月別アーカイブ: 2022年8月

デジタル時代の新技術と権利


 ここ数日「AIによる画像生成」が話題になっている。そんな中、mimicという自動画像生成Webサービスが(たぶんこれで2回目だと思うが)騒ぎになって、一部の絵描きが過剰反応するという事態にまでなっていた。
(※mimicは現在サービス停止中)

 mimicに限らずこの手のサービス絡みの騒動は過去に何度か起きていることで、その度に「学習用に画像データを読み込ませることは違法では無い」と指摘されているのだが。わかっていない人が一部にいて、何回言わせる気だとイラッとしたので、Twitterではキツい書き方になってしまった。

 で、この件、mimicの利用規約に対する疑義もあったので、利用規約も確認した。
 こっちは確かに酷かった。この条項違法だから無効でしょ、ってくらい酷かった。

 AIが生成したデータに誰かの権利が付くかのような書き方がされていた。
 そもそもAIが生成したデータには誰の著作権も付かない。AIは人ではないから。人ならざるものが作った著作物は、作ったのがAIだろうがエテ公だろうが、著作権は付かない。(「サル カメラ 著作権」で検索するといろいろ出てくる。)
 誰にも著作権が無いから、「私が描きました」は当然通用しない。
 なのに、AI生成物に著作権が付くかのように記載されていた。

 さらに、その下の条項で、利用者は著作者人格権を放棄するとかアホなことが書いてあった。日本の著作権法では著作者人格権は放棄できないし、そもそもどの法律でも関係なく法で定められた権利を契約で否定することは許されないんですよ。労働基準法で定められた有給休暇取得の権利を契約で破棄させるのは、違法だし無効なんです。
 ちょっとこの規約誰が作ったんだと。契約で全てを支配できると思い込んでんだったら、ファンタジーライトノベルの読み過ぎだぞ。

 とまあ、あまりにも酷い利用規約なので。mimicのサービス停止はこれは当然かな、と思う。会社側がどういう認識かはわからないけど。

 とは言っても、この手のサービスはこれからもどんどん出てくるだろう。中には「週間のび太」みたいなことやり出す奴も出てくるだろうし、そんなことされたらかなわん、というのはさすがに私でもわかる。
 なのだが、現行法ではこれを止める手段が残念ながら、無い。

 この1日考えて、技術的に止める方法として、電子透かしの導入とか、真贋判定AIの構築とか、AIモデルには構築者の個性が出る点をつくだとか、いろいろ方法を考えたのだが。残念ながら足止めや時間稼ぎにはなっても、抜本的解決になるような方法は思い当たらなかった。

 法的には、著作権という制度自体がアイデアや作風画風といった無形な部分は保護しない、という鉄則があるので、著作権の枠組みで考える限りどうしても壁にぶち当たってしまう。

 しかし著作権が限界だから為す術が無いかと言ったら、そうでも無い。工業デザインやプログラムの場合は、著作権も発生するがそれとは別立てで、意匠とかプログラム特許という保護方法が用意されている。意匠や特許ではアイデアやコンセプトも保護される(というよりそっちがメイン)。

 イラストを含めシナリオとか動画とかと言ったコンテンツ分野は、もはや文化芸術の枠組みを超えて産業として成立している。であれば、そういう前提で産業財産権として著作権とは別立ての権利を用意して、そこでアイデアやコンセプトといったものはある程度保護するようにした方がいいのでは無いか。
 もちろん、著作権のような「自動発生・生きてる限り無期限」とはならず、審査した上で期限付、ということになるだろう。ここは特許・意匠も変わらない。

 新しい権利を創設することになるので、国会議員に作れと要求しても1年や2年では出来ないとは思う。が、ほったらかしてたらいつまで経ってもできないので、ハードルが高いとは思うが勉強して要求していく、という事も必要なのでは無かろうか。


ワクチン三回目接種雑感


 もう2週間前になるが、新型コロナウイルスワクチンの3回目接種(モデルナ)をした。正直まだ倦怠感が抜けないが、これは夏バテなのか後遺症なのかよくわからない。

 接種券が届いたのは5月なのだが、2回目接種(ファイザー)からまだ半年経っていなかったので、その時点で予約が出来なかったのだ。
(当時は東京政府の方針で東京と大阪にワクチンが集中配布されていたので、愛知県を含む45道府県では接種予約がなかなか出来なかった。東京の隣の神奈川県で予約が出来ないのに、東京の接種会場は人が来なくてワクチンを廃棄している、というアホなニュースもあった。)

 6月になって予約可能になっても、予定が合わなかったり体調不良やらで延ばし延ばしになり、8月になってようやく接種した次第である。何しろコロナワクチン接種は副反応が強いから、それも折り込んで予定を立てないといけない。

