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デモ嫌いの荒野草途伸より


 正直に言って、私はデモが嫌いである。

 疲れるし
 めんどくさいし
 なにより、外になんて出たくないし

 だから、外に出て人の多いところにノコノコ入り込んで挙げ句シュプレヒコール唱和など、マジ勘弁御免被りたいところである。

 それでも、この1ヶ月弱。8/30の反アベ全国一斉蜂起、9月第2週の改悪派遣法採決への国会前抗議、9月第3週の戦争法抗議と、立て続けにデモ(またはそれっぽいもの)に加わっている。

 何故か。

 率直に言うと、ネットを使った運動に限界を感じた(敢えてはっきり言うと、ネット民に失望した)からである。
 その一方で、デモとかの街頭行動をやっている側は、着実に結果を出している。
 だったら、結果が出ている方に加わるのは、当然の合理的判断だ。

 そして、実際デモに加わってみて、それまで見えていなかったものも見えてきた。
 これまでも自分は、参戦する選挙がある度に(外に出たくないとはいいつつ)選挙が行われる地域を出来るだけ自分の目で観察するようにしてきた。それだけでも、結構な情報は得られる。
 しかし、デモ実行中の街頭の反応というのは、何も無いときにただ歩き回っているときとはまたわけが違う。単純に言うと、デモに好意的か否定的か、ということだ。この地域は好意的、ここはイマイチ、ここは戸惑っている。少し目線を横にずらせば、町を歩く他人の反応からそういうものは読み取れる。

 自分が加わったのは派遣法の時を除いて基本的に地方都市のデモなので、国会前に集まっていたのでは、こういうものは確かに見えないかもしれない。だが、街中に出れば、ネットでは決して見えない情報が見えてくる。それに気づいたのだ。

 とは言っても、自分がデモ嫌いであることには変わりない。ピーマン嫌いにピーマンの栄養価値をどれだけ説いたところでピーマン嫌いが治るわけは無い。私はこれからもずっとデモ嫌いだろう。
 だから、これからも無闇やたらにデモに参加などはしない。しないというより、御免被りたい。

 だが。今回のような最重要局面では、デモに繰り出すこともあり得る。これは自分が持つカードの一つだ、そう割り切ることにした。

 何人たりとも、私にデモを強要はできないし、行くなという権利も無い。

 これが私の立場である。

 世の中には、外に出て街頭で行動するのが好きな人間もいれば、ひたすら家に引き籠もってパーソナルフィールドを死守したい人もいるだろう。
 どちらも自由だ。当然、どちらもお互いの立場を否定などできない。

 だが、自分達だけでは数が足りない、声が届かないと感じたら。協力を求める必要は出てくるだろう。勘違いしてはいけないのは、これは「歩み寄り」という問題では無い。そもそもの価値感がねじれているのだから、軸そのものが違うことを踏まえたもっと別の手立てを考えておかなければいけない。
 残念ながら今は私はその答えを持っていないので、提示出来ないが。

 (以降、ちょっと言葉がきつい内容になるので、枠囲みさせて貰う。)


 ただ、ネット民は(賛成反対中立問わず)、今回自分達が全く結果を出せなかったという現実は、率直に受け止めるべきである。(これは自戒を込めてのことでもあるが。)
 街頭行動をしていた人達を根拠の無いデマに基づいて批判したり、あまつさえやっかみからSHIELDsを中傷したりなど、もってのほかである。

 一方で、「街頭」側は、少なからぬネット民に「置いてけぼり感」を食らわせてしまったことを、猛省して頂きたい。(本当に猛省すべき人はこんなところは見ていないとは思うが…。)
 以前から気になっていたことなのだが、左翼側でもネット利用が広がったのは結構なのだが、どうも「facebookでネットの声は十分拾える」と勘違いしている御仁が多いように見受けられる。率直に言って、あそこは内輪で傷をなめ合う為の場所だ。リアルで言うところの市井などでは全く無い。

 あと、言うまでも無いことだが、「無関心こそが正義」とでも言わんばかりの冷笑系の連中には、合わせる必要は全く無い。彼らには然るべき時に然るべき場所に行って貰おう。
 ま、こいつらが敵に回るというのなら、それはそれで受けて立つがw

 そして繰り返しになるが、私はデモは嫌いだ。だから簡単には行かない。だが絶対にとは言わない。

 以上
 連休中はデモなんか断って家で爆睡してた、荒野草途伸からでした。


犬山でのこと


 先日8/30の全国一斉反アベ行動で、自分は大垣・豊橋・犬山・川名(名古屋市昭和区)の各集会をハシゴした。どれも主目的は「戦争法案」であり、労働法制に触れているところはなかった。
 理由はわからない。保守派の、特に経営者層の中には、「労働法制には賛成だが戦争法案には反対だ」という人もどうやらいるようなので、労働法制は棚上げして戦争法案反対で「一点共闘」ということだったのかもしれない。

 私の立場はあくまでも「反・労働者虐殺政策」だ。
 が、歴史的経緯を見ても、そういうことを本気でやらかしてくる内閣は、第一次安倍内閣と第二次安倍内閣、この2つ以外にもあるのだけど、とにかくこの2つが突出している。
 なので、「反アベ」という「一点共闘」で、私は行動を共にすることに決めた。

 大垣や豊橋の話も十分書くに事足りる内容はあったのだが、とにかく今すぐに書かねばならないことがあるので、犬山での一件に絞って書く。

 犬山駅前の参加者は、だいたい100名前後という感じだった。もう少し少なかっただろうか。それでも、いわゆる「左翼活動に熱心な定年退職者」といった人達だけではなく、自分と同世代かもう少し若いくらいの人も結構いた。集会が終わる頃には4割くらいになっていただろうか。

 参加者が一人づつスピーチをする時間があった。私は開始冒頭からいたのと、外見が若く見えるからか、「若い人からも一言」とマイクを渡された。

 正直な話、「戦争法案」で何か語れるほどの見識は、自分は持ち合わせていない。前述のように、自分はあくまで「労働派」だ。そして、反アベ派だ。

 だから、派遣法のことを語った。
 戦争法案よりも先に、労働者派遣法が衆議院で強行採決されたこと。先日18日に60日が経過して、派遣法に関しては「60日ルール」の適用が可能になったこと。元々9/1施行と書いてあったのを、それまでの成立が厳しいからとみなし雇用義務規定が適用開始になる10/1前日の9/30に変更しようとしていること。この改正案は派遣労働者の為のものだと言っているが、法案を読めばそんなの全くの逆だということ。そしてなにより、それらのことに殆どの日本国民が騙されているのだということ。
 こういった構図が、アベ政権の本質であり、戦争法案と全く一緒だ、ということも付け加えておいた。一応戦争法案の集会だから。というか、それも事実だし。

