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アベ「働き方改革」2.10決起集会レポート


 昨日2月10日に、お茶の水の全労連会館で行われた安倍働き方改革決起集会に参加してきました。

 主催者側の意図としてはそこまで人も集まらず準備集会程度の認識でいたようですが、実際にはホールがほぼ満員になる200名の参加者が集まる規模の集会になりました。それだけ、この「働き方改革」なる労働問題政局に関心が高いという事でしょう。それはそうでしょう、遠い戦場の話と違って、目の前にある給与と労働時間、ひいては自分が死ぬかもしれないという話なのですから。

 全労連の集会という事で、冒頭は共産党の高橋衆院議員の報告から始まり、その後過労死遺族の方2名の講演、10年以上にわたる労働改悪問題に取り組んできた専門家の人からの報告、現場で過酷な労働条件と戦っておられる労働組合等からの報告、そして昨年御用組合「連合」本部にデモを仕掛けて一気にその名を上げたAEQUITAS(エキタス)からの呼びかけ、と続きました。

 以下、既にTwitterやGoogle+にアップした内容が殆どですが、内容をかいつまんで記しておきます。
 (部分的に、荒野の注釈も入っています。)

*日本共産党・高橋衆院議員の挨拶


・現在国会では貧困ビジネスの規制強化、しっかりやってるところへの支援強化を取り組んでいる。制度の陰で支援を受けられない人がいる。
・働き方改革はこの後すぐにでる。8法案一括。当初は2月下旬という話だったが、3月中旬にずれ込むという話になってきている。岡崎参与からは内々に「同一労働同一賃金と労働時間の2つではだめか」という打診もある。
(※政府がかなり弱気になってきている?)

 前の国会で(当時の)野党共同で出した長時間労働規制法案がある。これに盛り込めなかった、事業場外(みなし)労働規制の提案の必要性というのもあり、これも含めて全体をもっとバージョンアップして対案を出して迫っていく。
 ただ、長時間労働規制法案を出した中心メンバーは希望の党に行ってしまった。

 政府が過労死防止大綱の見直しに着手することになった。(与野党が加わる)議員連盟もフォローアップしていくことを提案。調査研究を行ってここまでこぎつけた。
 しかし、現「働き方改革」8法案には過労死促進の内容が含まれているのは齟齬があり如何なものかと(高橋議員が)発言。これに対し、馳議連会長(自民党)が、働き方改革法案をよく知らないと発言
 無期転換に絡み4月に雇い止めが発生する懸念。ある県で11万人と言う数も。

*東京過労死家族の会の方の講演

**佐戸恵美子さん(NHK記者過労死遺族)

 2013年参院選の選挙報道担当中に、過労でホテルで倒れそのまま無くなった。
 ハードな記者生活は、それまで問題なくこなしていた。
 当時の取材体制に問題があった。ベテランの男性スタッフが中心。ベテラン3名が自民・民主・公明をそれぞれ担当し佐戸氏がそれ以外の全政党を担当したが、2013年参院選は共産党が大きく延びた為、佐戸氏が全部それを担当し負担が尋常ではなかった。
 NHK内部では誰も責任をとっていない。
  

**中原のり子さん

 夫が小児科医師だった。19年前投身自殺。
 小児科部長就任後、スタッフが半減。感情のコントロールできなくなった。職業の否定。時間外労働83時間。労災認定に8年かかった。
 その後過労死防止法の制定に奔走。制定4日後に高度プロフェッショナル労働制が議員立法で浮上。

 看護学校で講演したとき、他の同僚は生きているから過労死ではない、と言われた遺族(子供)がいた
 

*働き方改革一括法案の内容と問題点

**鷲見賢一郎(自由法曹団)

 

・雇用対策法の改悪

 今回急浮上してきた法案。
 法案の名前とは裏腹に、労働者保護に関する文言は一言も出てこない。内容は「経済成長力」を目的とした法案。完全な財界目線の法案。
 

・労働基準法の改悪

 過労死ラインの上限規制。休日も含め100時間未満が基準(過労死ラインは80時間未満)。過労死合法化法案。
 過労死容認を法律に明記する歴史的な大改悪
 45時間を超えると発症の関連性が高くなり、本来は45時間を基準とするべき。

・高度プロフェッショナル制度

 抜け穴を駆使すれば毎日24時間労働を命じることも可能。
 現法案では対象者は年収1075万円以上とされているが、経団連は10年前に話が出たときから一貫して年収400万円以上にするよう要求している。さらに派遣も対象という話も出てきた。
 企画業務型裁量労働制=裁量的にPDCAを回す業務(どんな業務でも対象)。対象業務を増やす。
(※「PDCAを回す業務は全部対象」って。PDCAって社会人の基本だよね!? 
 社会人全員が対象って話じゃないのこれ!)

