昨日2月10日に、お茶の水の全労連会館で行われた安倍働き方改革決起集会に参加してきました。
主催者側の意図としてはそこまで人も集まらず準備集会程度の認識でいたようですが、実際にはホールがほぼ満員になる200名の参加者が集まる規模の集会になりました。それだけ、この「働き方改革」なる労働問題政局に関心が高いという事でしょう。それはそうでしょう、遠い戦場の話と違って、目の前にある給与と労働時間、ひいては自分が死ぬかもしれないという話なのですから。
全労連の集会という事で、冒頭は共産党の高橋衆院議員の報告から始まり、その後過労死遺族の方2名の講演、10年以上にわたる労働改悪問題に取り組んできた専門家の人からの報告、現場で過酷な労働条件と戦っておられる労働組合等からの報告、そして昨年御用組合「連合」本部にデモを仕掛けて一気にその名を上げたAEQUITAS(エキタス)からの呼びかけ、と続きました。
以下、既にTwitterやGoogle+にアップした内容が殆どですが、内容をかいつまんで記しておきます。
(部分的に、荒野の注釈も入っています。)
*日本共産党・高橋衆院議員の挨拶
・現在国会では貧困ビジネスの規制強化、しっかりやってるところへの支援強化を取り組んでいる。制度の陰で支援を受けられない人がいる。
・働き方改革はこの後すぐにでる。8法案一括。当初は2月下旬という話だったが、3月中旬にずれ込むという話になってきている。岡崎参与からは内々に「同一労働同一賃金と労働時間の2つではだめか」という打診もある。
(※政府がかなり弱気になってきている?)
前の国会で(当時の)野党共同で出した長時間労働規制法案がある。これに盛り込めなかった、事業場外(みなし)労働規制の提案の必要性というのもあり、これも含めて全体をもっとバージョンアップして対案を出して迫っていく。
ただ、長時間労働規制法案を出した中心メンバーは希望の党に行ってしまった。
政府が過労死防止大綱の見直しに着手することになった。(与野党が加わる)議員連盟もフォローアップしていくことを提案。調査研究を行ってここまでこぎつけた。
しかし、現「働き方改革」8法案には過労死促進の内容が含まれているのは齟齬があり如何なものかと(高橋議員が)発言。これに対し、馳議連会長(自民党)が、働き方改革法案をよく知らないと発言。
無期転換に絡み4月に雇い止めが発生する懸念。ある県で11万人と言う数も。
*東京過労死家族の会の方の講演
**佐戸恵美子さん(NHK記者過労死遺族)
2013年参院選の選挙報道担当中に、過労でホテルで倒れそのまま無くなった。
ハードな記者生活は、それまで問題なくこなしていた。
当時の取材体制に問題があった。ベテランの男性スタッフが中心。ベテラン3名が自民・民主・公明をそれぞれ担当し佐戸氏がそれ以外の全政党を担当したが、2013年参院選は共産党が大きく延びた為、佐戸氏が全部それを担当し負担が尋常ではなかった。
NHK内部では誰も責任をとっていない。
**中原のり子さん
夫が小児科医師だった。19年前投身自殺。
小児科部長就任後、スタッフが半減。感情のコントロールできなくなった。職業の否定。時間外労働83時間。労災認定に8年かかった。
その後過労死防止法の制定に奔走。制定4日後に高度プロフェッショナル労働制が議員立法で浮上。
看護学校で講演したとき、他の同僚は生きているから過労死ではない、と言われた遺族(子供)がいた。
*働き方改革一括法案の内容と問題点
**鷲見賢一郎(自由法曹団)
・雇用対策法の改悪
今回急浮上してきた法案。
法案の名前とは裏腹に、労働者保護に関する文言は一言も出てこない。内容は「経済成長力」を目的とした法案。完全な財界目線の法案。
・労働基準法の改悪
過労死ラインの上限規制。休日も含め100時間未満が基準(過労死ラインは80時間未満)。過労死合法化法案。
過労死容認を法律に明記する歴史的な大改悪。
45時間を超えると発症の関連性が高くなり、本来は45時間を基準とするべき。
・高度プロフェッショナル制度
抜け穴を駆使すれば毎日24時間労働を命じることも可能。
現法案では対象者は年収1075万円以上とされているが、経団連は10年前に話が出たときから一貫して年収400万円以上にするよう要求している。さらに派遣も対象という話も出てきた。
企画業務型裁量労働制=裁量的にPDCAを回す業務(どんな業務でも対象)。対象業務を増やす。
(※「PDCAを回す業務は全部対象」って。PDCAって社会人の基本だよね!?
