TwitterやGoogle+でも大まかなことは書いたが、SNSだと情報が散逸的になるので、BLOG記事としてきちんと残しておく。
コミケ:2020年の会場確保問題「ビッグサイト前提」 市川孝一共同代表(毎日新聞まんたんWeb)
https://mantan-web.jp/article/20170812dog00m200018000c.html
東京五輪に絡む、いわゆる「2020年問題」の話。
このコメント自体が嫌いな言葉なのを承知で”情弱”という言葉を投げつけたくなるほどの酷い内容なのだが、それは後ほど説明する。
まずは、まさか今更事情や経緯を知らない人もいないと思うが、一応ざっと説明しておく。
- 東京有明の東京ビッグサイトで、8月と12月に日本最大の同人誌即売会「コミックマーケット」(略称コミケット、通称コミケ)が毎年開催されている。
- しかし、2020年東京五輪で、この東京ビッグサイトをメディアセンターとして「五輪会場」利用することが決まった。
(この情報はTOKYO2020が決まった直後から出ている) - その為、2012年頃から名古屋や愛知県の同人関係者が「コミケの名古屋誘致」に向けて動き出した。しかし東京サイドからはガン無視され続けた。
- 現在ある名古屋市国際展示場(ポートメッセ名古屋)では狭すぎる、という話が出た為、名古屋に新しい大規模展示場を作る話が浮上し、2013年名古屋市長選ではこれが選挙の争点にもなった。(当選した現職の河村たかし氏は展示場建設派)
- その後、新展示場は名古屋市と愛知県が共同で建設することで一旦合意し、当時愛知県が実施していた総合オタクイベント「ぽぷかる」も一部からはコミケ誘致の予行演習として位置づけられていた。
- しかし、その後数年東京サイドからは何の音沙汰も無し。
2015年冬になって、コミックマーケットの申込書に「大阪開催」「名古屋開催」というアンケートが同梱され、準備会として一応問題は把握していることが判明。と同時に、東海地方以外の殆どのサークル参加者はこの問題を認識していなかったことが明らかになった。
ちなみにこのアンケートの結果がどうなったのかは、結局未公表。
コミックマーケット準備会としてこの問題にどう対応するつもりなのか全く不明なまま、1年が過ぎる。 - この間に、五輪開催規約で「五輪期間中は五輪会場から半径30Km以内での大規模イベントの開催禁止」という規約があることが判明。1日20万人が集まるコミックマーケットは東京ビッグサイトはおろか千葉や横浜、さいたま市でも開催できないことが判明する。
(この時点で、コミケの開催規模を縮小するか、名古屋か大阪に移転するか、東京五輪を中止させるかしか選択肢はなかったのである) - 名古屋市としてはかつて名古屋国際会議場(通称白鳥会議上)が利用者0で閉鎖寸前まで追い込まれた経験から、コミケ移転の保証が無い状態での大規模展示場着工は決断できず、その為愛知県との間に隙間風が吹き始める。
しびれを切らした愛知県は、2016年冬に名古屋市との共同建設をあきらめ、独自で常滑市にある中部国際空港の県有地に現行東京ビッグサイト並みの新展示場を建設することを発表。 - 愛知県側の動きに触発されたのか、栄光・緑陽社といった東京の同人誌印刷会社が中心になって東京ビッグサイトを利用している業界関係者に働きかけを始め、始めて東京側の動きとして2020年問題への取り組みが始まる。
しかし当初は「東京五輪賛成」「でも東京ビッグサイトを引き続き利用できるように」という、全く問題を認識していない前提での要求だった為問題は前に進まず。しかし途中から「関東での代替会場」と方針変更し、東京卸売市場の豊洲移転が問題になっていた頃は(案としてはともかく)「豊洲でのコミケ開催」という主張もしていた。 - 2016年7月に東京都知事が小池百合子に交代。東京五輪施設見直し作業が始まった為、同人関係者の間に一時東京ビッグサイトの継続利用の期待感が拡がるも、それ以前に見直し対象だった3施設すら従来通りで継続という結果に終わる。
(この時点でIOCの意志がはっきりする。) - しかし、豊洲移転と絡められたことに知事サイドがびびったのか、「青海仮設展示場」という話が出始める。有明の隣の青海に貨物置き場があるのでそこに仮設の展示場を作ってコミケはそこに移転して貰う、という話だが、そもそも敷地面積が圧倒的に足りない。(現行東京ビッグサイトの東館分にも満たない)
- 愛知県の中部空港新展示場は、愛知県共産党が県議会で反対するも、その討論の中で「東京都は東京ビッグサイトの代替施設として中部空港新展示場を紹介している」という答弁がなされる。(愛知県議会議事録より)
その後、愛知県は名古屋・東京の二箇所で中部空港新展示場の説明会を実施。 - 2017年7月の東京都議選で、同人・表現界隈に比較的理解のある都民ファーストの会と東京都共産党が議席を伸ばす。
栄光などの業界グループは攻勢を強めるも、主催であるコミックマーケット準備会は以前沈黙したまま。
そして、2017年8月になって、ようやくコミックマーケット準備会の公式コメントが出たと思ったら、上記のこれである。
特に許せないのがこの発言。
>「情報が出てから総合的に考えたい」
いや、情報はもう出尽くしてるでしょう?