 たぶん、上記のようなことを話したと思う。終わりの方では、自分自身の経験だとかその後いろいろあった事やら何やらで感極まって言葉が出なくなりそうになったが、それでも何とか喋りきった。

 その場にいる、少なからぬ人達がうんうんと頷いてくれていた。先に言った、同世代くらいの、子連れだとか独身男性だとか、そういった層だ。
 この人たちみんなが派遣労働者というわけではないだろう。派遣労働者の比率は、実はそこまで多くはない。だが、そこまで少ないわけでもない。自分は正社員でも、自分の家族や友人、親戚、同級生といった交友関係のある人の中に、「ハケン」が一人もいない人を見つける方が、むしろ難しいのではないか。

 自分のことではなくても、かといって他人事でもない。それが、「ハケン」や派遣法の問題なのではないか。
 私自身、その光景を見るまでその事に気づかなかった。

 日経新聞の情報によると、政府自民党は派遣法は来週9/10に可決させる方針らしい。観測気球的な記事で、確定ではないかもしれない。が、アベ自民党政権はそういう日程も視野に入れているという事だ。

 詳しく説明するのも難儀なくらい、この改悪派遣法は複雑で狡猾なやり方で、派遣労働者の権利を奪い取っている。
 それを残り一週間でどう説明して理解してもらって反対に回ってもらって声を上げてもらうか。

 基本単独行動しかできない自分には、今のところ道筋すら見えない。

 とりあえず共産党含め野党諸氏には、例え戦争法案を止められたところで派遣法が通ってしまったのなら、それは野党のアベ政権に対する全面敗北なのだ、ということを肝に銘じておいてもらいたい。

 と、煽るぐらいしか今のところ思いつかない。


「派遣法改悪案」あの衆院強行採決から60日が経過


 いや、もう19日だから61日経過だけど。

 ビラでも作って配ろうかとも思って文章を書いて実は印刷までしたのだが、配るだけの体力が無かった。

 8/18(火)で、「派遣法改悪案」衆院通過から60日が経過しました。
 これにより、アベ自民党政権はいつでも「60日ルール」(法案が衆議院を通過して参議院に送られた後、60日経っても採決されない場合は「参議院は否決した」とみなす事が出来るルール。60日ルールを適用したあとは、衆議院で2/3以上の賛成多数があれば再可決となり、法案は成立する)を発動することが出来るようになりました。

 派遣法は、2009年の年越し派遣村など、派遣労働者にまつわる諸問題を多少なりとも改善する為に3年前に法律に盛り込まれた、「みなし雇用義務規定」が最大の特徴です。
 派遣先の直接雇用義務違反があった場合に、自動的に派遣先の社員として雇用した扱いにするという、法的拘束力を持った規定です。
 しかし、改悪案ではこのみなし雇用義務規定を実質的に無効化する為に、複雑怪奇な追加や修正を加えていて、実質的にみなし雇用義務は発動できないようになっています。
 みなし雇用義務規定は3年前の成立の際に自民党の要求で施行時期を3年後とされた為、今年の10月1日にならないと有効にはなりません。そして今回の派遣法改悪は、法案提出時では9/1の施行となっています。
 さらに、成立見通し時期が後ろにずれ込むと、自民党は
10月1日の前日の9/30に施行日を修正しようという姑息で露骨なみなし雇用義務規定潰しを謀っている始末です。

 派遣労働者とは、本来「著しく専門能力の高い」スペシャリストを「臨時・一時的」に支援要員として入れる為の制度でした。しかし実態は、「練度の低い・経験の浅い」労働者を、正社員代わりに低賃金で常用雇用する為の手段、現代の奴隷制度を維持する為の手段として使われてしまっています。

 これを少しでも改善するはずだったみなし雇用義務規定を、財界経団連の支援を受けるアベ自民党は何が何でも潰そうとしているのです。

派遣法だけでは無い!まだまだ続くアベ自民党政権の労働条件悪化政策!

 アベ自民党政権が成立を図っているのは、派遣法改悪だけではありません。
 派遣法審議が大幅に伸びたたために今国会での審議入りは無くなりましたが、別名過労死促進法とも呼ばれる残業代ゼロ法を次の臨時国会で成立させるとしています。

 また特許法では、社員が発明した特許を、現在は社員のもの(または会社が買い取る)となっているのを、「最初から会社のものとする」とする改悪案が現在審議中です。

 雇用条件も、現在は(判例で)解雇前の事前交渉が義務づけられているのを、交渉無しに二束三文の解決金で解雇できるように労働基準法を改悪する動きも出ています。

 しかし、暗い話ばかりではありません。

 政府自民党の目論見では元々7月頭に参議院で可決・成立するはずだった派遣法改悪は、ネット世論を中心とした猛烈な反対の世論に審議先送りが続き、8月中の成立は絶望的となっています。
 このまま押せば、今国会での成立を阻止することは夢ではありません。
 生活・経済・社会の安定の為には、雇用の安定は何よりも不可欠です。社会の安定を破壊する結果しかもたらさない派遣法改悪に反対する声を、是非よろしく御願い致します。


真夏の夜の親告


ちょっと眠れなくていろいろ考えモード。
長くなりそうだったのでTwitterではなくこっちに。
TPPでほぼ協定の中に盛り込まれることになってしまったらしい「著作権法違反の非親告罪化」。
TPP交渉自体が暗礁に乗り上げかけているので、正直若干楽観視してはいるのだが、まあ問題点はきちんと整理しておかないとまた次同じ事が来たときに対処できない。

で、この問題に関していろいろ詳しい、てんたま氏(@tentama_go)のツイートに、こんな事例が。

これが純粋な「記事」であれば、批判だろうが提灯だろうが「これは引用だからそもそも著作権侵害には当たらない」と主張することも出来そうですし、警察としてもそれを考慮して事件化しない可能性が高そうですが。
問題は、単純コピーや二次創作の場合ですね。