社会人全員が対象って話じゃないのこれ!)・
・労働者派遣法改正
・短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律
派遣とパートを一括で扱うことを目的とする法案。なのでまとめて話す。
非正規に配転を可能にする。拒否する人は差別していい、という内容。
待遇はそのままで正社員並の責任・能力を求められる。
安倍晋三の言う同一労働同一賃金は本来の意味とは違う。言葉のすり替え。
自由法曹団による法案不備の指摘と均等待遇の実現方法の提言
ア 不合理合理性等の基準から「職務の内容及び配置の変更(人材活用の仕組み)」を削除する。
イ (待遇の)不合理性の立証責任を労働者に負担させるのでは無く、合理性の立証責任を使用者に負担させる。
ウ 格差是正を理由にして正社員等の賃金を下げることを禁止する。(待遇切り下げによる同一待遇は禁止)
・雇用の請負委託化
技術革新の中で今までにない働き方が出てきていることは事実。
それに対応した労働者保護が必要だが、自民党政権は技術革新を理由に労働者の権利切り捨てに結びつけている。
**伊藤圭一(労働法制中央連絡会)
これからはフリーランスを増やそうというのが政府の方針。
請負を保護するのではなく、雇用労働者は過保護すぎるという理屈。労働法制を全て無くしてしまえという動きすらある。
アルバイトも裁量労働制にするという話が出てきた。
しかし労働者の圧力の声が弱い。連合が既に了承してしまっている。
*現場からの報告
(一例として、労基違反を取り締まる労働行政の現場から)
**河村直樹(全労働副委員長)
労働行政は来年度定員を130人減らされる。地方労働体制を削減しつつ監督業務は強化しろと言う矛盾した政策。
ハローワークの窓口一線はほぼ非正規。人事院指導で3年勤めたら一端解雇、ハローワークで再応募。一般求職者は、現職者と競争して落とされることになる。どちらにとっても何のいいこともない。
求人条件と実際の条件が違う場合の明示規定が、逆効果になりつつある。(やっていいのか、という事業者の声)。そもそも違う事自体がおかしい。
他に、
全教から教員の長時間労働、
医労連から医療現場の超過労働、
自治労連からの自治体非正規職員の問題、
MICから印刷・アニメ製作の現場の問題、
自公総連からライドシェアの問題、
新婦人から家族側からの問題啓発、といった話がありました。
*日弁連より
**中村和雄(日弁連貧困問題対策本部委員)
労働時間法制を考える院内市民学習会 の案内
2月28日(水)18時~19:45
衆議院第二議員会館1階 要事前申し込み
日弁連は月45時間残業規制で実行しろと言う提言をしている。(1日2時間で案を出したが、理事会で否決された。)
{フランスでは1日2時間。日本だけが異常な状況。}
最低賃金の大幅引き上げをしろという提言。
社会保障の充実。10月4日青森でシンポジウム。具体的スケジュールも含めて提言をする。
AEQUITAS
山本
バイトへの裁量労働制の適用に反対するデモ の案内
2/25(日)13:15 柏木公園(西新宿)
裁量労働制=定額働かせ放題。
エキタス=公正(ラテン語)。働き方改革法案に公正はない
今後の労働法制関連行動予定
最後に、集会では(何故か)特に出ませんでしたが、今後の労働法制関連行動予定が資料にあったので、抜粋しておきます。(※殆どが東京ですが)
2月15日(木)
ディーセントワーク宣伝全国統一行動(全国)
(東京は)17時~18時 新宿駅西口
内容:2018春闘、労働法制、最賃・賃上げ、無期転換・安定雇用などで各労働組合代表が発言。3.2全国一斉労働相談ホットラインの告知も行う。
2月28日(水)
日弁連2.28労働時間法制を考える院内市民学習会
(上記にあった案内のもの)
主催:日弁連
日時:2/28水 18:00~19:45
場所:衆議院第二議員会館
問い合わせ先:日本弁護士連合会 人権部人権第一課
TEL:03-3580-9501
3月2日(金)
3.2全国一斉労働相談ホットライン
3月7日(水)
全労連中央行動(国会議員要請行動)
3月12日(月)
雇用によらない働き方・批判検討会
主催:労働法制中央連絡会
日時:3/12月 18:30~20:30
場所:全労連会館3F会議室
3月16日(金)
労働弁護団主催・院内集会
主催:労働弁護団
日時:3/16もしくは19日 11:30~13:00
場所:衆院議員会館を予定
4月11日(水)
全労連全国統一行動
東京では国会前昼行動や議員要請等を含む諸行動を検討中
とりあえず、この集会は勉強になった。
問題のある法案(特に高プロの件は10年以上も続いている)というのはわかっていても、8法案もまとめて出されてくると、どの法案がどういう内容でどんな問題点があるのか、わけわかめだから。
全部理解したわけでは無いが、多少内容が整理できた。
最後に、私荒野草途伸からの私見を、Twitterからの引用という形で。