・労働者派遣法改正
・短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律

 派遣とパートを一括で扱うことを目的とする法案。なのでまとめて話す。
 非正規に配転を可能にする。拒否する人は差別していい、という内容。
 待遇はそのままで正社員並の責任・能力を求められる。
 
 安倍晋三の言う同一労働同一賃金は本来の意味とは違う。言葉のすり替え。

 自由法曹団による法案不備の指摘と均等待遇の実現方法の提言
ア 不合理合理性等の基準から「職務の内容及び配置の変更(人材活用の仕組み)」を削除する。
イ (待遇の)不合理性の立証責任を労働者に負担させるのでは無く、合理性の立証責任を使用者に負担させる。
ウ 格差是正を理由にして正社員等の賃金を下げることを禁止する。(待遇切り下げによる同一待遇は禁止)

・雇用の請負委託化

 技術革新の中で今までにない働き方が出てきていることは事実。
 それに対応した労働者保護が必要だが、自民党政権は技術革新を理由に労働者の権利切り捨てに結びつけている

**伊藤圭一(労働法制中央連絡会)

 これからはフリーランスを増やそうというのが政府の方針。
 請負を保護するのではなく、雇用労働者は過保護すぎるという理屈。労働法制を全て無くしてしまえという動きすらある。
 アルバイトも裁量労働制にするという話が出てきた
 しかし労働者の圧力の声が弱い連合が既に了承してしまっている

*現場からの報告

(一例として、労基違反を取り締まる労働行政の現場から)

**河村直樹(全労働副委員長)

 労働行政は来年度定員を130人減らされる。地方労働体制を削減しつつ監督業務は強化しろと言う矛盾した政策。

 ハローワークの窓口一線はほぼ非正規。人事院指導で3年勤めたら一端解雇、ハローワークで再応募。一般求職者は、現職者と競争して落とされることになる。どちらにとっても何のいいこともない

 求人条件と実際の条件が違う場合の明示規定が、逆効果になりつつある。(やっていいのか、という事業者の声)。そもそも違う事自体がおかしい。

 他に、
全教から教員の長時間労働、
医労連から医療現場の超過労働、
自治労連からの自治体非正規職員の問題、
MICから印刷・アニメ製作の現場の問題、
自公総連からライドシェアの問題、
新婦人から家族側からの問題啓発、といった話がありました。

*日弁連より

**中村和雄(日弁連貧困問題対策本部委員)

 労働時間法制を考える院内市民学習会 の案内
 2月28日(水)18時~19:45
 衆議院第二議員会館1階 要事前申し込み

 日弁連は月45時間残業規制で実行しろと言う提言をしている。(1日2時間で案を出したが、理事会で否決された。)
{フランスでは1日2時間。日本だけが異常な状況。}

 最低賃金の大幅引き上げをしろという提言。
 社会保障の充実。10月4日青森でシンポジウム。具体的スケジュールも含めて提言をする。

AEQUITAS

山本

 バイトへの裁量労働制の適用に反対するデモ の案内
 2/25(日)13:15 柏木公園(西新宿)

 裁量労働制=定額働かせ放題。
 エキタス=公正(ラテン語)。働き方改革法案に公正はない

今後の労働法制関連行動予定

 最後に、集会では(何故か)特に出ませんでしたが、今後の労働法制関連行動予定が資料にあったので、抜粋しておきます。(※殆どが東京ですが)

2月15日(木)
ディーセントワーク宣伝全国統一行動(全国)
(東京は)17時~18時 新宿駅西口
内容:2018春闘、労働法制、最賃・賃上げ、無期転換・安定雇用などで各労働組合代表が発言。3.2全国一斉労働相談ホットラインの告知も行う。

2月28日(水)
日弁連2.28労働時間法制を考える院内市民学習会
(上記にあった案内のもの)
主催:日弁連
日時:2/28水 18:00~19:45
場所:衆議院第二議員会館
問い合わせ先:日本弁護士連合会 人権部人権第一課
 TEL:03-3580-9501

3月2日(金)
3.2全国一斉労働相談ホットライン

3月7日(水)
全労連中央行動(国会議員要請行動)

3月12日(月)
雇用によらない働き方・批判検討会
主催:労働法制中央連絡会
日時:3/12月 18:30~20:30
場所:全労連会館3F会議室

3月16日(金)
労働弁護団主催・院内集会
主催:労働弁護団
日時:3/16もしくは19日 11:30~13:00
場所:衆院議員会館を予定

4月11日(水)
全労連全国統一行動
東京では国会前昼行動や議員要請等を含む諸行動を検討中


 とりあえず、この集会は勉強になった。
 問題のある法案(特に高プロの件は10年以上も続いている)というのはわかっていても、8法案もまとめて出されてくると、どの法案がどういう内容でどんな問題点があるのか、わけわかめだから。
 全部理解したわけでは無いが、多少内容が整理できた。