あと、「収益性」という判断基準って、実際どうなの? というのもあります。

例えば、こんなケース。

あるアニメがありました。そのアニメは内容に問題があって、多くの視聴者からは駄作とみなされていました。
けれども、反対に熱心な信者もいました。信者はそのアニメの良さを知って貰いたい認めて貰いたいという一心で、そのアニメの「名シーン」をかき集めてMADを作りました。
けれども、アンチからしたらその「名シーン」こそがその作品の批判点だったのです。そのアニメはますます評判が悪くなり、売上は爆死となってしまいました。

この信者に、悪意はあったでしょうか。どちらかというと善意でしょう。売上を妨害する敵と戦っていたのでしょう。でも純粋に「収益性」でみれば、この信者のやったことは完全にアウトですね。
こんなケースも考えられます。

ある同人作家がいました。その人は、自分の作品で食べていけたら理想ではあるけどそれ以上に自分の作品が売れて名前が売れるたらいい、そんな風に思っていました。
その同人作家にもファンがいました。ファンは同人作家の為に必死です。なんとかして同人作家の作品を売って、同人作家の生活を助けなければならない。そう思って、作品の一部を無償配布したりしてかなり強引な売り込みをかけました。
おかげで、売れました。結構売れました。お金は入りました。でも、その強引な手法があだとなって、同人作家の評判は悪くなりました。売る為に何でもするお金が大事な奴だ、というレッテルが貼られてしまいました。

さて。この場合の「収益性」ってなんでしょう? お金だったら、いっぱい同人作家に入りましたね。収益性はむしろプラスですね。「収益」の基準をお金に置くなら。というか普通そうですが。
でも。この同人作家が望んでいたのは、「知名度」ですよね。で、その知名度はガタ落ちしてます。
でも一応お金は入ってます。「収益性」と「知名度」、天秤にかけてどっちを取るか。

 
現行の「親告罪」のままなら、特に問題はありません。判断するのは同人作家です。
ところが。これを全然関係ない第三者に委ねてしまうのが、「非親告罪化」です。勿論被害者の告訴意思は尊重する、とはされていますが、果たして実際告発が行われた後でどこまで自分の意志で判断できるか。
さらに問題は、「収益性」です。「収益性」がプラスですから、今回の「非親告罪化」では、これは告訴対象にはならないとされています。しかし、「告発」が行われたら、「知名度」が損なわれているという事実もあることから、警察は同人作家への聴取を行い、自ら被害を訴えるかの確認を取るでしょう。(まあ、この聴取は、「被害者の告訴意思を尊重する」という事でどんなケースであっても行われるはずですが。)ただ、このケースの場合、相当厄介な裁判になることが想定されます。
親告罪のままであれば、告発はせず示談で済ませた方が得策、と弁護士は助言するのではないでしょうか。勿論人によって考え方は違いますが。
と、ここまで書いていて気づいたのですが、アメリカって確か、「民事」と「刑事」で判断を統一する、という司法制度になっていたとか、そんな話があったような。日本のように、刑事では無罪だけど民事では損害賠償義務を負う、と判断が分かれる様なことが無い、というのをなんかで読んだような。
で、あちらさんの著作権絡みのロビイスト達って、ひょっとしてこの日本での民事と刑事の扱いの違いを認識してないんじゃ無いかと。だから民事裁判で勝つ為に、詭弁としか言えない刑事での非親告罪化を導入させようとしているのではないか?
と。まあ、これは今ふと思った憶測なんですが。

なので、逆に言えば、非親告罪化が導入されて、刑事では有罪になったけど、民事では勝訴して損害賠償義務は無し、という可能性もありますよね。上記のような複雑なケースだと。
でも有罪だから刑務所行き。著作権者は民事敗訴だからお金取れない。告発者は元々何の利益も無し。国は受刑者の刑務所暮らしの生活費負担しないといけない。誰も得しない。正に誰も得しない。そんなケースだって、あり得るのですよね…。

まあ、今回のこの「非親告罪化」、どうもアメリカだけで無く、日本国内の業界云々政治云々の思惑も渦巻いているような気がしてならないのですよね…。下手に書くと炎上しかねないので詳しくは書きませんけど。(いや私個人は炎上上等なんだけど、私一人の問題じゃ無いもんでね。)
で、そういう連中が「ガイアツ」をうまいこと利用して、あわよくばちょっとうまい汁吸ってみようかという思惑で、むしろ積極的にこの「非親告罪化」を受け入れさせてしまったんじゃ無いかと。そんな疑念すらあるんですよねえ。私の場合ですけど。
おー。結構長くなってしまった。140文字どころの騒ぎじゃ無いわ。


派遣法改悪案の概要を改めて


 安倍自民党政権による、奴隷法案=労働者派遣法改正案 が、先週末衆議院を通過してしまった。

 派遣労働者にとっては死活問題であり、また、今後安倍政権が目論む”労働改革”と同じ思想に基づく法改正であることを考えれば、正社員にとっても他人事では無い話である。にも関わらず関心は異常に低く、保守勢力による隠蔽工作も相まって、法改正の内容が全く認知されていないのが現状である。中には、安保法制とごっちゃにしている者までいる始末で(ペルシャ湾派遣とかそういうのだとでも思ったのか?)、本当に頭の痛い限りである。

 

 なので、整理してまとめておく必要がある。

 まず、今回の派遣法改悪に至る歴史的経緯を軸に箇条書きでまとめたものを記しておく。

 
・そもそも雇用は正社員(期間の定めの無い雇用)が原則

・後に専門職の一時的な需給を満たす為に派遣労働が認められた(原則は専門・一時的)

・規制緩和の名の下専門職以外にも派遣を開放、専門性の高い業務は期間制限が無くなった

・企業社会で正社員>派遣の階層化が進む

・家も借りられない派遣労働者が続出し、年越し派遣村などの問題が噴出

・民主党政権下で、緊急措置として「みなし雇用義務」規定が導入、但し自民党の抵抗で施行は3年後に

・今年の10月でその3年が来る

・改正派遣法ではそのみなし雇用義務が実質的に撤廃、他にも部署を変えれば期間制限の穴をすり抜けられるなど派遣の待遇を悪化させる規定がずらり

 