もう一回整理しましょうね。
- 東京ビッグサイトは2020年夏だけでなく準備期間があるからその前後も使えない。
それ以前に(ミュンヘン五輪以来テロに過敏なIOC的には)徹夜組を撃退できないコミックマーケットなど、セキュリティ上の問題から五輪施設の近くでやらせるわけにはいかない。 - 海の森で解ったようにIOCは一度決まった会場変更に応じることはない。五輪会場が東京ビッグサイトから動くことはあり得ない。
- コミケットのためにいろいろ動いてる業界関係者(栄光とか)も、(代替案はお粗末だったが)東京ビッグサイトは使えないという認識に立った上で行動してる(あくまでも関東近辺に代替会場を用意しろという基本方針)。
- 青海に仮設展示場を作る話もあるが、広さは不十分だしそもそも正式決定してない。どっちにしろ「東京ビッグサイト」は使えない。
- 東京都は代替会場として中部国際空港に建設中の愛知県国際展示場を既存利用者に紹介している。原則中部空港に移って貰うのが東京都の方針。
こんだけ情報が出てるのに、まだ「東京ビッグサイトを前提」「情報が出るのを待ちたい」とか、妄言にも程がある。
「東京五輪を潰さない限り、東京ビッグサイトは使えない」のである。
準備会関係者の中には、自民党とパイプを作って何とかして貰おうという発想のものがいる、という話も耳にしたが、是非はともかくそういうレベルの話ではない。IOCがダメだと言っているのである。日本政府でもどうこうできる話ではない。
そもそも東京ビッグサイトが五輪会場として使われるというのは、もう5年も前から出てる話なのに、一体今まで何をどう情報収集していたのかと、さすがに胸ぐら掴みたくなるレベルだわ。
コミックマーケット準備会は本気で自分達のイベント守る気あるのか。この件で動いているあらゆる関係者を馬鹿にしている。
はっきり言おう。
個人的にはこんな我が儘な連中に、これ以上つきあってられない。そもそも俺、サークル参加者でも一般参加者でもねえし。
愛知県は愛知県で独自に大規模同人誌即売会やればいい。金城ふ頭になるか中部空港になるかはともかく。
やり方としては幾つか考えられるけどね。ぽぷかるの実績を元に愛知県主催でやるとか。既存の同人誌即売会であるコミックライブ名古屋をベースに愛知県か関連団体との共催にするとか。一応下敷きがあるから、今から準備すれば十分間に合う。
会場も、中部空港新展示場だけで足りなければ、金城ふ頭と船で結んで会場を分散開催すればいい。会場分散開催は名古屋デザイン博で実績あるんだから。(そのデザイン博のメーン会場だった白鳥が利用者0という事態に陥ったという歴史があるから愛知県共産党は新展示場建設に反対している、というフォローは、立場上一応、しておくが。)
あと、もう一点追記。これは、もう、完璧に政治問題だぞ。「女オタは政治や社会と関わりたがらない」とかいう話を最近になって聞いたが、「政治とは関わりたくない」とかそんな甘ったれた台詞が許される状況じゃねえぞ。