 最後に、私荒野草途伸からの私見を、Twitterからの引用という形で。


残業規制の適用除外など許してはならない


働き方改革 残業規制・高プロが一本化 法案の要綱諮問(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20170909/k00/00m/040/144000c

 ”高プロ”・裁量労働制拡大も問題だが、今回はひとまず”残業規制”に話の的を絞る。
 
 つい先日労使協定が問題になった医師、東京五輪関連事業で自殺者が出た建築、宅配が社会問題になりつつある運輸、22時が定時と言われて久しいSE。全て、この残業規制の「適用除外職種」である。
 ”残業規制”政府案では研究開発職は適用対象外である。労働法制に於いてはSEは研究開発職扱いにされている。現行労働基準法でも36協定特別条項で残業させられるのは月80時間が本則だが、SEは実質青天井である。研究開発職扱いで適用除外扱いになっているからだ。
 
 野党側が出す対案には、現在「規制基準を過労死推定基準の80時間未満に」という内容で検討されているようだが、この”適用除外”無しもいれるべきだろう。
 
 3月の原案策定時には残業規制は喫緊の課題であるから緊急で成立させる必要性があり財界同意を取り付ける為にとりあえず適用除外もやむなし、という理屈も成り立ったかもしれない。
 が、結局自民党は”共謀罪”を成立させたいが為に残業規制成立を妨害した。残業規制は先送りされ国会提出すらされず、今月末招集予定の臨時国会でようやく提出・審議入りという話になった。高プロ・裁量労働制拡大と一緒くたというおまけ付きで。
 3月からもう半年も経った。もうとりあえずが許される状況では無い。残業規制の適用除外など許してはならない。


めも:自民党が強姦罪・残業規制より準備罪を優先させた経緯


3月7日
刑法改正案(強姦罪泣き寝入り規定の廃止等)閣議決定

https://mainichi.jp/articles/20170307/k00/00e/040/151000c

3月13日
連合と経団連、尻抜け残業規制で合意
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDC13H0R_T10C17A3EA2000/

3月21日
”残業規制”、閣議決定
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/265732.html
同日、共謀罪閣議決定
http://www.sankei.com/affairs/news/170321/afr1703210004-n1.html
(強姦罪改正案閣議決定の14日後)

3月24日
準備罪(共謀罪)国会提出
http://jijico.mbp-japan.com/2017/03/24/articles22817.html
(閣議決定から3日後)

4月4日
民進・共産・社民・自由の4野党が、強姦罪改正案を準備罪より先に審議するよう要求

https://mainichi.jp/articles/20170405/k00/00m/010/131000c

4月6日
共謀罪、衆院で審議入り
http://mainichi.jp/movie/video/?id=118959831
野党が要求した強姦罪改正案審議入りは実現せず

4月19日
政府、残業規制の提出先送り


(共謀罪国会提出から27日後)

5月8日
政府の規制改革推進会議が労働基準監督署の一部民営化を提言
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017050801201&g=eco

5月19日
企業法務弁護士集団から共謀罪反対の声明
https://this.kiji.is/238226366315200514?c=39550187727945729

5月23日
共謀罪衆院通過
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2017052402000125.html

5月29日
安倍政権の関係者に強姦された被害者が検察審査会に不起訴不当の申し立て、記者会見
自民党信者による壮絶なセカンドレイプが始まる。

 3月7日に閣議決定されたはずの刑法改正案(強姦罪泣き寝入り規定の廃止等)は、5月30日現在を以て、未だに審議入りしていない。
 残業規制についても同様である。


ME: The process LDP made give priority to a crime of preparations over a rape charge and overtime work regulation

March 7
Criminal law proposed amendment (abolition of a rape charge putting regulation) cabinet decision
https://mainichi.jp/articles/20170307/k00/00e/040/151000c

March 13
A confederacy and Japan Federation of Economic Organizations reach agreement on the bottom coming overtime work regulation.
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDC13H0R_T10C17A3EA2000/

March 21
” Overtime work regulation”, cabinet decision
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/265732.html
The same day and conspiracy crime cabinet decision
http://www.sankei.com/affairs/news/170321/afr1703210004-n1.html
(14 days later of rape charge proposed amendment cabinet decision)

March 24
Crime (conspiracy crime) Diet submission of preparations
http://jijico.mbp-japan.com/2017/03/24/articles22817.html
(From cabinet decision, 3 days later)

April 4
Nation Susumu, community of goods, a company nation and free 4 opposition parties request to deliberate a rape charge proposed amendment first than a crime of preparations.
https://mainichi.jp/articles/20170405/k00/00m/010/131000c

April 6
It’s begun to debate by a conspiracy crime and the House of Representatives.
http://mainichi.jp/movie/video/? id=118959831
(Rape charge proposed amendment beginning to debate an opposition party requested isn’t achieved.)

