高蔵寺駅にてご通勤中のみなさま、おはようございます。荒野草途伸です。
本日もどうかお聞き下さい。労働法制と残業規制、”働き方改革法案”の話です。
前回、私がこの高蔵寺駅前に立ってから、3週間が経ちました。
その間に、国民から審議拒否を批判された野党は態度を改めて審議に復帰しました。
そして、立憲民主党と国民民主党は残業規制の対案を出し、共産党も議席数の関係で提出は出来ないものの、修正提言を出しました。
一方で先週、20代のシステムエンジニアと50代のテレビ朝日の管理職の2名が過労死で労災認定されたというニュースが入ってきました。
私もシステムエンジニアとして働いて、過労で障害認定された身です。とても他人事ではいられませんでした。
私はまだいい方です。生き残って、今こうしてここに立っています。
しかし。亡くなられた方も大勢おられます。残された家族の中には、苦しい生活の中、制度改革のために奮闘しておられる方達がいます。その多くは、過労死家族会という組織に集まって活動しておられます。
その過労死家族会の方達が中心になって、昨日、東京の日比谷で請願集会を行いました。連合、全労連、全労協の3大ナショナルセンター、立憲民主、国民、共産、社民、自由の5野党が集まる大規模集会でした。
しかし。皆さん、この集会のこと、ご存知でしょうか? 知らない人が多いと思います。何故なら、テレビは昨晩のニュースでこの集会を無視したからです。
テレビ朝日は、さすがに自社から過労死を出した直後だからか、報道ステーションで少しだけ扱いました。しかし他局は知らんぷりです。
NHKに至っては、自社の佐戸美和さんが2013年に過労死した事を長らく隠蔽した挙げ句、昨晩のニュースでも無視したのです。ちなみにこの集会には、佐戸美和さんのお母様の佐戸恵美子さんも、出席しておられました。
そして。政府与党、自民党と公明党は、相変わらず、働き方改革法案は間違っているとの再三の批判を無視し続けています。
高プロを削除せよとの労働者、労働弁護士、そして過労死家族会の要求に、全く耳を貸そうとしません。
それどころか、日曜日には自民党の羽生田幹事長代理が、働き方改革法案は強行採決するという趣旨の発言をしたのです。ろくに審議もしないで、です。
これでは、先月野党が批判された審議拒否と、全く変わらないではないですか!?
内容も、残業規制も、中小企業は適用免除、という規定がそのままです。
中小企業で働いていれば過労死してもいい、自民党や公明党、そして衛星政党と化した維新希望は、そう考えているのでしょうか?
昨日5月22日。衆議院厚生労働委員会にて、過労死家族会の代表を含む6名の参考人への質疑が行われました。与党側からは、経団連、日本総研、法政大学教授。野党側からは、連合、全労連、そして過労死家族会の代表が出席しました。
この中で、与党側参考人である日本総研理事の人が、こんな発言をしていました。
「高プロは、総枠としては賛成だが、現在の政府自民党の考え方では、健康管理対策や労使協議の仕組みなどが不十分だと考えている」
このような趣旨の発言を、何度も何度もしていました。
与党が呼んだ参考人ですら、この法案には問題があると警鐘を鳴らしているのです。
ちなみに、この発言を最初に引き出したのは、皮肉にも自民党の議員です。その自民党の議員は、質問の中でこう発言しています。
「自分は、残業手当が付く職場、高プロに近い職場、管理職、全部経験したが、残業手当が付く職場も高プロに近い職場も、長時間労働な事には変わりなかった」
高プロは結局長時間労働になる、と、自民党の議員が自ら証言しているのです。
必要なのは長時間労働の抑制、即ち残業規制であって、高プロなど全く必要無いのです!
政府案にも、確かに残業規制の規定は入っています。しかし、皆さんどこまでご存知かわかりませんが、政府案、即ち自民党と公明党の案には、中小企業は2020年までこの残業規制を猶予する、となっているのです。
36協定も知らないような経営者がいっぱいいるから、猶予期間を与えて漸進的に残業規制を適用免除する、のだそうです。
冗談ではありません!
そもそも、36協定も知らないような人間に経営者をやる資格などありません! 即刻公正な市場から退場させるべきです!
残業規制はもう、漸進的な改革なんてやってる暇などありません。もう遅いです。一体、あと何人過労死させる気ですか?
しかも、政府は日本維新の会と妥協する形で、この2020年までの猶予期間を、無期限にしようとすらしているのです!
他にも、政府案は勤務間インターバルがただの努力規定であったり、2ヶ月で150時間もの過労死を認めたりと、問題が大ありです。
詳細は、私のblogに表でまとめてあります。興味があったら検索してご覧になってください。
昨日の参考人質疑でも、このような問題点がたくさん指摘されました。
昨年3月に一度は政府と合意した連合の神津会長も、昨日の参考人質疑では、共産党の高橋議員の質問に対し、政府案では不十分でこのまま受け入れるわけにはいかないと明言しました。
その政府、とりわけ安倍首相はどうでしょうか。
先週、過労死防止法が出来たときの約束と話が違うと、過労死家族会が安倍首相に面会を要求しました。しかし、その話は安倍首相に取り次ぎすらされなかった、とのことです。官僚の答弁ですから、どこまで本当かはわかりません。ただ事実なのは、安倍首相は過労死家族会をほったらかしで大学の友人と会食をしていた、ということです。
政府や経団連は、しきりに産業競争力だのイノベーションだの、そういう事ばかりを強調します。
はい、確かにイノベーションは必要です。それは、長時間労働をなくし、定時で帰っても業務を完遂できるようにする、そういうイノベーションです。間違っても深夜まで働いて業績の代わりに過労死するという、そんなものではありません。そんなものはイノベーションではなく、ただの退化です。
経営者も、まともな、頭のいい経営者は、これをきちんと理解して既に改善に取り組んでいます。
頭の悪い無能な経営者が、自民党に泣き付いて、過労死促進法案を作らせようとし、自民党は強行採決で衆議院を通過させようとしているのです!
このような暴挙を許して良いはずがありません。
この話をお聞きになった方。どうか、この話を、真剣に受け止めていただきたい。そして、自分に何が出来るか、どこまで出来るか、考えてみてください。これは、あなた一人だけで無く、あなたの周りの働く全ての人に、影響が及ぶことなのです。
本日5月23日の夜19時、名古屋駅の西口で、若手労働者団体エキタス東海主催の、強行採決反対集会が行われます。
私はエキタス東海のメンバーではありませんが、この集会の趣旨に賛同し、今この場で宣伝させていただきます。
19時ですので、残業している方はまだお仕事中でしょうが、もし時間のてる方がいらっしゃいましたら、遠巻きでもいいので、ぜひ足を運んでみてください。
ご静聴、ありがとうございました。いってらっしゃいませ。