスペースコロニーとかいう話なら、「アナハイム!」「ジオン公国!」とか叫び出すところだが。そういうレベルのものではないようだ。
 せいぜい、「2001年宇宙の旅」に出てきた軌道上中継基地みたいなものだろう。
 しかし。2001年からもう4年経って、やっとこういうレベルである。ソ連が崩壊した当たりでだいたい見当が付いていたことではあるが、昔のSFで書かれていたことがその年になって実現できていないというのは、やはりもの悲しくはある。
 まあでも、正直日本がこういう事を言い出すようになるとは、思っていなかった。それだけ、技術的にも政治的にも、自信がついたと言うことだろう。そしてついでに言うと、中国のロケット開発技術の進展もめざましい。
 冷戦時代、宇宙開発は米ソの対決の場であったが。21世紀はそれが日中の対決の場になるのかもしれない。
 それが何年先の話かはわからないけど。
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Amazon:決定版 2001年宇宙の旅