April 19
Submission postponement of a government and overtime work regulation


(From conspiracy crime Diet submission, 27 days later)

May 8
A regulation reform promotion meeting of a government proposes part privatization of the Labor Standards Inspection Office.
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017050801201&g=eco

May 19
The statement which is conspiracy crime opposition from a business law Tsutomu lawyer group
https://this.kiji.is/238226366315200514?c=39550187727945729

May 23
Conspiracy crime House of Representatives passage
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tokuho/list/CK2017052402000125.html

May 29
The victim raped by the person concerned of Abe political power, non-prosecution is unfair in the Committees for the Inquest of Prosecution, I allege and hold a press conference.
A heroic second rape by LDP believer starts.

The criminal law proposed amendment which should be endorsed by the Cabinet on March 7 (abolition of a rape charge putting regulation), one current as of May 30, i, please, it has not been begun to debate yet.


残業規制で野党は対案を


残業上限「月100時間」 政労使合意 これは「過労死の合法化」だ(毎日 有料記事)

 この記事を読むまでもなく、既に多くの人が知っているであろう「残業規制」の件である。当ブログでも今月頭に記事にしている

 「100時間」という(わかりやすい)数字ばかりが注目されているが、もっと深刻なのは、運輸業や研究開発職(システム開発、いわゆるSEを含む)が政府案では「適用除外」(=100時間規制すらない、現状と何も変わらない)となっていることである。

 そしてどの業種でも当てはまる「サービス残業」という奴は勝手に死んだだけですシステムは、罰則が付くとはいっても企業名の公表程度の軽いものに留まり、実質そのまま放置である。営業停止処分にまで踏み込む強さがなければ根絶などできない。

 「今より良くなるからいいじゃないか」等と寝言を言っている人間もいるようだが、今より良くなどならないのである。茶番ですらない。

  1.  適用除外の例外は無し
  2. 営業停止処分も含む強い罰則
  3. それを担保する為の労基・労働局人員の強化。

 野党はこれらの内容を軸に、対案を出すべきである。アベ政権与党の現状把握能力の無さ=政権担当能力の無さはもう多くのまともな国民は理解し、十分に知らしめられている。
 次は、野党の実力を示すときだ。


規制なき残業からの生還者として


 70年ぶりの労働基準法改正、と自民党政府が胸を張る、いわゆる「残業規制」が安倍首相の仲介という形で合意した。率直に言って茶番と言うほかない。
 確かに、現状の「36協定で無制限定額働かせ放題」が「2段階上限制」になったという意味では、一歩前進ではある。だが、一歩でしかない。決して胸を張れるような内容ではない。当面の緊急措置として当然やるべき改正であり、この後半年か一年以内にさらに踏み込んだ改革が必要なのである。しかし、今回の連合と経団連の合意内容では見直し時期は「5年後を目処」となっており、緊急課題であるとの認識に欠ける。そして政府に至っては、それを手放しで自画自賛している惨状だ。

 では、今回の合意内容の何が問題なのか。私自身の経験を踏まえて列挙してみる。(ひとまず私が指摘できる範囲であり、ここに挙げる事項が全てでは無い、という事は予め申し添えておく)

・「繁忙期」の定義が従来通り企業任せのため、実質「いつだって繁忙期」が続くことになる。

 従来の労基法に基づく36協定の特例でも、残業(時間外労働)というのは本来例外規定なのである。通常期であれば1日8時間1週45時間(労使協定があればもっと短いところもある)が労働時間の上限なのである。
 しかし実態はどうか。残業のない恵まれた職場ならいつだって通常期だろうが、実際には「いつだって繁忙期」で毎月特例を適用して時間外労働をさせているのが現実では無いか。そしてその繁忙期か否かの判定は、完全に企業任せである。法令も省令もない。だからこれを理由に労基は動けないのが現状である。

 今回の合意内容でも、このルールは踏襲される。特例であっても100時間未満、とはなったが、月100時間と言ったら休出か平日深夜残業が必至になる時間量である。それが期末の1ヶ月だけ、とかならまだしも、数ヶ月にわたって続く事を認めたのが今回の政府ご自慢の法改正である。要するに、現状追認でしかない。自慢できるようなものでは決してない。
 しかも、「通常期は月45時間」という、よくわからないおまけ付きである。通常は時間外労働をさせてはいけない、というのが現行労働基準法の規定である。ここで言う通常期とは一体何か。改正どころかこれは改悪では無いのか。少なくとも、褒められた代物では無い。