 ”派遣会社の正社員”を専門業務派遣する(特定派遣)は派遣期間の制限が無く、特定派遣の廃止に期待する人もいる。が、一般派遣に統合されるだけで派遣先に正規雇用される保証は無し。いづれにせよ、安倍政権はこれらの問題すら議論する気は無く、採決ありき。その結果が先週の乱闘騒ぎ。

 この中でもとりわけ重要なのが、「みなし雇用義務の実質的な撤廃」である。

 これを理解するために、派遣労働者には現在4種類ある事を理解して貰いたい(ここがそもそもいろいろ混同されている)。

 

 まず、業務内容により2区分

・専門26業務(派遣期間の制限無し)

・自由化業務(3年の派遣期間制限がある)

 

 そして、派遣事業者との雇用形態により、2区分。

・特定派遣(派遣事業者と正社員雇用の関係にある)

・一般派遣

 

 以上の組み合わせで、4種類。

 

 今回の法改正で、「特定派遣」は廃止になるため、法改正が施行されると「専門」とそれ以外の2種類に統合される。

 ここで注意しないといけないのは、特定派遣が無くなっても専門26業務の派遣期間は制限無しで変わらない、という点である。言い換えると、3年経とうが何年経とうが、違法では無い、ということである。

 また、自由化業務についても、部署を変えて”厚生労働省令で定める手続き”を踏めば、派遣期間は延長できることになる。この”厚生労働省令で定める手続き”とは、労働組合または社員代表から意見聴取を行うこととなっている。また、この”厚生労働省令で定める手続き”は、行わなくてもみなし雇用義務の適用対象外とされている。

 

 

 みなし雇用義務とは、直接雇用義務などの派遣受け入れの法令を派遣先企業が守らなかった場合に、自動的に労働者と派遣先企業の間に雇用契約が発生する規定である。(参考:allabout/派遣法改正の目玉!?「雇用みなし」とは?/更新日:2012年05月28日)。野田政権下の2012年に導入されたが、今回の安倍政権による法改正では上述のように派遣期間制限に係る部分が実質的に無効化されている。

 

 

 政府側の主張としては、「今年の10月にこの規定が施行されると、その直前に派遣契約を打ち切る”雇い止め”が続出する恐れがあるので、規定を変える」というものである。しかしこれは、強姦罪をそのままにしておくと強姦の口封じの為の殺人が発生するので和姦で免罪される道を幾つか作ります、と言っているようなものである。

 

 改正成立前と成立後の違いを図にまとめた。

 

改正前

20160621改正前

改正後

20160621改正後

 

 安倍政権による派遣法改悪がどういうものか、おわかりいただけただろうか?


「TPPと著作権の非親告罪化」勉強会報告書


 3/9(月)に、東京・永田町の衆議院議院会館で行われた「TPPと著作権の非親告罪化」勉強会に行ってきました。
 国際日本文化研究センターの山田奨冶教授の講演の他、参院議員の山田太郎(日本を元気にする会)・徳永エリ(民主党)両議員より、現在の情勢についての報告がありました。

 以下、報告並びに講演の内容を、ざっと列挙していきます。
(※注釈以外は、発言の内容を要約したものであり、荒野草途伸の個人的見解とは異なる倍があることをあらかじめお断りしておきます。)

 まずは冒頭、山田議員からの挨拶を兼ねた報告。

山田議員:
 過去の大臣答弁について言及。下村文科相は過去に「TPPは慎重派のはず」という質問に対し、親告罪化は適切でないとの答弁があったことを確認。
 条約には留保という手段があることを紹介。
※注 国連人権A規約など。後ほど出てくるように、憲法上必ずしも適切な方法では無い)。
 一部条項について留保を適用すべきではないかとの質問趣意書を提出しているが、政府は一向に回答してこない、無視状態。
 一部の与党議員からは「山田さんはあきらめろ」とまで言われている,とのこと。

 また、警察庁に確認したところによると、「同人マーク」(※注 漫画科の赤松健氏らが提唱した、著作権利用の黙認の意思表示の為の統一標章)は、全くの無意味。あろうがなかろうが、捜査対象になるとのこと。

 この後、山田教授による講演会。これも要約した形で列挙する。

 TPP交渉が秘密会議で行われている事に対して大きな違和感を感じている。
 現状を鑑みて、やむを得ず変更しなければいけないならば、という視点で講演。

 

そもそも、非親告罪化とは?

 権利者の意志に関わらず検察が起訴に持ち込める。現状は起訴に持ち込めないが故に警察・検察が動かない(捜査が無駄になりかねない為。現在でも動くことはできる

 アメリカにとっては日本のアニメ・マンガ文化はライバル(穿った見方)なので、日本に制約をかけたい意図もあるのではないか?

現在の流れと影響

 今回の「非親告罪化」の話は、ウィキリークスによって公表された文書に記載されているもの。ウィキリークス日本語訳アカウント @fr_toen はフォロー必須。
 ウィキリークスの内容としては
・非親告罪化は、ベトナムが反対している
商業化限定云々は、日本の提案
・権利者が著作物を利用する権利に限定
 この内容ならば、現状通りの親告罪でいいのでは? という矛盾をはらんだ内容。

 これが通ってしまうと、創作文化に多大な悪影響が及ぶことが懸念される。例えば、孤児作品(著作権者不明の古い作品)のアーカイビングは誰もやらなくなると思われる

 日本国内での動きとして、2009年1月の分科会では、非親告罪化は慎重に検討、という結論になった。
 2012年に違法ダウンロードの刑罰化が規定されたが、これも現在はまだ親告罪である。親告罪は捜査の障害になっていない。告訴しない人は、そもそも捜査に協力しない。
※注 逆に、非親告罪化された場合、警察が勝手に動いた案件で著作権保持者が警察の取り調べを受けるケースもあり得る。さらに言えば、それを別件捜査に利用される懸念も

他にも。。。
・著作権保護期間の70年化
・法定賠償金制度(示談で済まない)
 といった、懸念される改定協議が行われている模様。
 現行法と非親告罪化+上2つで、著作物の利用と保護のバランスが崩れる

 

