月別アーカイブ: 2016年7月

「字書き」と「絵描き」の認識違いについて


また口出ししたくなるようなタグがあったので


とりあえず一部連中への過去の怨恨は脇に置いといて純粋にこのオーダーシートについて一文章書きの視点から意見させて頂こうと思ったら10項目にも及ぶ大クレームになってしまったので、自BLOGに置いとくことにする。

-内容-

1.「アナデジの選択の余地など無い、デジタルに決まっとる」
(・字書きの元原稿はtxtにしろdocにしろjtdにしろ、全てデジタル。原稿用紙なんて今時あり得ません
・アナログデータはなんだかんだトラブルになります。予定日数が4倍くらいになります
・それでも「アナログしか描けない」なら、デジタル化の作業をどっちがやるのかをはっきりさせておかないといけません
・「モノクロならFAXで送ればいいじゃない」という認識持ってたら、甘いです。FAX使うよう指示すると老害扱いされる時代ですよ)

2.「カラーと多色でどう違うねん表紙頼むならカラーに決まっとるだろ」
(・表紙って言ったら多くの字書きはラノベ表紙が念頭にあるので基本カラーです。多色とか意味わかりません
・そもそも最近のカラーデジタル入稿データはオンデマンド化してるから多色刷りとか意味無いです
・もしモノクロで依頼が来たら、本文中挿絵の依頼かコピ本表紙の可能性大です。確認すべきです)

3.「モノクロってあるけどモノクロ2値?グレースケール?」
(・絵描きですら結構区別できてない人多いようです。字書きは尚更
・コピ本表紙ならともかく、オフセット表紙で線が抜けてるとかなったらたぶんトラブルになります)

4.ファイルフォーマットは??
(・絵描きにとってはPSDが常識かもしれないが、字書きはフォトショップなんか下手したら一生使いません
・JPEGとPNGの違いすら理解してない人も意外にいます。さすがにBMPも区別つかない人はいないと思いますが)

5.サイズ指定は?
(・このカードにはそもそも項目が無いですね
・字書きはプログラマーやWebサイト作成やってる人多いしそもそも紙原稿なんか扱わないので、感覚は完全に「pixel」です。Cmとかinchでサイズ言われても「???」となります
・上記の理由から、字書き側は解像度300dpi(WebDPI)の感覚な人が多いです。Webサイト用や電子書籍、コピ本なら実際それで十分です
・「表紙絵」なら用紙サイズで枠が決まることになるので「A5」「B6」「新書版」でもやりとり出来ると思いますが、そもそもお互いがA紙とB紙の違いがわかっていないと悲劇が起きます
・単位の確認せずに作業進めると、「ファイルサイズが1TB超えた!」とかいうとんでもない話になります)

6.「入稿データはどっちが作るの?」
(・字書きは表紙絵無しなら本文込みのdocかPDFを1ファイルで印刷所に入稿するので、「表紙のみのデータ作成」というのは基本やったことがありません。それ以前にコピ本しか作ったこと無い人が多いです
・殆どの印刷所は表紙データはPSDで受け付けるので、字書きはそこで壁にぶつかります。入稿データごと絵描き側が作成してPSD納品するのか、原データだけ渡して入稿データは字書き側が作るのかはあらかじめ決めておかないと、確実にトラブルになります
・印刷所によっては「表紙もPDFに含めていいよ」というところもあるので(特にモノクロ表紙の場合)、その場合字書き側が最終データを作ることになります。但し、Wordや一太郎でPSDは扱えないので、PNGかJPEGでの納品になります)

-報酬-

7.「無報酬はともかく要相談だといくらふっかけられるのかわからん」
(・仲介サイトが発達してようやく発注側にも相場が掴めるようになってきましたが、それでもまだまだわかりづらいのが現状です
・殆どの商売がそうだと思いますが、価格の提示は原則受注側が行うものです。発注側の予算枠(=上限)が決まってる場合は受注側が「作業量や工程を工夫して見積もりを出す」場合もありますが、足が出たら受注側で吸収することになります。「要相談」は基本的に受注側に不利です
・そもそも、寿司屋に入って「時価」と書かれた魚を注文しますか?)

8.「権利関係は?」
(・世の中には信じられないことをする人間もいるので、これははっきりさせておくべきです。受け取った絵を第3者に勝手に譲渡する、なんて奴がいないなんて誰が言い切れるでしょうか?)