・実態として勤務上限を超えていても、勤務記録自体をつけさせないいわゆる「サービス残業」への抑止策が無い。

 この「サービス残業」という言い方自体がよろしくない、というのは20年前から言われている事だが、それはひとまずさておき。

 今回の法改正で上限となった「45時間」「100時間」を超えても、勤務記録がなければ、超過勤務割増手当(いわゆる残業代)は出ない。
 自分が日立情報に派遣されていたときは、派遣元との36協定では月40時間上限だったのだが、実態としてはまるで守られていなかった。発狂して失踪寸前に陥った案件では、朝8時半から客先である大野城市役所に常駐を始め「定時」になると福岡市内の支社に戻り0時前まで開発業務、という日々が2ヶ月近く続いていた。名古屋市社会福祉協議会の案件では丸1ヶ月徹夜だった月もある。
 しかし、これらの超過勤務は40時間を超えた分は会社側の記録がない。よって、「働いていない」という扱いになり、残業代も出ない。
 当然違法なのであるが、記録がないから証拠が無いという話になる。

 マトモな労働者なら自分で勤務時間を控えておいたり、最近はその為の支援アプリも出ているのだが、それですら「セキュリティ対策」を口実に勤務時はスマホ携帯を電波の届かないロッカーにしまわせるという「対策」が取られてしまっている。

 というか、そもそもそんな自主記録を付けなければいけないこと自体がおかしい。

 今回の合意内容に、サービス残業に関することは含まれていない。政権は合意内容をそのまま踏襲すると言っているのだから、法改正にもこれは入らないだろう。
 つまり、上限規制を設けると言っても、結局は尻抜けなのである。それどころか、今までは超過勤務100時間を超えてもその分超過勤務割増手当を出していた会社も、これからは出なくなるのである。業務量自体を減らさなければ、結局は「サービス残業」ということになるだろう。
 到底褒められたものでは無い。

・インターバル規制が努力義務規定に留まり、過労死抑止策としての実態をなしていない。

 シフト勤務などで発生する「実質24時間労働」は、変形労働時間制という規定により、現状では脱法行為として合法になってしまっている。これを改善する為に、インターバル規制、即ち勤務時間と勤務時間の間に規定以上の時間間隔を置かせるという仕組みが提唱されている。
 シフト勤務でなくとも、連続した長時間勤務が過労死に繋がるとの報告があり、全業種において導入は急務である。

 しかし今回の政府ご自慢の法改正では、このインターバル規制は努力義務に留まっている。罰則がないどころか、ただの努力規定だから違法にすらならない。
 これの一体どこを誇れるのか。

・5年後の見直しを歌っているが、経営改革に5年は長すぎる。

 今回の政府ご自慢の法改正の最大の問題点がこれである、といっても過言では無い。

 今回の法改正がお話にならない状況を止める為の緊急避難措置である、という事を政府・経団連・連合ともまるで理解していない、という何よりの証左である。

 緊急避難措置であるから今回の改正労基法は可決次第即時施行されなければならない(もし即時施行しないようならそれこそ政府の怠慢である)が、経営環境が激変すると対応しきれないところもあるので激変緩和措置として妥協の産物な内容になるのは致し方ないだろう。
 だが、あくまで一時的な措置であり、直ちに次の法改正に取り組まなければならない。半年か1年、大目に見ても2年以内に行わなければならない。

 それが、5年先とはどういう事か。経営改革に5年も費やしていたら、上場企業なら株主から無能と突き上げられるだろう。
 大手企業の新入社員だって、3年経てば転職するか否かを考えるのである。その転職活動も、長時間労働で拘束されていては出来っこない。無収入に転落することを覚悟で辞めるか、過労死を目前に収入を得続けるかの博打を、5年も続けさせるつもりか。

 そしてそれを、70年来の大改革などと自画自賛する安倍自民党政権の果てしなき愚かしさ。現実に対する無理解、政権担当能力の無さを物語っている。


 過労死問題はなにも昨年始まったわけではない。25年前には既に「KAROUSI」という英単語が成立していたほどである。英語圏の人達はきっと驚くだろう、25年経ってまだ何もしていなかったのかと。
 死ななければいいという話でも無い。現に自分は生きている。生き延びた者として、この口から今一度言わせて貰おう。

