琉大物理のクサナギ


 初めに言っておこう。HTくんはとてもいい人です。
 昨日家の契約をしてきたのだが。その場になって大家が、「沖縄にいる人の保証人が欲しい」等と言い出したのだった。こっちとしては、保証人なんて親一人で十分、しかもそれにしたって保証協会との契約も別にあるんだから不要なんちゃうの?と思っていたくらいなので、思わず「ハァ?」と言いそうになってしまった。
 HT君に事前に聞いていた話だと、昔は本土は遠すぎるからいざというときにそんなところにいる人が責任負ってくれる保証がない(ぶっちゃけ存在する保証もない)ってことで、沖縄の人を保証人として要求する例が多かったんだそうだ。
 ただ、今は保証協会がそれを代行するようになっているから連帯保証人自体不要で、ただ連絡先として誰かの名を書くようになってるようにはなっている、との話だった。
 ところがそこは、どういう訳か保証協会に加えて連帯保証人二人を要求してきたのだった。しかも当日になって。
 慌てて5日から働く会社に電話したが、いくらこれから一緒に働くって言ったってまだ顔合わせ程度しかしてない奴の保証人に何かなれるはずもなく、先方が困ってしまった。
 それでもこれが部長とか役員クラスなら、「しょうがない、私の責任で」とかいって一肌脱いでくれることもあるのだろうが。今あそこの沖縄支店にいるのは全員ぺーぺー同然なので、とてもそんなリスクなど負えようはずもない。
 結局「総務と相談してくれ」という話になったのだが。しかし、この会社の総務というのは本社、つまり東京にあるわけで。自分が抱えている問題“沖縄の人で保証人になってくれる人が欲しい”というのを解決できるとは、到底思えない。
 会社を当てにしてはいけない。道は自分で切り開くものだ。全ては自己責任。左翼にあるまじきこんな自己暗示をかけ、大親友のHT君を頼ることにした。
 よく言われることだが、契約の保証人になるのは「友情の終わり」の始まりだ、という。であれば、これによって自分とHT君との、熱くもばかばかしい友情の柱は失われてしまうのだろうか。
 否、そもそもHT君自身が拒否する可能性の方が高い。だって普通そうだし。だって「連帯保証人」って、ともすれば「連帯債務者」という言葉の意味に解釈がすり替えられがちだし、そうなれば自分は自動的に何らかの借金を背負った身になってしまうわけで、しかも自分に来る利益は何もないと来た。そりゃ、誰もやらんよ。
 もう、断られたらどうしよう。もっかい会社の誰かに頼むか、もしくは今から大学の指導教官のところ行って頼み込んでくるか。あー、こんなことなら何か、手みやげ買ってくるんだったよー・・・。
 等と苦悶しながらHTくんに電話すると。HT君はあっさり
「ああ、いいですよ。でも今時まだ、そんなの要求するとこあるんだねー」
 と、快諾してくれた。正直、どっと肩の荷が下りた気がした。
 とりあえず明日、飯でも食いながらということになった。いやはや、持つべきものは友である。
 しかしこれ、琉大出の自分だから何とかなったけど。全然そういう関係がないひとだったら、どうするんだ・・・? て言うか、だからそういう人のために信用保証協会があるんじゃないのか?
 ちなみに、不動産屋の人もいい人でした。部屋探すときに、全然関係ない業者が扱ってる物件まで一緒に見て回ってくれました。
 基本的には沖縄は、こういう人が多いです。たまに変な人がいるだけです。
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