-その他(そもそも論)-

9.「単発なのか、継続なのか」
(・今回1回限りの話なのか、今後また依頼があったら受ける意志があるのか、あらかじめはっきりさせておいた方がいいでしょう)

10.「挿絵の依頼は出来ないの???」
(・字書きが欲しいのは基本「挿絵」なのです。カラー表紙はあくまでも「先頭に来てるカラーの挿絵」という位置づけなのです
・表紙要らないから挿絵だけ欲しいという人もいるくらいです。字書きは文字にこだわるので表紙は文字だけにしたい人もいるのです
・但し、(本文中の)挿絵は全てモノクロ二値データになります。多くの字書きはそれを認識していません)

これらの事項を全て「打ち合わせ」で吸収するのは、間違いなく無理です。
だから、「頼める人がいない」のです。

(そもそも絵描きの知り合いがいない頼んでも罵声を浴びせられる、という以前の私のようなケースもありますが)


アベノミクスの欺瞞と共産党の代替政策


世論調査によると、「安倍政権下での改憲反対」という人は、7割にも達するそうです。にも関わらず、参院選では(野党がだいぶ巻き返してきたとは言え)未だに自民党優位が続いています。
何故でしょうか。
結局の所、”アベノミクス”がうまくいっている、と多くの日本人が騙されてしまっている為です。
参考:

結論から言うと、”アベノミクス”で成功したのは、第1の矢「金融緩和」と、番外編の「官製春闘」のみです。第2の矢(財政出動)は東北復興の遅れに象徴されるように大失敗、第3の矢に至っては実行以前にそもそも中身がありません

では”アベノミクス”とはそもそも何だったのか。整理しましょう。

アベノミクスとは、そもそもは2012年総選挙でアベ晋三がブチあげたリフレ政策(金融緩和)の事でした。この時点でリフレ政策の意味を理解していなかったアベ晋三は街頭宣伝で「私のこの演説だけで、何人の雇用が救われたと思っているんですか!」と叫んでいましたが、いくらなんでもアベ晋三の演説が経済政策になるはずがありません。金融緩和とそれに伴う市場マインドの向上が目的でした。

しかし、金融緩和だけではどうもダメだということが早々に判明しました。
金融緩和というのは、これまでも散々詳しい方から説明がなされていますが、ざっくり簡単に言ってしまうと「モンエナ飲んで仕事する」のと一緒です。
飲んだ瞬間は効果があります。何回かは効果があります。しかし、だんだん通用しなくなってきます。乱用すると、体に深刻な負荷がかかるようになって来ます。

ですので、金融緩和ばかりに頼っているわけには行きません。これは、リフレ派筆頭の黒田日銀総裁ですら、早々に認めていることです。

しかし、自民党内からはまともな経済対策が出てきません。そこで官邸は、野党に救いを求めました。これに積極的に応じたのは、当時「第3極」ともてはやされていた日本維新の会やみんなの党(※どちらも今は存在しません)でした。が、結局自民党内から出てくる案と大差ないものでした。
結局、官邸は自民党から出てきた案をベースに、「3本の矢」なる経済対策を打ち出しました。金融緩和を1本目と位置づけた上で、第2の矢として財政出動(要するに土建公共事業)を行い、3本目の矢は「今から考える」という内容でした。

第2の矢(財政出動)は、ただでさえ旧態依然な土建公共事業へのバラマキ政策の域を出なかった上に、当の土建業界は業界の衰退を見越して業態転換・人員整理を進めていた為、自民党からの突然の大量発注に対応できませんでした。
しかもこの当時、東北地方は東日本大震災の復興事業がようやく緒についたばかりで、土建業界はそちらにリソースを全面的に振り向ける予定でしたが、自民党の要らぬ横槍で東北向けのリソースが割かれてしまいます。さらに自民党政権は2020年に東京五輪を実施して東京大改造を行うという天下の大愚行を決めてしまい、人手不足の中東北復興と東京五輪という2つの巨大事業がぶつかり合うという大惨事になってしまいます。結果、東北の復興は遅れに遅れました。