対処法として

 フェアユース制度は有効なのではないか。これはそもそもアメリカの制度。ただし、今回アメリカはフェアユース制度導入を要求していない。また、商業的規模の二次創作は、フェアユースとはいえない(保護できない)。
 映り込みの規制緩和等(※注 一昨年秋施行の改正著作権法から、「映り込み」に関しては著作権侵害では無いとの明確な規定が入った)は、日本に於けるフェアユース導入議論のなれの果て。このレベルではフェアユースとは到底いえない。

日本政府の姿勢

 徳永参院議員による質問趣意書への回答:
「守るべきものは守り攻めるべきは攻める」(意味不明)

 アメリカ国内ではTPP交渉の秘密主義に対する批判もでている。

 方向性として、「登録著作物のみの非親告罪化(70年化も同様)」という話も出ている。
※注 著作権そのものは自然発生権である為特許のような登録は不要だが、訴訟等に供える為の制度として、文化庁に著作権保持の登録を行うことが出来る。登録された著作物はほぼ企業によるものだから、産業財産権並みの扱いをしてもいいのでは? という話らしいのだが。。。

 政治が文化に悪影響を与えることはあってはならない

 山田教授の講演は、ここまで。
 この後、徳永・山田両参院議員より、改めて報告が行われる。

徳永エリ参院議員:

 アメリカのTPP交渉担当省庁であるUSTRの情報は、一部大企業はアクセスできる。日本政府の秘密主義の深刻さ。(※注 日本は、TPP交渉は一切が秘密交渉であるという建前の元、一般国民には一切の情報開示がなされていない。
 農協改革も、TPPに反対する農協への制裁なのではないか? という声も上がっている。

山田太郎参院議員:

 「国会批准の時に議論すればいいんじゃないの」と言う人がいる事への懸念。条約はほぼ自動成立という憲法上の規定がある。(アメリカとは違う)
 通されたときのための備えが必要。運動を盛り上げすぎると途中で息切れしてしまう。

 これに、山田教授が質問
「条約と関連法は政治手動?」
→山田議員
「政府は秘密でやりかたがっている。批准と関連法を突然一気に出してくることが想定される。逆に先に議員立法で著作権法改正案を出してしまう手もある。」

 この後、質疑応答。誰も手を上げようとしないので、先に荒野が質問した。

「著作権というのはそもそも文化財産権で、特許や商標等の産業財産権とは違う。著作権を産業財産権として扱ってしまっていることに、そもそも無理があるのではないか?」

→山田教授:
 著作権は1970年代とはだいぶ性質が違う。産業財産権の性質も多分に持っている。が、現在の著作権法は複雑すぎる。正直理解出来ない。
 整理し直す為にもドラスティックな改正が必要。

→山田議員:
 著作権は適用が主観依存。適用の線引きが難しい。司法サイドの拡大解釈に依存している。登録著作物であれば、わかりやすいが、そうでないものは線引きが難しい。
 警察はどのみち捜査権は持っているというスタンス。一罰百戒という形になるだろう。懸念されるのは自主規制とお互いの刺し合い。
 また、それってそもそも著作権なのか? という議論は残っている。

 この後、他にも幾つか質問が出た。

質問:
 韓国では米韓FTAに伴いフェアユース制度が導入されているが、韓国でどういう問題が起きているか。日本で適用した場合の懸念点

→山田教授:
 韓国の専門家に訊いたが要領を得なかった。そもそも韓国でもあまり認知されていない? むしろ情報がほしい。

質問:
 フェアユース実施時の権利者の反応について。また、パロディ利用に水を差すのではないかという懸念は?

→山田議員:
 現行法でも権利者は守られている。めんどくさいから権力任せにしたいのではないか。
 今回の次第の懸念は、「なんだかよくわからないけど怖いね」という不安感。

 この件に関して、勉強会主催の「うぐいすリボン」の荻野氏より、報告。

荻野:
 権利者からすればフェアユースは権利の切り下げですらある。権利者からすればフェアユースは本当にイヤ。

質問:
 フェアユースで同人誌は守られないとはどういうこと?

→山田教授:
 そもそもフェアユースがあるから許されると言うものではない。あくまで裁判の時の武器。どっちみち二次創作は裁判上等でやらないといけない。
 また、アメリカから見れば、日本の同人誌文化はフェアユースと同等。むしろアメリカの方が規制は厳しい。アメリカは訴訟大国なので、裁判用の環境整備が必要で、その為のフェアユース制度。日本は訴訟にいく前のことを考えないといけない。
※注 注釈というわけでは無いが、ならば「フェアユース」という言葉は使わない方がいいのでは? という疑問を持ちました。

 ここまでで、予定時間が来てしまったので、会議終了。本日21時までの「緊急声明」への賛同の呼びかけを以て、閉会しました。

 「緊急声明」への呼びかけはTwitter並びにGoogle+で既に行ったので、そちらに任せるとして。
 著作権制度の抜本的改正の必要性と、それを議員立法で行うことによるに日本政府へのカウンターという話には、大変興味を引かれました。
 以前、もうかなり昔になるが、一太郎訴訟の際に関して書いた文書で、ソフトウェアに関して特許や著作権という枠組みでは到底収まりきらない部分が有り、新しい権利制度を創設するべきでは無いか? という事を触れています。
 これを、ソフトウェアに限らず、商業著作物や映像コンテンツ等といった「新しいメディア」を包括する形で権利と利用のバランスの取れた制度を作れないか。という事を感じたというか以前から考えていたのですが、改めて感じた次第です。
 TPP交渉自体が今後どうなるか、全く先が見えませんが。


TVアニメーション「2014年」


第1話 分裂選挙
第2話 名護の変
第3話 山梨封鎖
第4話 静かなる京都の乱
第5話 八の持つ意味
第6話 オバマ、来日
第7話 「私が憲法だ」
第8話 統一戦線
第9話 幻想最後の夏
第10話 黒と黒との衝突
第11話 夢にしがみつく者達
第12話 決戦・沖縄県知事選
第13話 嵐の前の総選挙

TVアニメーション「2014年」 
1月よりQAB他にて放送開始


豊見城市政の課題


 先日9/7に、沖縄県内市町村の首長・議会選挙(通称沖縄統一地方選、共産党流の言い方だといっせい地方選)が行われた。結果の詳細は細かくは語らないが、11月の沖縄県知事選の行方を占うという意味では、”翁長陣営に若干の分はあるものの、決して見通しは甘くは無い”結果だったと言えるだろう。
 知事選の前にまだ2つ、うるま市議選と豊見城市長選がある。とりわけ市長をどれだけ押さえているかは沖縄政界では大変重要視されるため、豊見城市長選を取れるかどうかが知事選勝敗の大きな鍵になる。

