カタバミ


 「すごいよ!マサルさん」で、フーミンが面接で「特技は何ですか」と訊かれ、「ツッコミです!」と答えるシーンがあったが。「10円玉をピカピカに磨くことです!」というのは、これに匹敵するだけのパワーがあると自分では思っている。
 ヒマがあると10円玉をピカピカに磨くという行為を時々やっている。使うのは、カタバミの葉。育てているわけでもないのに鉢の中に勝手に生えて群生するので、せめて有効利用してやろうという思惑もある。
 割と有名なことだが、カタバミの葉で古い10円玉を磨くと、本来の銅の色が復活する。カタバミの葉に含まれるシュウ酸が銅を溶かすからである、ということらしい。
 しかしシュウ酸というのは何もカタバミに限らず野菜類にはたいがい含まれているはずである。例えばほうれん草のエグ味というのはこのシュウ酸に他ならないわけであるが、しかし「ほうれん草を使うと10円玉がピカピカになります!」とかいう話はあまり聞かない。まあ、食える野菜であるほうれん草を使ってわざわざそんな非生産的なことをする奴はあまりいないということなのだろうが。
 なにはともあれ。手元にカタバミと10円玉があれば、とりあえず磨くようにしている。これはもう、趣味といっていいだろう。ここのところ寒くなってカタバミも殆ど枯れてしまったので、最近はあまりこの行為をやってはいないのだが。
 いっそのこと、履歴書の趣味欄にもこれを書いておけば良かっただろうか。
 来月から入る会社に出した履歴書には「小説書き」とか「鉢植え」というのを書いていたのだが、先日の打ち合わせの際に「あなた、盆栽が趣味なんだってね」というとんでもない誤解を受けたりもした。どうやら「鉢植え」という表現が曖昧すぎたようなので、もっとストレートにわかりやすいものを書いた方が良かっただろうか、と感じたのだ。
 だから次に履歴書を書く機会があったら、こう書こう。
 趣味:10円玉磨き(カタバミを使用)。
 盆栽と誤解された方がまだマシな気もする。
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