これが第2の矢の実態です。

さらに酷いのが、第3の矢です。

この第3の矢の内容は「有識者」による諮問会議などに委ねたのですが、思惑や利権がぶつかり合って大紛糾し、結局なにも決められませんでした。

これ以上書くことはありません。そのレベルの酷さです。

敢えて書くならば、議論の過程で出てきた「労働規制の緩和」を口実に、労働者派遣法の改悪・特許発明者からの特許権利剥奪・残業代ゼロ法・解雇の金銭解決といった”労働者虐殺政策”を次々と打ち出してきたことでしょうか。
このうち、労働者派遣法の改悪は、派遣労働者を守る為の「みなし雇用義務規定」を撤廃する、という内容でしたが、そのみなし雇用義務規定が施行(実際に法律が有効になる)直前の2015年9月10日に、強行採決によって国会を通過してしまいました。
(殆どのTVメディアはこの法案のことを無視したので、未だに知らない人も多いです。)

番外編:官製春闘

安倍政権がまだ始まって間もない頃、官邸が野党も含めた各党と懇談する機会を設けました。共産党もその中に含まれていました。共産党は従前から「大企業は内部留保溜め込みすぎだから、賃金として還元しろ」という主張を行っており、経済同友会に志井委員長が申し入れるということも行ってきました。共産党はこれを念頭に、政府としてこれをやってみてはどうかと提言しました。
これに飛びついたのが、麻生副総理兼財務相です。直後のぶら下がり会見で、共産党からこんな提案があったと公表しています。
さらに、衆議院予算委員会で共産党の笠井亮議員がこの件を取り上げ、先の麻生副総理は「内部留保を賃金に回すべきだ」と、笠井議員の主張を全面的に認める答弁をしています。

参考:◎共産党と自民党が一緒に賃上げ “歴史始まって以来”と麻生副総理~トヨタで生きる http://toyotaroudousya.blog135.fc2.com/blog-entry-960.html

この後、菅官房長官や甘利経産相らが実際に財界に「春闘で賃上げ要求に応じるように」経団連に要求。この年の春闘は大手メーカーほぼ全てが満額回答に近い賃上げを行い、夏のボーナスの大幅アップに繋がりました。
これがいわゆる、「官製春闘」と呼ばれるものです。

この件を以て、大手企業の社員の中には「安倍さんのおかげでボーナスが上がった」と思い、自民党支持に走ってしまっている人も多いと聞きます。
しかし、そうではありません。少なくとも、「安倍さんのおかげ」ではありません。よしんば実行したのが自民党政権だとしても、地ならしをし提言をしたのは、共産党なのです。

共産党の経済対策

では、その共産党の経済対策とは、どういったものでしょうか。
今回、主要野党4党(民進・共産・社民・生活)が共通政策を発表しているので、それと被る部分も多々ありますが。
ざっくり言うと、「経済の基礎体力を付ける政策」です。

”アベノミクス”がモンエナなら、共産党の経済政策は漢方薬です。

労基法すら守られない(※法律が守られてない時点で法治国家の体をなしていないのですが)社会を正し、不公正な労働・下請け慣行を是正する。
とりあえず大企業や既成資産を持っている人に収益が集中してしまっている現実を直視し、収益を上げているところから必要な財源(税金)を頂く。
税金の使い方も、ただ胴元にバラ撒くだけの自民党式のやり方はやめて、ベースになる人(人材)を育てる政策に転換する。特に、高等教育。高度人材育成の為に、金持ちしか大学に行けないような社会をヤメる。才能のある人は親の所得に関係なく誰でも高等教育を受けられるようにする。その為にまずは月額3万円の給付型奨学金を創設し、財源が確保出来次第順次引き上げていく。

はっきり言って、即効性はありません。しかし、必要なことです。
バクチみたいな”景気対策”で急激なV字回復を狙うよりも、社会経済の基礎体力を付けていく。政治の力で、それを後押しする。それが共産党の経済対策です。そしてこの基本趣旨は、民進党始め共闘派野党との共通政策にも概ね取り入れられていることも申し添えておきます。

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Twitterで140文字にまとめるつもりが、随分と長文になってしまいました。最後までご精読ありがとうございます。
そして、何卒、”アベノミクス”の欺瞞と、代替政策の存在に、気づいて頂きたいと存じます。

あと、自民党か公明党の広告が出てきたら、クリックしてやって下さい。笑い話のネタと僅かばかりの荒野草途伸の収益になりますので。

20160705すやま