 豊見城市長選の投票日は10/12は、告示は一週間前だから10/5。もう1ヶ月切ってしまっている。
 こんな時期になるまで記事を書くのが遅れてしまったのが正直自分としては痛いのだが、まあここで言い訳をしてもしょうがない。
 沖縄統一地方選の結果から見えてくるのは、”辺野古”の問題は大きな争点とはいえども、決してそれだけで勝てるような話では無い、という事だ。特に名護から遠い南部であれば、その傾向は顕著だろう。

 では辺野古が争点にならない豊見城市長選は勝てないかといったら、そうでもない。この半年弱の間、現市長のBLOGや豊見城市関連の文献に目を通すなどし、また7月に帰沖した際には多少ではあるが豊見城の町を巡ってみたりもした。
 結果自分なりに見えてきた問題点が幾つかある。とりあえず列挙。

1.保育、育児、学校教育に対する現市長の姿勢の問題
2.交通政策を含む町作りの視点が現市長には欠如している
3.公契約条例すら未だに制定されていない、労働政策への現市長の無策無関心ぶり

 以上3つが大きな柱になる。

 項番3に関しては、これはもう自民党市政共通のあるあるレベルの問題なので、今更深くは語らない。”公契約条例”でググって貰った方が早い。

 なので、この記事では1と2を中心に記す。

1.保育、育児、学校教育に対する現市長の姿勢の問題

 まず項番1の、保育教育の問題。
 近年大きな問題になっているから関心の高い人はよく知っていると思うが、沖縄県の待機児童の多さは東京都に次ぐ全国2位に上っている。算定方法の違いという問題もあるが、沖縄県内の待機児童が多いことは、友人に子供のいる人だとか保育関連の仕事やってる人がいれば、もう常識レベルだろう。
 中でも深刻なのは、那覇市を中心とする那覇都市圏である。都市圏で保育施設が不足しているのは、全国どこでも共通している。それでどこも頭を悩ませていて、民主党系の横浜市長と社民党系の世田谷区長が喧嘩する事態になったりしているわけだ。

 那覇市でもこの問題を解決しようといろいろ試みが行われていて、現市長の翁長雄志氏が民間委託をベースに保育施設を増やそうとして共産党が保育環境の劣化を問題視して対立する、という事もあった。(この両者が今回知事戦で手を組むとは、なんとも不思議な歴史の巡り合わせだが。)

 さて。では、那覇都市圏第3の都市である豊見城市はどうか。
 いろいろ探してみたのだが、「待機児童は対策します」というお題目が見つかるぐらいで、具体的に何をしたとか何をするとか、一切書かれていない。
 豊見城と言ったら、沖縄県内では我々の世代に一番人気のある街である。ガチで子育て世代だ。子供がいないわけが無い。で、豊見城の施設とか定員調べてみると、はっきり言って少ない。足りるわけが無い。保育所どころか小学校すら足りてねえんじゃねえのかこれ、レベルである。

 ところが、現市長はこれに何らの対策も打っていない。高度エリート教育とかいう、全く的外れな政策をぶち上げている有様である。
 高度エリート教育云々というのは、少子化で人口自然減で子供のいる家庭を奪い合いしないといけないような自治体が、人口社会増に持って行くためにうちに来ればいい教育を受けられますよと魅力作りのためにやるような性質のものである。
 まあ、それ自体が悪だとまでは言わないが。それ以前に、人口が自然増な上に社会増も上積みされてる豊見城ではそもそも保育所には入れない学校は人が溢れてるという状況なのに、高度教育もへったくれも無い。
 現状認識しとんのかと。新人ならまだいざ知らず、4年も市長やってて。

 さらに、こんなアホなことも言っている。
「給食費無料化4千万円あれば2億の補助事業が出来る」

 そもそも給食費無料化に本当に4千万円も必要か? という話もあるのだけど。とりあえずそれは脇に置くとして。
 補助事業?? 補助事業って要するに起債ですよね。建設起債。保育所や小中学校の増設のことですか? でもこの市長、そういう施設増やすとは一言も言ってないんですよね。不思議なくらい、一言も。

 で、どうもこの人、そういう保育教育以外のことにお金を使いたがっているらしい。それとも関連してくるのが、項番2。

2.交通政策を含む町作りの視点が現市長には欠如している

 7月に帰沖した際に、豊崎の辺りを歩いてみた。いつも沖縄帰ると、とみとんでそば食ってるので今回もそうしただけなのだが、夏場に帰ったのは初めてだったので、クソ暑かった。まあそれはどうでもいい。
 ちょうどその日に、道の駅でマンゴーの安売りをやっていて、凄い人だかりができていた。その辺を歩いてみてわかったのだが、その道の駅から西側の海岸方向は、食品関連の工場が建ちならんでいることを知った。そして豊崎の陸側は、意外なことに広大な農業地帯になっている。
 陸側の第1次産業の農業地区。海側の第2次産業──食品工業地区。その間に挟まれて、農産品や加工品を売る商業地区──第3次産業。まさに典型的な、”第6次産業”の発想に基づいた町作りを目指していた、といえる。

 そう、「いた」なのだ。過去形なのである。
 道の駅周辺に、「豊崎にMICE誘致」というのぼりがいっぱい立っていた。工場と道の駅に接する形で広大な空き地があったから、多分そこに誘致したいのだろう。
 MICEとはなんぞや、と、自分でもあんまりよく理解していなかったのだが。どうやら東京の有明や名古屋の白鳥みたいな、レセプションホールやホテルが集積する地区を沖縄にも作ろう、という話らしい。ちなみに補足しとくと、大阪の咲州は大コケして大きなビルが不良債権化して大阪府庁として使わざるをえない事態に追い込まれている。

 まあ、沖縄にそのMICEとやらを作るかどうかの是非はともかく。豊崎がその適地か? というと、甚だ疑問である。少なくとも、第6次産業をベースにした町作り、という発想からは完全に外れる。空き地もギリでレセプションホールが作れる程度で、大して広くない。
 それでも、県の最終候補地選定で、西原町と並んで残っているらしい。相当熱心に誘致しているのだろう。