 この程度で済ませる気か、と。


もはや闇ですらない


電通過労死問題を期に、一挙に動き始めたかに見える日本の労働問題。しかしこれがガス抜きになってしまう危険性はないだろうか。これが電通に限った話では無いという事を、どれだけの日本人が理解しているだろうか。
「経営者目線」に洗脳された労働者、否労働者と呼ぶにはあまりにも自覚の足らない”労民”は多い。彼らは時として、命を守る我々に敵意をむき出しにして牙を剥いてくる。

近鉄から電通まで~もはや闇ですらない

dentsuだけじゃない~RT履歴2016/10/30~11/8

抗うが如く xsread にてまとめたモーメントも、ほんの氷山の一角にしか過ぎない。
それでも我々は抗い続ける。戦って死ぬなら労民としてではなく、人間として。


2016新潟県知事選序盤の考察


なんか変な時間に目が覚めてしまったのでネット漁ってたら新潟県選管から序盤の期日前投票データが出ていたので、ちょっと分析してみた。
そんなに大したことはしてない(予防線)

まずは、公開データに単純に前回比の差分を加えたもの。市区町村毎の簡単な地域特性も書き加えた。

次に、これを前回比伸び率でソートしたものがこちら。

このデータはあくまでも期日前投票のデータで、誰に入れたかは全くわからないので、このデータだけで誰が有利かとかを特定することはできない。が、「本来特定の候補者が強いはずの地域」というのはあるはずなので、そういう地域で投票率が高い(or低い)なら、候補者の勢いの度合いを推測することは出来る。

特定候補者はさておき、全体的な傾向として。

伸び率が比較的高いのが、新潟市の中心部(中央・西・東・秋葉区)。篠田新潟市長は泉田知事の盟友らしいので、ここは泉田地盤と見ていいだろう。三条市も、泉田知事の出身高校・三条高校があり、泉田地盤とみなしていい。米山氏は泉田氏の後継を明確に打ち出しており泉田氏も事実上公認している為、泉田地盤は米山氏に優李な地域と見ていいだろう。
魚沼市も米山氏の出身地であり、米山地盤と見た方がいい。
一方、狩羽村は柏崎狩羽原発のお膝元で財政経済の原発依存率が高く、ここは森氏の地盤と見るべきだろう。小千谷市・見附市といった地域も、長岡市に近く長岡市長だった森氏に有利な地域と見るべきだろう。

一方、伸び率が低いのが、村上市などの県北部の他、新潟市の郊外部やその周辺都市である。特に、柏崎狩羽原発から30Km圏内に入る西蒲区で投票率が伸びていないのが、非常に気がかりである。
さらに言えば、森氏の地盤であるはずの長岡市ではもっと伸び率が悪い。柏崎狩羽原発のもう一つの立地値である柏崎市は、さらに悪い。ちなみに長岡市も柏崎狩羽原発から30Km圏内で、BSNの調査でも原発再稼動問題への関心は高めという調査結果が出ている。
正直、長岡市や柏崎市で投票率が伸び悩んでいるというのは、意外な結果だった。

まだ序盤なので、今の段階で投票していないというのはむしろ「誰に投票するか迷っている」という現れとも言えるので、この辺りの地域の人には大変な迷いがあるのかもしれない。

米山氏は元を辿れば自民党の人で、その辺りで旧来の左派層の一部には不信感もあるとも聞く。新発田市・佐渡市から出たもう2人の候補者がやたら左派色の強い主張をしていたのは、てっきり自民党政権による左翼分断作戦の一環かと思っていたが、北部・佐渡地域の左派層に米山氏への反発が強い事の現れ、という側面もあるのかもしれない。その結果が、北部・佐渡の序盤投票率の低さに表れているのかもしれない。

