3/29から、「統一地方選」が始まります。「18歳選挙権」がスタートしてから、初めての統一地方選になります。
だが待って欲しい。そもそも地方選とは何か? 衆院選や参院選と、一体何が違うのか?
そんなイマイチよくわかって人の為に、地方選挙の基本を解説します。
*自治体について復習*
自治体というのは、中学の公民で習った「地方公共団体」の事です。忘れた人は教科書を引っ張り出して読み返しましょう。
一言で言うと、都道府県市町村東京都特別区の8つのことです。
「区」で地方公共団体にあたるのは、東京都特別区(いわゆる東京23区)のみです。政令指定都市の区(例えば名古屋市の中村区とか)とか、田舎の町村にたまにある区(都市部の自治会にあたる)は、地方公共団体ではありません。
政令指定都市とは、市のうち、特別に大きくて成長性のある大都市に、道府県と同等の権限を与えるよと政府のお墨付きを貰った市です。おおむね人口100万人が目安にされています(必ずしも100万に達しているとは限りません)。
現在、以下の20市が指定されています。
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札幌市(北海道)
仙台市(宮城県)
新潟市(新潟県)
さいたま市(埼玉県)
千葉市(千葉県)
川崎市(神奈川県)
横浜市(神奈川県)
相模原市(神奈川県)
静岡市(静岡県)
浜松市(静岡県)
名古屋市(愛知県)
京都市(京都府)
大阪市(大阪府)
堺市(大阪府)
神戸市(兵庫県)
岡山市(岡山県)
広島市(広島県)
北九州市(福岡県)
福岡市(福岡県)
熊本市(熊本県)
*自治体の中の公職*
公職というのは、公的な権限(責任)を持った人です。公務員でも指示に従って事務や業務をするだけの人は、公職とは言いません。
自治体では、首長とその補佐役、議会議員、行政委員会の委員が、公職にあたります。
このうち、首長と議会議員が、選挙の対象になります。
首長とは、都道府県の場合は「知事」、市区町村の場合は「市長」「区長」「町長」「村長」のことです。
おそらく、公職の中でも、一番馴染みのある人達でしょう。
首長は、補佐役を任命することが出来ます。「副○○」という役職名になります。この人たちは公職ですが、選挙では無く首長の任命(議会の同意が必要)で任命されます。
地方公共団体は、予算や条例を審議する為の「議会」を持っています。この議会のメンバーが「議会議員」です。いわゆる、「地方議員」と呼ばれる人達です。
「都議」「道議」「府議」「県議」「市議」「区議」「町議」「村議」と言った人達は、全員この議会議員にあたります。
行政委員会とは、自治体業務のうち政治色を廃する事が求められる業務を、首長から独立して運営する為の組織です。代表例として、公立学校の運営や文化宗教行政を担う「教育委員会」があります。
行政委員は、農業委員会のように関係者の選挙で選ばれるものもありますが、殆どの委員会では選挙で選ばれた首長が任命します。(※但し首長には委員の解任権はありません。)
*地方選挙ってなんぞ?*
地方選挙は、自治体の公職を選出する選挙
ここまで述べたように、選挙の対象になるのは、首長と議会議員、一部の行政委員です。
このうち、首長と議会議員の選挙を、「地方選挙」と呼ぶことが多い、ということなのです。
*統一地方選 #とは*
戦前は、「自治体」というものはありませんでした。県や市は国の出先機関という位置づけでした。なので、知事は選挙では無く国が任命していました。
戦後になって日本が民主化し、都道府県や市町村には「自治権」があると憲法に明記されました。
これに伴い、首長や議会議員は一旦全員解任され、全国一斉に地方選挙が行われました。(※沖縄県を除く)
これが統一地方選の始まりです。
首長や議会議員は、全員が任期4年です。なので、初めは全国全ての自治体の選挙が、4年に一度同時に行われていました。
しかし、何十年か経つうちに、首長が辞職したり議会が解散したりといったことがあり、だんだん選挙日程が全国一斉では無くなってきました。
しかし、殆どの道府県や市町村では、4年に一度任期満了になります。そこでこれらの地方選挙は、国会が特別法を制定し、日程を揃えて4月に実施するようにしているのです。
これを、統一地方選挙、とよんでいるのです。
ちなみに、4月前半は、道府県の知事と議会議員、政令指定都市の市長と市議会議員の選挙が行われます。
東京都はこれまでに何度か知事の辞職や議会の解散があった為、都知事や都議は統一地方選の対象にはなりません。
一方、政令指定都市は都道府県と同格という扱いになっている為、道府県と同じ日程で市長と市議の選挙が行われます。
4月後半には、市町村と東京都特別区の首長と議会議員の選挙が行われます。
ただし、先程述べたように、政令指定都市の選挙は4月前半に行われるので、後半には選挙はありません。
沖縄県は1972年まで米軍の占領支配下にあった為、戦後すぐの統一地方選挙に参加出来ませんでした。(そもそも、「琉球政府」という、全然違う自治制度でした。)
その為、沖縄県は本土とは別に沖縄統一地方選と呼ばれる選挙が実施されます。
*地方選の選挙権*
公職選挙法では、選挙の投票は3ヶ月居住した地で行う、と定められています。
この為、選挙人名簿は、住民基本台帳(住民票)とは別に管理されています。多くの自治体では、コンピュータ上で毎月住民基本台帳から転記処理を行って管理しています。
国政選挙(衆院選、参院選)は、転居して3ヶ月以内に選挙がある場合は、転居前の居住市町村で投票することになります。
しかし、地方選挙の場合は、自治体は現住人の為の住民サービスを行う為の機関という考えから、住所(住民基本台帳への記載)が無い場合は本来選挙権はありません。転居前の自治体の選挙には本来参加出来ません。
しかし、住民基本台帳と選挙人名簿は別に管理されている為、選挙直前に転居しても選挙人名簿に名前が残っている場合があります。この場合、投票場入場券が届いてしまいますし、実態としては投票出来てしまいます。
逆に、選挙人名簿の更新処理のタイミングによっては、本来選挙権があるのに選挙人名簿に登載されていない、というケースもしばしばあります。
3月4月は転勤シーズンの為、このような不都合は昔から生じていました。しかし、是正されていません。
この辺りは、残念ながら、法制度の不備といわざるを得ません。
2016年の参院選から選挙権が18歳以上になった為、投票日時点で満18歳になっていれば高校生にも選挙権はあります。
ですが、統一地方選の場合は、今年の前半は4/7、後半は4/21が投票日の為、前半ですと4/2~4/7のわずか6日間の間に生まれた人か、留年した人でない限り、高校生に選挙権はありません。
ちなみに、高校生でも何留かして25歳以上になっている場合は、選挙権だけで無く被選挙権もあります(※知事を除く)。
さいごに
以上のように、地方選挙の基本について解説してみました。
地元で選挙があって選挙権のある人は、忘れずに行くようにしましょう。
統一地方選前半は3月29日告示(道府県議)・4月7日投票、後半は4月14日告示・4月21日投票です。
今年は天皇の交代がある関係で、例年より一週間早くなっているので、注意しましょう。
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