 で、改めて言うと。これを誘致して一体何がしたいんだと。

 「とにかくハコモノ作れば経済が潤う」とかいうお花畑思考なのか。
 はたまた、現市長がえらくご執心のLRT敷設のための材料にしたいのか。MICEを豊崎に作れば、輸送機関が必要だということでゆいレールの赤嶺駅から豊崎までLRTを敷設するカネを引っ張ってこれる、とか考えているのかもしれない。
 ちなみにLRTというとなんかかっこよく聞こえるが、要するに低床の路面電車である。成功例としてよく富山や広島が上げられるが、どちらも既存の鉄道路線をLRT化したためにうまく行っている事例であり、新規に鉄路を敷設してわざわざ輸送力の低いLRTを走らせるメリットなど、皆無である。
 まあ、さすがにそれは言われんでもわかっているのだろう、具体的な路線なんかには言及していないけど。

 とにかく、豊崎を一体どういう町にしたいのか、現市長の発言や施策からは何も見えてこない。
 さらに言えば、東部の方に関してはもう何も言及していないに等しい。那覇空港自動車道の活用とか言ってるけど、人口密度これからもどんどん上がってくのに、このまま自動車社会を続けるつもりかと。

 といったところで。これに項番3

3.公契約条例すら未だに制定されていない、労働政策への現市長の無策無関心ぶり

を加えて、とにかく無為無策な市長だなあと。正直呆れ果ててるわけです。

 豊見城市長選は、今のところ現職の他に大城氏という人が出馬表明しているようです。
 参考までに
沖縄タイムス:「大城氏が出馬表明 豊見城市長選」
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=65834


ゆいレール先頭車両からの車窓動画


ゆいレール先頭車両からの車窓動画

 沖縄都市モノレール、愛称”ゆいレール”の、先頭車両からの風景です。
 多分探せば他にもupしてる人いっぱいいそうな気がするんだけど。まあ別に他人の著作物使ってるわけじゃ無いし、自分がupしたって別に文句言われることはないだろう。背景音楽とかの著作権云々とかいう問題はあるかもしれないが…あるのか? 去年秋の改正著作権法で画像の”映り込み”は合法と明確に決まったんだけど、音声に関してはどうなんだろ。とりあえずYouTube側からは何の警告も受けなかったが…。

とりあえず、本題の画像。那覇空港発首里行きと、首里駅発那覇空港駅行きの2種類ある。

・那覇空港発首里行き



首里駅発那覇空港駅行き


 コレ録るのに、一日乗車券買ってゆいレールを3往復ぐらいしたのよね。いや、どうすればいい画質で撮れるかとか試しているウチに、何回も往復するハメに。いやあ、一日乗車券買っといて良かった。結局、運転室とを隔てるガラスにNexus7貼り付ける撮影してようやくうまく行ったんだけど、いやあ端から見たらほんと怪しい人だったなあ。隣に座ってたおばちゃんは妙に優しい目で見守っていてくれたけど。沖縄のおばちゃんは優しくて寛容でそれでいてパワフルで生活力あるのよね。…だから沖縄の女性と結婚したかったのよ。

 話がそれた。
 まあとにかく、動画としては(自分なりには)割といいモン撮れたので、編集とかせずにそのままupして公開する。

 オススメは何と言っても、奥武山公園駅-壺川駅の間の、国場川(=漫湖)を通過する際の風景。いや、この部分はあまりいい映像が撮れたとも言い難いんだけど。まあ、興味あったら是非現地に行って、自分でゆいレール乗って自分の目で確かめて欲しい。
 

 正直、このゆいレールだけで、十分沖縄観光のアトラクションになり得るよなあ。まだ価値に気づいてないのか、あんまりアピールしてないけど。
 城北線みたいに、食事付きの貸し切りプランとかやったら、面白そうだと思うんだけどなあ。
 名護のUSJなんて何年先になるかワカランというかまだ正式決定ですらないんだし。その間の観光資源は、少しでも多く確保しておくべきだと思うんだよねえ。
 
 
 あと、先頭座席は指定席にして別料金とってもいいと思う。十分需要のある座席なんだしさ。
 

 まあ、あと10年経ったら、浦添市の前田にまで延伸して、沖縄自動車道西原インター(※西原町では無く、浦添市の西原地区通称浦西地区に近い)まで延伸して、名護・沖縄市方面への高速バスと接続できるようにする計画で、既に工事が始まってるらしいが。何しろ、今から10年近く先の話だしなあ…。
 
 あと、豊見城市方面への各駅からのバス路線の接続の悪さとかの問題は、また別途記事を書くことにする。特に、赤嶺駅から豊見城方面の件とか。現豊見城市長のなんか勘違い全開のLRT計画の件とか。
 LRTなんて国からの補助無しでは路線敷設もできない上に坂の多い豊見城には導入そのものが厳しいものを導入目指して時間を浪費するより、赤嶺駅からのシャトルバス運行した方が現実的だと思うけどねえ。
 …いや、これは別記事でしっかり書くんだったか。

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結局「有識者」って無知なんだよね


政労使会議を秋にも再開 「残業代ゼロ」協議へ


 

 連合が果たしてどれだけ歯止めになるやら…。

 そもそも、仮に御用労組中心の連合系とはいえ組合がある会社ではそこまでの深刻な問題は起きないだろうし。だから、連合はブラック企業の問題にも今ひとつピンときてない感じだし。

 

 なんかいまいち理解してないバカタレがあまりに多すぎるみたいだから、再度経緯と問題点を簡単に書いておくけど。

 

  1. 第一次安倍内閣の時に、「ホワイトカラーエグゼンプション」というものが飛び出してきて、この時は「年収1000万以上の人間は残業代を0にする」という話だった。

    (ちなみにこの時の理由は、「労働者は残業代欲しさにダラダラ残業をして家族をないがしろにしているから」という、開いた口が塞がらないふざけた理由だった。)

  2. 民主党政権になって、この話は一応立ち消えになった。

  3. バカな日本人が再びアベを首相にした為に、またしてもこの話が復活した。
    しかし、今年の春ぐらいまでは、「年収1500万円以上が対象」ということになっていた。