まあ、結果は投票箱が閉まるまでわからないのですが。まだ2週間近くあるんですね…。沖縄県知事選から2年近く経つので、もう感覚忘れてしまっていました。

個人的には、結果的に「沖縄モデル」の全国2例目となる選挙になるので、是非米山氏には勝って貰いたいところですが。


とりあえず、1月の重要選挙をメモっておく


二日動いただけで、一日寝てもまだ回復しないレベル疲労困憊の荒野草途伸です。健常人のようには行かない。

さて。年が明けたのでもう2016年です。
1月は、いきなり大きな地方選挙が2つあります。

1月17日告示・1月24日投開票
沖縄県宜野湾市長選挙

1月24日告示・2月7日投開票
京都府京都市長選挙

です。

どちらもアベ派対反アベ派が激突する超重要な選挙ですね。

宜野湾市長選は、現職の自民党市長(無所属という扱いになっていますが、元々自民党の衆院議員だったれっきとした自民党候補者です)に、一昨年以来翁長県知事を中心に保守系から社民・共産まで結集する「オール沖縄」が挑む構図です。オール沖縄側の候補予定者は、志村恵一郎氏。父親は自民党の沖縄県議で県議会議長も務めた人で、その辺りの事情は翁長知事と少し似ています。
「だったら、自民vs自民ってことじゃん」と思う人がいるかもしれませんが。まあ、それが今の沖縄です。真っ当な自民党の人はアベ官邸よりも共産党と組む時代なんです。
…ええ、その辺の経緯というか歴史をまとめて書くって去年言って、まだ全然書けていませんね私。はい、1冊の本にまとめるとか大きく風呂敷広げてしまってあれもこれもと書く内容が膨らんでしまったので、一度整理して書けるところから順次書いていくようにします。

ええと、私の事はいいです。1/24は、宜野湾市長選です。
現職の佐喜真市長のことは、書くとまあそれだけで中傷ビラが一枚出来上がるだけの内容になってしまうので、とりあえず一言だけ。なにがディズニーランド誘致だ、経営難に陥って労働争議まで抱えてるオリエンタルランドにまで迷惑かけてんじゃねーよ。

対抗馬の志村氏は、むしろ怖いくらい手堅い印象があります。…まあ、元県職員だし、当然か。
Webサイトは開設してないみたいですが、Twitterのアカウントは昨年作成されました。

志村恵一郎・Twitter:
https://twitter.com/GinowanShimras

更新してるのは若いスタッフの方のようですね。うん、(スタッフ)って一応書いといた方がいいと思う。

そして。奇しくも宜野湾市長選の投票日に告示されるのが、京都市長選挙。

京都と言えば、全国でも最強クラスの共産党の地盤です。特にここ数年全国的に共産党が伸張している事もあって、京都の共産党はかなり勢いづいています。昨年4月の統一地方選では、京都市議会選で第1党まであと一歩という所まで迫っています。
その共産党は、本田久美子氏という元京都教育センター事務局長の人を擁立する予定です。教育センターという事は、元教員かな?

対する現職市長の門川大作氏。この人も市長になる前は教育長だったはずだから、やっぱり元教員か? 教員対決か。
この門川市長、支援する政党は自民・民主・公明の3大政党ですが、門川氏自身が安倍内閣の政策諮問会議に名を連ねるなど、安倍政権との親密ぶりは半端じゃありません。敢えて言ってしまえば、現在のアベ失政の責任の一端をこの門川市長も担っているわけです。まあ門川市長が参加してるのは教育関連の会議なので、経済はあまり関係ないと反論されるかもしれませんが。しかし、門川市長が「アベ派」であることに疑いを差し挟む余地はありません

アベ派の門川市長と、反アベ派の本田氏。この二人の激突になる模様です。

地域政党の京都党がおおさか維新と組んで候補擁立の構えを見せていたらしいですが、どういう事情かはわかりませんが結局候補擁立を断念したらしいです。おおさか維新と組むという話が出た辺りからなんか話がおかしくなり出したように傍からは見えるので、官邸辺りから圧力でもかかったんですかねえ。いや憶測ですけどね。おおさか維新はアベ派の野党ですから。そういう憶測もしたくなりますよ。
さらには、先週には京都選出の福山哲郎参院議員が「共産党と徹底的に闘う!」とか発狂し出す始末。いや、連合京都にそう言えと迫られての発言らしいですが。連合京都にまで官邸の圧力がかかってるんですかね。そういえば、前回の参院選で、「民主党の候補者が共産党に負けそうだから、自民党から票を回してくれ」という依頼があったという、自民党関係者の証言が話題になってましたねえ。そんなに自民党の衛星政党になりたいなら、おおさか維新よろしく「きょうと民主党」でも作ればいいのに。

とまあ、それはさておき。
本田氏は、WebサイトもTwitterアカウントも用意されてます。

Web:
http://www.kyo-mannaka.jp/

Twitter:
https://twitter.com/HondaKumiko2016

ざっと見てみたら、文章長いねー。自分も人のことは言えないけど(苦笑)。いや、京都府知事選のときの尾崎候補のサイトみたいなの想像してたから。
しかし内容はしっかりしてるし、これおそらく本田氏が自分で書いた文章なんだと思う。ゴーストライターとかじゃ無くて。

自分は雇用・経済にどうしても目が行きがちなので、そっちの文章に目を通してみると。

『「公契約基本条例」の中に最低賃金規定の保障を明記します。ダンピング防止により、元請けの経営を守り、「京都市の発注は、だれでも、どこでも、最低1,000円以上(時給)」の賃金を保障し、安定した良質な雇用を生み出します。』

