空と海との間には


 羽田空港の新規発着枠配分が、ANAに傾斜配分されることになった。
(参考:asahi.com http://www.asahi.com/shimen/articles/TKY201310020822.html?ref=reca
 政治的措置による優遇を受けて経営再建したJALにこのうえ政治的利益を与えるのはアンフェアである、という理由からとの事。
 一部報道によると、今回の決定は民主党政権下で支援を受けたJALに対し現在の自民党政権は敵意を持っており、対抗するANAに下駄を履かせる決定をした結果らしい。これからANA=自民vs JAL=民主の対立構図になっていく、という分析がなされていた。

 それが事実かどうかはいざ知らず。この話を聞いて、思い出した話がある。手元に資料が無いので、事実とは相違点があるかも知れない。

 沖縄がまだ米軍支配下にあった頃の話である。当時の沖縄には民主党・社大党・人民党という三大政党があった。特に先島地区では人民党は非常に弱かったので、実質民主党と社大党の2大政党制になっていた。
 民主党といっても現在の民主党とは別物である。その後沖縄自由民主党となり、現在の自民党沖縄県連に連なる政党である。一方の社大党は現在も存続しており、参議院に1議席を有する他沖縄の地方議会に根強く勢力を残している。人民党は復帰後暫くしてから日本共産党と対等合併した。

 さて。先島地区では民主党と社大党の2大政党が争っていたわけであるが、本島以上に両党の対立は深刻だったらしい。親類同士であっても口をききたくないぐらい、お互いを嫌っていたようだ。
 その当時、石垣島だったか与那国島だったか波照間島だったか記憶が定かで無いが、ある島への航路を運航する船会社が2つあった。どちらの会社も特にどの政治勢力を支持しているということは無く、初めは民主党支持者も社大党支持者もどちらということも無く船に乗っていた。が、狭い船の中で対立陣営と顔を合わせたりしたくないということで、だんだん民主党支持者の乗る船と社大党支持者の乗る船が分かれていったらしい。乗客が一色に染まってしまえば船長もだんだん染められていくもので、復帰直前には民主党船と社大党船が海の上で競争するような事態になっていたのだそうだ。
 まあ、ドンパチやっていたわけでは無いから、平和といえば平和である。

 さて。話は戻るが、JALとANAである。どっちも、現時点では特にどの政党の系列ということはないのだが、周りが「ANAは自民、JALは民主!」とか叫んでたら、そのうち機長が染められて空の上で競争…とはさすがにならないだろうが、利用客は染められてしまうかもしれない。え、じゃあ共産党支持者はどっちに乗ればいいの? 飛行機なんか乗らずに歩け? 沖縄は徒歩じゃ行けねーよ。

 ちなみに沖縄では、沖縄自民最大の支援者である国場グループがJALの総代理店を引き受けている関係で、企業関係者はJALの利用が多いらしい。逆に(革新支持者が多い)公務員や教員はANAの利用者が多いようだ。
 で、JALを主に使う人はJALと提携しているWAONを持つし、ANAを使う人はANAと提携しているedyを持つようになるわけだが、ここで察しのいい人は気づいたと思うが、WAONというのはイオンの電子マネーである。ちなみに県庁前にあるりうぼうというデパートとそのグループはedyを積極的に推進している。県内のファミリーマートもここが経営しているのだが、昔から県内で発行されていない読売新聞をわざわざ店頭に置くくらい、保守寄りの会社である。しかしそのファミリーマートは、今でこそ伊藤忠の系列だが元々は西武流通グループが設立したコンビニチェーンであり、西武流通グループを立ち上げた堤清二氏は元は共産党の活動家だった人である。ああ、ややこしいなもう!

 真実は主観に過ぎない、と。きっとそういうこと。
 だからこそ、ANAを設立した朝日新聞の論説には価値があるのである。

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