2017浦添市議選を評す


2017年2月12日に行われた浦添市議会選の結果を、改選前会派と比較して分析してみた。

改選前の会派構成は、以下のページを参照した。
http://www.city.urasoe.lg.jp/gikai/kosei.html

「てだこ」というのは、これは確か子供会を母体に当選した議員の集まりで、前回は思いがけず4議席も取って議会第1党になりそうだったので(公明党に配慮して)わざわざ会派を分けた、というように記憶している。
また、(よその市でもよくあるように)政党公認の議員が無所属議員と組んでいる会派があり、これは実質その政党の会派とみなしてよい。

これらを加味すると前回選挙の結果は以下のようであった。

公明
てだこ
仁の会
自民
共産
民主(※当時)
社民
社大
そうぞう
イノベーション21
市民の会

会派としては「てだこ」が第1と第2に会派を分けていたこともあって、2人会派が異常に多い構成になっていた。

これが、昨年6月の沖縄県議選に当山勝利氏が社大党公認で、また又吉健太郎氏が民主党公認で立候補した為、市議職から外れた。
(当山氏は県議に当選。)

その為、改選前は以下のような構成だったことになる。

公明
てだこ
仁の会
自民
共産
社民
そうぞう
イノベーション21
市民の会
民進
社大

それが今回、このような結果になった。(増減比較は、前回選挙比)

公明
共産(+1)
仁の会(-1)
自民
社民
イノベーション21
市民の会
民進(-1)
社大(-1)
維新(=そうぞう)(-1)
てだこ(-3)
{無所属新人}(+5)

(無所属新人は現時点で所属会派不明)

 今回2017年の市議選で、「てだこ」のうち2名が不出馬となったため、選挙前から-2が確定した。また、出馬した2名のうち1名も落選したため、結局「てだこ」は3減の1議席に留まる結果となった。

 公明党は公認4名全員当選で、現有4議席を維持している。浦添市には創価学会と対立する顕正会の沖縄支部がある関係で、創価学会が糸満市と並んで勢力拡大に力を注いできた場所であり、その為公明党の力が非常に強い。が、近年共産党が浦添で勢力を急拡大させている為か、今回は手堅く現状維持の選択を取ったようだ。

 赤嶺昇県議(無所属-県民の会)系列の「仁の会」は1名が落選し、2議席となった。赤嶺昇県議は民主党在籍時代に、又吉健太郎氏が市長選に出ようとした際に強硬に反対して取りやめさせた経緯があり、以来両者の間には相当な確執があったようだ。(2016年の県議選に又吉氏が民進党公認で出馬したのも、赤嶺県議との確執があってのものと聞いている。)この余波があったのかもしれない。
 一方又吉氏は今回当時に行われた市長選に、維新国会議員となった儀間光男元市長の支援を受けて出馬したが、落選している。
 
 共産党は1増で、3議席。現職2名は前回に引き続いて1,2位独占の結果になった。浦添共産党は元々西銘純恵県議(元市議)の個人的人気が非常に高く(その為市議時代にはもう一人の共産党市議との票の乖離が凄かった)、現市議のうち1名も西銘県議の息子で初当選時はトップ当選だった。(前回と今回は2位。)しかし、1,2位維持した上での1増を果たした今回は「西銘党」依存からの脱却を果たせたと言えよう。ちなみに当選した新人も含めて、共産党浦添市議は3人全員30代である。
 
 自民党は現職2名がそのまま当選。当選した無所属新人5名のうち、少なくとも3名は自民系と見られる。これを加味すると3増という事になるが、議席を維持した「イノベーション21」(若手企業経営者の会派)も実質自民系であることを考えると、同じ会派になるかはわからない。
 また、翁長県政との関係を考えて、那覇の新風会と手を組む者も現れるかもしれない。

 社民系は30代の新人が3位当選したものの、系列の無所属現職が1名落選してしまったため、±0の2議席止まりとなっている。(ちなみに社民党は、前回浦添市議選でも新人が通って現職が落ちるという結果になっている。)社会党時代は市長と県議を出していた土地柄であったが、そこまでの勢いはもはや無いということなのか、淘汰的に世代交代が推し進められているということなのか。
 
 民進系は前述のように又吉健太郎氏が県議選に出馬して市議を離職したため、改選前議席からは1のまま変わらずだが、前回選挙と比べると1議席減になる。また、当選したのも無所属現職で、公認は候補者すら立てられなかった有様である。前進の民主党時代から既に沖縄民主党は議員どころか党員すら確保出来ない壊滅状態にあり、今後も沖縄での復権は全く望めないだろう。
 
 社大系は公認だった当山勝利氏が宿願の県議当選を果たし、今回は市長選に出た又吉健太郎氏の支援に注力して、公認候補を立てなかった。系列無所属の現職が当選し、改選前議席は維持しているが、候補者を立てなかった分前回選挙よりは1減らしている。党自体が解散寸前からの立て直しの過程にあり、当分は現状維持の時代が続くのかもしれない。
 
 そうぞうは自民党を離党した下地幹郎衆院議員が作った保守系地域政党であったが、下地議員が最終的に(大阪)維新と合流し、また元浦添市長の儀間光男氏が維新比例から参院議員になったこともあって、維新に合流した。が、現職議員1人が維新公認ではなく無所属で出馬して落選しており、また公認候補も現職以外は落選し、結果としては1議席に留まる惨敗となった。2015年県議選でも、現職県議だった儀間氏の息子が維新公認で出馬して落選しており、浦添でのそうぞう-維新系の退潮ぶりが著しい。
 
 
 今回当選した新人7名のうち、実に6名が20~30代の若手である。これが今回の浦添市議選の最大の特徴と言えるだろう。党派は(おそらく)真っ二つに割れるとは言え、有権者の選択が「若手」であったことは間違いない。浦添市は子育て世代が多く平均年齢の低い土地という事情はあるが、それ故に逆に、老人世代の「若い者に希望を託す」などというノスタルジアに乗った若手進出などでは無く、現役世代の意向としての若手進出である、ということが言えよう。
 
 
 
 前回2013年の浦添市議選では、前述のように共産党の30代候補者が1,2位独占を成し遂げ、これが同年6月の東京都議選を経て7月の参院選で30代2名を含む8名当選という結果につながり、その後の共産党躍進の鏑矢となった。
 
 今回の浦添市議選は、今後の日本の進路にどのような影響を及ぼすのであろうか。
 


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