日本の労働運動の転換点なのか。
昨日8月31日は、いろいろと動きがあった。
中でも、西武百貨店ストライキとそれに対するほぼ全ての労組の連帯、一般市民の態度の変化は特筆すべきものがある。
ありすぎて書くと長くなりそうだし余計な事まで言い出しそうなので、敢えて抑制しておく。
各SNSに投稿したとおり、荒野草途伸も31日の昼頃にヨドバシカメラの名古屋松坂屋店前でスト連帯のスタンディングをしたが、「私はそこに立ってました」というただそれだけの話なので。
そしてもう一つの重要な動きは、岸田政権が突然「最低賃金1500円」を言いだしたこと。もしかしたら西武百貨店ストの影響なのかもしれないが、これは憶測の域を出ない。
今更言うまでも無い事だが、最賃1500円は野党、それも共産党や社民党などの左派野党が長年主張してきたことだ。中小零細企業への支援も込みで。
それに対し自民党政権は何やかやと理屈を付けて最賃引き上げには抵抗してきたのだが、何故か昨日になって突然、2030年までに最低賃金を1500円にすると言いだした。その為の中小企業支援の為に補助金制度の見直しも行うとまで踏み込んでいて、これだけ見ると左派野党の主張丸呑みにも見える。
確かに補助金というのは用途が厳しく制限されており、企業側からすると「えっ、なんで?」となる部分もあるので、見直しして欲しいという声はあるのだろう。
だが一方で、税金を財源にした公金支出である以上目的外利用は認められない、という理由で補助金の使途には制約が課せられているわけで、見直しと言ってもどこまで出来るんだろう? というのはある。
それともう1点としては。迂闊に用途を広げると抜け穴が出来て、コロナ禍での雇用調整助成金不正受給のように、悪い経営者が本来労働者に渡るべき金をネコババする、というケースも出かねない。
そろそろ、こういうのは企業では無く労働者に直接支援するようにしないといけない。
雇用保険は現在では週20時間以上の就労が1ヶ月以上続く雇用契約なら必ず入らなければいけないようになっており、基本的にはほぼ全ての労働者が加入している(ハズ)である。
この雇用保険の情報を使えば、対象企業で就労している労働者に直接給付することは可能だ。
収入状況の把握が必要なら、納付された雇用保険料からある程度逆算出来る。その為のシステム開発は必要になるし雇用保険システムは未だに大型コンピュータ上で動くCOBOL製のシステムだという問題はあるが、情報が欲しいだけで基幹システムの計算モジュールをいじくるわけではないので、作れないわけでは無い。複数の健保組合のシステムと連携している(連携しているとは言っていない)マイナ保険証よりも、システム的にはよっぽど単純な話だ。
……と、いうような話は、野党(左派野党)の政策として、もっと言えば自分が(仮に)選挙に立候補した際の目玉公約の一つにしたかった内容なのだが。
最賃1500円を岸田政権にパクられた以上、本家本元の我々も「ウチのはもっといいよ」という政策を出さざるをえない。
もっといいよと言う以上、私の案よりもいいものがあるなら当然そちらに賛同するが。
問題は、誰の提案にしても今出すと自民党にパクられかねないという事だ。しかも中途半端に。給食費無償化のときみたいに。
とは言え、流れが出来るのは悪い事では無い。最賃1500円を岸田政権が掲げるというのなら、露払いは当然自民党がやってくれますよね妨害する人達が矢を射ってきたら当然あなた達が矢面に立ってくれますよね、という風に前向きに捉えるしか無いのか。
西武百貨店ストライキも、売却計画自体は阻止出来なかったが、この後の出店計画や雇用はおそらく修正されていくのだろうから。