 Twitterでも書いたが、このワクチン副反応は普段健康で病気をしない人ほど、体感でキツく感じる傾向があるらしい。病気慣れしている人は寝込んだときの処し方が体に染みついているから、という事だろう。そんなもの染みつかない方がいい気がするので、これはどちらが良いとか一概に言えない。

 処し方の一つとして、枕元に流動食を用意しておくというのがある。

 今回私は、↑より少し多めの量を用意した。1,2回目(ファイザー)の時はこれで足りたので、少し足すぐらいで乗り切れるだろう、と高をくくっていた。

 結論を言うと、全然足りなかった。意味が無かったわけではないのだが、1日目で全部無くなってしまった。

 いやもう、副反応の症状がまるで違った。
 モデルナ製は副反応がキツい、特に4,50代男性は酷い、と聞いていたので、ある程度覚悟はしていたが、ある程度程度では甘かった。

 接種したその日の夜にもう判断力が低下。翌朝は頭痛。午後になると全身が痛い。記録も検温も出来ない、と言うかそんな考えすら頭にない。
 こんな状態でも意識ははっきりしてるんだな、と当時は思っていたが、今思えばそれが既に異世界にトリップしている状態だった。熱があるようだからと、すのこタンで頭を冷やしていた。濡れタオルとか冷えピタシートでなく。ちんちん以外全部痛い、ワクチンだけに、ギャハハハハ。とか考えていたことは覚えている。相当ヤバい。

 10年くらい前にインフルエンザの予防接種を受けた高校生が飛び降り自殺してしまうという事件が相次いだが、こういう状態だったのかもしれない。

 2日目。体感では少し症状が軽くなった、気がする。
 虹ヶ咲の優木せつ菜の生誕祭だったが、6時半ぐらいにスクスタにログインしただけという記憶しか無い。
 この時点で既に豆乳が無い。ふるさと納税で取り寄せた青森県産のりんごジュースがあったので、それで凌ぐことにする。が、飲んでも水のように味がしない。コロナ感染の症状に味覚障害があるけどこういうことか、と妙に納得。前日豆乳飲んだときはどうだったのか、そこは記憶が無い。

 検温したら38.4℃だった。少し良くなってこれか、と、愕然。1日目はもっと高かったのだろうか。測ってないからわからんけど。

 付けっぱなしにしていたニュースで、青森県のリンゴ畑が豪雨でやられたと流れていた。何という皮肉だろうか。

 3日目。熱は37.6度まで下がる。
 ソシャゲにログインできるようになるまでには回復した。ソシャゲには健康管理の役割を持たせ得るので、河野デジタル相は検討されるとよろしい。
 回復したと言っても、普段通り動けるわけではない。咳き込むと頭が痛む。普段だって病人だから人並みには動けないわけで、要するに寝込んでいることに変わりない。この状態で、ようやく1,2回目の副反応並みである。

 4日目。の、午後になってようやくそこそこ動けるようになる。
 と記憶しているのだが、具体的に何をさして動けるようになったと判断したのかは覚えていない。洗濯機を回したのかもしれない。痛みはひいたが倦怠感が酷い。

 Twitterの記録によると、5日目には副反応は消えたらしい。が、実際には今回の記録を付けようとPCに向かっても目眩や倦怠感で文章が打てず、結局それから1週間以上経った今日になってようやく文章を書いている次第である。

 さて。インフルエンザワクチンとは比較にならないほどの酷い副反応を経験したわけだが。これでも、コロナ感染時の判定基準に照らし合わせると「軽症」扱いらしい。咳き込みはしたが呼吸困難にまではなっていないので。
(※血中酸素濃度は測定機器がないのでわからない。)

 とは言っても、全身が痛むというのはこれはちょっとシャレにならん。勤務どころか日常生活にも支障をきたす。しかも今接種されているワクチンは流行しているオミクロン株に対応していないという話だ。
 これでは、こんなキツい副反応が出てはかなわんとワクチン接種しない人が出ても仕方ない。中には市中感染して無症状で免疫獲得することに賭ける人だっているのではないか。さすがに推奨はしないが、ちょっと責められない。

 マスクや黙食と同等の抑止効果をワクチンに期待するのは、期待過剰なのではないだろうか。ワクチンそのものの効果と言うより、打たない人がいるという意味で。
(冒頭で書いたように、そもそも打ちたくても打てなかった人が大勢いたのも原因の一つなのだが。)
 本気でワクチンで感染抑止したいなら、モデルナかファイザーの2択しか無いワクチンの選択肢をもっと広げて、ノババックスやスプートニクVも選択できるようにしないと行き詰まるよ。まあ、自民党の一部のセンセイがギャースカガーガー騒ぐからそれは出来ないんでしょうけどね。