  4. いざ諮問会議の答申が出てみたら、また「年収1000万以上」に戻っていた

  5. しかも、経済界代表は「これだけでは適用範囲が小さすぎる」等といっている。今後さらに800万、500万、300万、と年収要件が引き下げられるのは少し考えればわかること。

  6. ちなみに補足すると、年収1000万には、各種諸手当も含まれる。
    (家族手当とか、研修手当とか、単身赴任の為の家賃とか。下手すりゃ出張時の旅費日当も合算されるかもしれない。)
    そういうの含めたら、年収1000万行く人って、かなりの数に上るはず。会社の為に生活を犠牲にしている人ほど。

  7. これが対象者が800万とか500万とかになったら、もう本気で生活に困る人が出てくるだろう。子供を大学にやる事なんて、まず無理。そもそも、親が会社から帰っていない家族など、大学以前に家庭崩壊の懸念すらある。

  8. 高等教育を受ける若者が減った社会が、成長するなんてあり得ない。日本は間違いなく衰退する。


 

 

 此らを踏まえた上で、今回の記事内容を分析してみる。

 

 「秋の祝日前後に有給休暇の固め取りができるよう政労使会議で協力を求める考え



 逆に言えば、それらの条件が通れば過労死促進殺人法案の成立は容認する、って言ってるようなものじゃない。もう条件闘争かよ。連合という組織の存在意義が問われてるって事理解してるのか?

そもそも祝日が休みでない会社が、未だにいっぱいいっぱいいっぱいいっぱい、あるんですけど?そういう会社の従業員にとっては、そんなの何の意味も無いんですけど。まさに労使協調しか頭にない御用労組の発想。

 

 問題は組合のない、最悪作らせない為にありとあらゆる手段を執ってくるような会社でしょ。そういうのを問題にしてるって事、全く理解してないよね。

 既にサービス残業を強要されている労働者は、毎日退勤時間をメモ書きやTwitterで記録していても、そんなの全く意味が無いという話になってしまう。むしろ大手を振って、24時間365日働けと言ってくるだろう。そんなことされて生きていける(生活という意味では無く、ガチで生命的な意味で)人間は殆どいないだろう。

 私のような元から病弱な人間は、1ヶ月100時間でも死んでしまう。いや、実際死にかけた。

 

 諮問会議のメンバーが言い放った「経営者のモラルが低いとでも言うのか」という妄言は、図らずもこれを象徴している。あのなあ、まさにそれを問題にしてるんですけど?

 

 

 で、そういうブラック企業・ブラックバイトを初めとする労働諸問題に今割と真剣に取り組んでるのは、共産党と、そこと共闘関係にある全労連。(社民党も取り組んではいるけど

 なのに、その全労連を排除して、御用労組の上部団体とだけ「政労使会議」なる茶番会議を作っても、「労働側とは話が付いた」というお墨付きを得たいだけ、と受け取られても仕方ないよね? いや、実際その通りだろうけど。

 

 まあ、連合は一応今のところは、何が何でも阻止するとは言ってるけど。民主党政権の時にすら労働問題を解決できなかった人達がそんなこと言っても、信用できるわけがない。

 連合傘下にある組合員や、そもそも「自分は定時帰り出来てるから」と問題意識の欠片も無い低脳日本人など、形だけ抵抗することすら無いだろう。むしろ、次の選挙では平気で安倍自民党に投票するだろう。それが立場の弱い人間に対する殺人行為であるということが、わかっているのかわかってないのかは、読み取れないが。

 罪の意識すら無い殺人者がこの国には溢れている。こんな国が、何をやっても成長などするはずが無い。

 

 

 

 

 さて。この話は、これまでに一体何回出ているか。

 第一次痴安倍内閣の時に1回目。与党は自民党と公明党。

 去年の8月に2回目。こんとき、政権は第二次安倍内閣。与党は自民党と公明党。維新も援護射撃した。

 そして今回、3回目だ。政権はやはり第二次安倍内閣。与党は自民党と公明党。連合がこれに妥協するなら、連合が支援する民主党も同罪だ。

 

 これだけ見ただけでわかるだろう。自民党政権が続く限り、この殺人政策は止まらない。しかし、現状では選挙ではこれを止める手段は無いのだ。左翼系を名乗る知識人ですら、殆どがこの問題に全く無関心だ。それどころか、彼らが支援する中道勢力の支持を拡大させる為に、まがりなりにもこの問題に取り組んでくれている共産党を攻撃することすらしてくる。

 

 前回の記事でも書いたが、数の上では、不利だ。向こうは6割以上いる。選挙では勝てない。

 



だったらもう、革命しかない。

我々が生き延びる為には。

 

 できれば合法的な手段を執りたいが、それがままならないのなら、超法規的措置を執らざるをえない。致し方ない、そうしないと、自分と、自分の仲間を守ることが出来ないのだから。

 

 

 

 ただ、合法的手段、例えば選挙で、政治サイドから問題を解決する道筋も、全く見えないわけでも無い。

 一例が、沖縄の動きだ。現状、穏健保守と共産党を含めた革新が連携の動きを見せている。理由は普天間移設問題だが、労働問題でも合意が出来るようなら、今後の展開に若干希望はある。

 経営者だって、何も全部が悪質なわけじゃ無い。それぐらいはわかってる。だが現状、そういうまともな経営者こそが馬鹿を見ている有様になってしまっている。

 そういう人達と本格的に手を組めないか。勿論、共産党は抜きで等というばかばかしい理屈を出してくるなら、手を組む余地は無いが。

 実際の所、共産党内も今少しずつ党改革が進んでいて、昔のような独善的体質は無くなりつつある。もう少し理解を深めてくれれば、手を組むぐらいなら出来るはずだ。

 

 

 


 ちらっとだけ記事コメントするつもりでいたが、ずいぶん長い文章になってしまったので、BLOG記事にすることにした。

 

 あと、最大の敵は、やはり「無知な日本人」だ。右翼とかじゃ無くて、自分が問題抱えてないから後はどうでもいいなどと言い出す、無関心低脳層だ。

 それを痛感した週末であった。



 

 

 

 
Twitterでも書いたけどさ。こんな事ばっかじゃ無くて、もっと心ぴょんぴょんすることを書きたいよ…。結局の所、それなんだしさ。

 

 

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