最近新しい労働運動として注目を集めている「AEQUITAS /エキタス」が掲げている、「最低賃金1500円」「中小企業に税金回せ」と似てますね。まあ、1500円じゃ無くて1000円ですが。今の京都市の体力だと、まだそれが限界ということなのでしょうか。

あと、行動カレンダーがちゃんと公開されてます。
https://calendar.google.com/calendar/embed?src=kyotomirainet%40gmail.com&ctz=Asia/Tokyo

選挙追っかけはこれでやりやすくなるね!
自分は体調その他の理由で行けるかわからんけど…。

ああ、メモ書きのつもりだったのに、結構がっつり書いてしまった…。


犬山でのこと


 先日8/30の全国一斉反アベ行動で、自分は大垣・豊橋・犬山・川名(名古屋市昭和区)の各集会をハシゴした。どれも主目的は「戦争法案」であり、労働法制に触れているところはなかった。
 理由はわからない。保守派の、特に経営者層の中には、「労働法制には賛成だが戦争法案には反対だ」という人もどうやらいるようなので、労働法制は棚上げして戦争法案反対で「一点共闘」ということだったのかもしれない。

 私の立場はあくまでも「反・労働者虐殺政策」だ。
 が、歴史的経緯を見ても、そういうことを本気でやらかしてくる内閣は、第一次安倍内閣と第二次安倍内閣、この2つ以外にもあるのだけど、とにかくこの2つが突出している。
 なので、「反アベ」という「一点共闘」で、私は行動を共にすることに決めた。

 大垣や豊橋の話も十分書くに事足りる内容はあったのだが、とにかく今すぐに書かねばならないことがあるので、犬山での一件に絞って書く。

 犬山駅前の参加者は、だいたい100名前後という感じだった。もう少し少なかっただろうか。それでも、いわゆる「左翼活動に熱心な定年退職者」といった人達だけではなく、自分と同世代かもう少し若いくらいの人も結構いた。集会が終わる頃には4割くらいになっていただろうか。

 参加者が一人づつスピーチをする時間があった。私は開始冒頭からいたのと、外見が若く見えるからか、「若い人からも一言」とマイクを渡された。

 正直な話、「戦争法案」で何か語れるほどの見識は、自分は持ち合わせていない。前述のように、自分はあくまで「労働派」だ。そして、反アベ派だ。

 だから、派遣法のことを語った。
 戦争法案よりも先に、労働者派遣法が衆議院で強行採決されたこと。先日18日に60日が経過して、派遣法に関しては「60日ルール」の適用が可能になったこと。元々9/1施行と書いてあったのを、それまでの成立が厳しいからとみなし雇用義務規定が適用開始になる10/1前日の9/30に変更しようとしていること。この改正案は派遣労働者の為のものだと言っているが、法案を読めばそんなの全くの逆だということ。そしてなにより、それらのことに殆どの日本国民が騙されているのだということ。
 こういった構図が、アベ政権の本質であり、戦争法案と全く一緒だ、ということも付け加えておいた。一応戦争法案の集会だから。というか、それも事実だし。

 たぶん、上記のようなことを話したと思う。終わりの方では、自分自身の経験だとかその後いろいろあった事やら何やらで感極まって言葉が出なくなりそうになったが、それでも何とか喋りきった。

 その場にいる、少なからぬ人達がうんうんと頷いてくれていた。先に言った、同世代くらいの、子連れだとか独身男性だとか、そういった層だ。
 この人たちみんなが派遣労働者というわけではないだろう。派遣労働者の比率は、実はそこまで多くはない。だが、そこまで少ないわけでもない。自分は正社員でも、自分の家族や友人、親戚、同級生といった交友関係のある人の中に、「ハケン」が一人もいない人を見つける方が、むしろ難しいのではないか。

 自分のことではなくても、かといって他人事でもない。それが、「ハケン」や派遣法の問題なのではないか。
 私自身、その光景を見るまでその事に気づかなかった。

 日経新聞の情報によると、政府自民党は派遣法は来週9/10に可決させる方針らしい。観測気球的な記事で、確定ではないかもしれない。が、アベ自民党政権はそういう日程も視野に入れているという事だ。

 詳しく説明するのも難儀なくらい、この改悪派遣法は複雑で狡猾なやり方で、派遣労働者の権利を奪い取っている。
 それを残り一週間でどう説明して理解してもらって反対に回ってもらって声を上げてもらうか。

 基本単独行動しかできない自分には、今のところ道筋すら見えない。

 とりあえず共産党含め野党諸氏には、例え戦争法案を止められたところで派遣法が通ってしまったのなら、それは野党のアベ政権に対する全面敗北なのだ、ということを肝に銘じておいてもらいたい。

 と、煽るぐらいしか今のところ思いつかない。